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パズドラの隆盛と売り切りゲームの敗北。ゲームで振り返るiOSの2012年(後半)

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2013年のiOSゲームはどうなるのか、2012年のゲームの流れから予想するこの記事。

パズドラの隆盛と売り切りゲームの敗北。ゲームで振り返るiOSの2012年(前半)で2012年1月〜6月の流れを追ってみた。

前半は買い切りゲームがパズドラの前に敗れ去ったのがメインだったが、その結果は2012年の後半に出てきた。

『ロード・トゥ・ドラゴン』などのパズドラライクゲームの出現、売上だけでなくさまざまな要因で有料ゲームが苦しくなっていく様子を、2012年のゲームとともに見ていきたい。

7月:ゲーム移行期の混乱
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7月にリリースされたスクウェア・エニックスのオリジナルRPG『星葬ドラグニル』。
これはかなり実験的要素な作り・売り方がされたゲームだ。

「有料アプリか、無料アプリか?」

その中間点の答えとして、アンロック式体験版+ゲームをショートカットするブーストアイテムという形でリリースされている。
結局のところ、プロデューサーの安藤氏スマゲ革命28回が語るとおり、セールス的には失敗に終わったようだ。

こういった商品があるとどうしてもブースト前提、課金前提でバランスを取っているのではないかとお客様に不安を与える事があることがわかりました。

とあるが、これは安藤氏の立場上の発言であり、実際とは異なると思っている。
このゲームはストーリーを追うのがプレイ動機であるにもかかわらず、進めるためには経験値稼ぎ専用の無味乾燥なダンジョンを歩くことを強いられ、そこをスキップするために課金が存在する。
事実上、ブースト課金しなければストレスがたまる作りになっていたから批判を浴びたのだ。
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▲四角い部屋がつながっているだけの経験値稼ぎダンジョンをひたすら歩く。

同じく戦闘の難易度が高い『ファイナルファンタジーIV』にブーストがあっても、文句は少なかっただろう。『ドラグニル』よりも経験値稼ぎのストレスが少ない仕組みになっているからだ。

しかしながら、『ファイナルファンタジーIV』にブースト課金があってもまずそんなに売れないはずだ。
プレイヤーにストレスをかけなければ、ブーストの意味がない。
楽しい部分をブーストして飛ばしたいプレイヤーはいないからだ。

そうすると、『星葬ドラグニル』は商売上、無味乾燥なダンジョンを歩かされるようになっていたのだと考えたほうが納得がいく。
ゲームは売り方によって、売り切りで可能だったゲーム内容が不可能になってしまう。

基本無料の世界で、いままでのRPGファンは楽しめるゲームは出るのだろうか?

ドラグニルの販売と内容の不振はゲーム販売形態の過渡期で、買い切りゲームと基本無料ゲームのジレンマを象徴する事件でもあった。
レビュー:星葬ドラグニル システムは良いがバランス調整が大変残念なRPG


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そしてもう1つの象徴的な出来事。
スマホ向けのゲーム『Dead Trigger』が、違法コピーのあまりの多さに基本無料化。

これの意味するところは、わずか85円のアプリでも有料だとコピーされてしまうということ。
そして、基本無料にしてサーバーに繋ぐ要素があれば正規版をDLしてくれて、そのうちのいくらかのプレイヤーはアプリ内購入でお金を払ってくれる、ということである。
また、さらに言うと安く売るよりも、基本無料にしてブーストアイテムを買わせたほうが儲かる、ということでもある。

売り切りゲームが崩壊した瞬間であった。

レビュー:DEAD TRIGGER 安くて最高クラスのグラフィック!そしてゲームは微妙…。
Dead TriggerのAndroid版、あまりの違法コピーの多さに基本無料アプリとなる


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最後に、話題の映画『ダークナイトライジング』の公式ゲームがスマホ・タブレット専用だったことにも驚かされた。
バットマンのゲームはPC・家庭用で質が高いものがリリースされ、ヒットしてきた。
それが、なんとスマホ・タブレット専用に。
海外で、広い層に向けたゲーム・エンターテイメントの主軸がゲーム機やPCではなく、スマホ・タブレットにシフトしつつあることを象徴した1本と言えるだろう。

レビュー:ダークナイト ライジング 話題作唯一の公式ゲームはiOS向け


8月:家庭用タイトルの移植が目立つdangun2
『ダンガンロンパ』や『すばらしきこのせかい』など家庭用で人気を博したゲームがリリース。
ちょっとやそっとのゲームでは有料では売れないが、すでに評価が決まっているゲームならまだイケる。
レビュー:ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 操作性が悪いが、異質なストーリーでカバー


9月:TGSを見れば未来がわかる。
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この月に行われたTGS2012に出展されたスマホゲームで、大手の有料ゲームは『レイトンブラザーズ』のみ。
時代は完全に基本無料へシフト。
特にセガネットワークのゲームは圧倒的なクオリティで、下手な有料ゲームでは太刀打ち出来ないほど。
TGS2012 スマホのゲームの王者はセガ!未リリース作品7作を展示!他の追随を許さぬ圧巻の品揃え!セガブースレポートその1

基本無料ゲームは有料ゲームより稼げるから豪華に作れるし新作もでる。
売れないから有料ゲームは移植モノに偏る。
そんな流れが見て取れた。


10月:USにも基本無料の波。
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もう、有料アプリではやっていけないかもしれない。
いままで有料アプリを出していたRocket Cat Gamesがゲームを基本無料にする試みを行った。
しかし、プレイヤーにストレスがない仕組みにし過ぎたため、60万DLを達成しても課金がほとんどなく、ニュースにまで発展。

結局、有料アプリのゲームシステムのままに基本無料にするのは無理という結論となり、基本無料から有料アプリへ切り替えることとなった。
基本無料のまま、有料ゲームと同じ内容ではゲームを作れない。
海を超えてもそれは変わらなかった。

US市場は、有料アプリが日本の10倍売れると言われている。
だから、アプリの価格については日本よりのんびり構えていて、「最初に有料で出して、あとから無料にしても儲かる手段を考えておけばいいや」というのが2011年からのトレンドだった。

が、いまや多くのメーカーが「無料にしなければアプリが埋もれる」と考えている。
海外の中小企業では2013年、基本無料への移行がトレンドとなるだろう。

レビュー:Punch Quest コンボを繋げてハイスコアを目指せ!アーケード世代におすすめのアクション
あるゲーム会社の悲劇。面白いゲームを基本無料にしたら今までのファンも金を払わなくなった。
『Punch Quest』、60万ダウンロードを達成するも収益が立たず有料アプリへ


11月:パズドラの子どもたちが続々と。
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今までの沈黙が嘘だったかのように、『ドラゴンコインズ』、『ロード・トゥ・ドラゴン』などのパズドラ世代ゲームがリリース。
現在のところ、『ドラゴンコインズ』が最もよくできている感じだが、どのメーカーもパズドラの“パズ”を何かに変えるか必死に模索しているように思える。
レビュー:ドラゴンコインズ コインプッシャー+RPG。パズドラに並ぶゲームが遂に登場

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その他のニュースとしては、ラン系ゲーム『Extreme Road Trip 2』がリリースされたことがあるだろう。
アプリ自体が良くできているのもあるが、オンラインを通じて友人と競えるチャレンジ機能での対戦がアツく、ようやくGAMECENTERを上手に使ったものが出てきた印象。
シンプルな内容ながら世界的にヒット。
オンラインの使い方はまだまだある、と実証された。
レビュー:Extreme Road Trip 2 地味なのにはまりすぎるトリックドライブアクション


12月:2013年を占うゲームがリリースされる
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大作がずらりと並ぶ中でリリースされた『ダンジョンズ&ゴルフ』や『Answer×Answer Pocket』。
なんと、知識・スキルベースのゲームで基本無料という大胆な試み。
ガチャいくら良い物を手に入れても、プレイヤーが上達しなければ決して1位はとれない。

『レッツ!ゴルフ3』と同じ動きではあるが、こちらはポチポチゲーのメッカである日本から出てきたことに意味がある。
金を積むだけのゲームになってしまった国産基本無料ゲームも、揺り戻しの時期にきたのかもしれない。

果たして、日本で旧来の意味でゲームらしいゲームを復権させることはできるのか?
このゲームの動き次第で、よりゲームらしい基本無料ゲームがリリースされるようになるかもしれないので、個人的には応援していきたいと思っている。
【速報】ダンジョンズ&ゴルフリリース!
レビュー:Answer×Answer Pocket サクサク気持いい!ゲーム機クオリティのクイズゲーム

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そしてまた、12月ということで年末の大作が出揃う。
『モダンコンバット4:Zero Hour』や『Ravensword:Shadowlands』などがリリース。
しかしながら『Infinity Blade Dungeons』や『Real Racing 3』などが延期され、スマホゲームの開発期間増大を印象付けた。
レビュー:モダンコンバット4:Zerohour さらに家庭用クオリティに近づいたゲームは何を見せるのか
かつて無い美麗グラフィック…iPhoneの本命RPG『Ravensword: Shadowlands』リリース!

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国産も『THEATRHYTHM FINAL FANTASY』や『FINAL FANTASY IV』など大作がズラリ。
基本無料ゲームに流れが傾き、ブランドがあるゲーム以外で有料ゲームが成り立たない現状を証明してしまったとも言える。
レビュー:THEATRHYTHM FINAL FANTASY FFの名曲で音ゲーが遊べる!が、あと1歩ファンサービスが欲しかった
レビュー:FINAL FANTASY IV 3Dになって演出は格段にパワーアップ!プレイしやすさはちょっとダウン


ということで、パズドラの隆盛と売り切りゲームの敗北。ゲームで振り返るiOSの2012年(前半)から駆け足で2012年の様子を振り返ってみた。

今年はどうなるのか。
海外については2011年の日本をなぞる形になっていくだろう。
基本無料に移行が進みつつ、移植・大作ゲームも出てくるが買い切りの勢いは衰えていく。
日本については今年の前半は◯◯ドラ(パズドラのパズが消えたもの)がリリースされ、後半になるとさらに先を行くゲームっぽい基本無料が出てくると予想する。
今年もまた、スマホゲームの進化を楽しむことはできそうだ。

RucKyGAMESさんよりカジュアルゲーの流れを書け!
という指摘がきたのでカジュアルゲームバブル崩壊とLINEの猛威:ゲームで振り返るiOSの2012年、特別編に続く。

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