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Dead TriggerのAndroid版、あまりの違法コピーの多さに基本無料アプリとなる

先月にリリースされたiOS/Android向けのFPS『Dead Trigger』。
85円という価格に対して驚きのグラフィックを実現しており、大いに話題になったアプリの1つだ。
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が、なんとAndroidではこのアプリが無料!
Facebookで明かされたのは「Android版は違法コピーが多すぎて」有料を諦めたという驚きの理由。
一体どうなっているのだろうか。
本日、ちょうどこの件に関してインタビュー「Dead Trigger's 80% piracy rate on Android forced us to go F2P, admits Madfinger | interview | Madfinger news | PocketGamer.biz」が掲載されたので、それを簡単に訳(誤訳御免!)したものを紹介したい。

赤字はこちらの補足
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2012年6月に、Madfingerは『Dead Trigger』をAndroidとiOSに99cでリリースしました。
そして、ちょうど1ヶ月後にAndroid版は基本無料形式になりました。
金を支払ってゲームを購入したにもかかわらず、フリー・トゥ・プレイ(※プレイは無料)になってしまったという初期に購入したゲーマーの苦情に対し、MadfingerはAndroid版において”信じられないほど高い”違法コピー率のため、フリー・トゥ・プレイへ変更したとFacebookで声明を発表しました。
違法コピーの割合がどの程度悪かったのか、また、それがMadfingerのマルチプラットフォーム戦略を変更するのか、営業マネージャー、Anna Porizkovaに取材しました。

Pocket Gamer:(以降、太文字はPocket Gamer)
『Dead Trigger』を基本無料にする決定の要因は何でしたか?

Anna Porizkova:
主な理由は、Android端末では違法コピーの割合が高すぎるということです。
私たちはこのゲームをできるだけ多くの人々にプレイしてもらいたかった。
SHADOWGUN』(※『Dead Trigger』の前の作品)につけた8ドルという価格よりも遥かに安い99cという価格付けをした理由です。
他方ではMadfingerには基本無料の形式をとったことがなかったので、無料で提供することができなかったのもあります。
しかしながら、最終的には約1ドルという価格でさえ違法コピーの割合が非常に大きかったので、『Dead Trigger』を無料で提供する事に決めました。

『Football Manager Handheld 2012』(※世界で一番うれているセガのサッカーマネジメントゲーム)はAndroidでは9:1で違法コピーでした。『Dead Trigger』はこれと同じぐらい悪い状況でしょうか?

最初に、この数値が机上の空論でないことを説明させてください。
これはLocalytics(※アプリのアクセス解析ツール)を使用し、これらの統計をGoogle Playで売られた(そして払われた)ものと比較します。
これに基づくと、『Dead Trigger』の違法コピーの割合は80パーセントです。つまり、全体の20%のみが私達に代金を支払っていることになります。
残りは違法コピーです。
これは平均にすぎません。もちろん、国によって差があります。
いくつかの国々では、違法コピーは99.998パーセントに達します。

あなたの最後のゲーム(『Shadowgun』)はGoogle Play上ではいまだに有料です。
それはより違法コピーにさらされたのではありませんか?

『Shadowgun』の違法コピーの割合は実際にさらに高かったので、最初は8ドル、続いて5ドルに値下げされ、結局は違法コピーに対して有効な防御方法はありませんでした。

いくらかの『Dead Trigger』ユーザーは金を払って購入したゲームが無料になって混乱しているように見えます。
この状況について残念に思いますか?

現在、代価を払ったゲームが無料になったことに人々が怒っており、それが不公平に思えていると理解しています。
しかし、初期に購入したプレイヤーは『Dead Trigger』を3週間前にプレイすることに1ドルの価値があると考えるかもしれないとも思っています。
すべての開発会社は事前に値下げを発表することはしません、それがすべてです。

Google Playで今後もアプリをリリースしますか、また、今回の事件はiOSのみでリリースするようになることを考慮させましたか?

iOSとAndroid、そして、恐らくWindows Phone8にも開発する予定に変更はありません。
ほとんどのMadfingerゲーム・チームはアンドロイドのゲーマーです。また、両方のプラットフォームにはそれぞれ長所と短所があります。

その上に、Androidはすでに大量に出回っているので、開発会社としてはそれを冷たくあしらうことができません。
特にUnityを使用する場合、このプロセス(マルチプラットフォーム対応)をより簡単にできます。

Android版の『Dead Trigger』は現在、フリーミアムではなく、アプリ内購入を備えたフリー・トゥー・プレイゲームであると強調することを切望しています。
何を2つの間の違いと見なしますか。

はい、『Dead Trigger』はフリーミアムではありません。
プレイして3分後に「続けたい場合は、買ってください」などと表示されることはありません。
フリーミアムは、あなたが追加でお金を払わずには実際にプレーすることができないことを意味します。
『Dead Trigger』で儲けることについて議論していたとき、そういった仕組みは煩わしいと知っていたのでそれは私たちが回避したかった最初のポイントでした。
プレイヤーは『Dead Trigger』をアプリ内で課金せずに遊ぶことができるので、『Dead Trigger』はフリー・トゥ・プレイなのです。
私たちのチームの全メンバーが追加課金なしでゲームをプレイし、楽しむことができているので、この論法は正しいと思います。

私たちが見るところ、『Dead Trigger』のアプリ内課金はケーキ上のアイスクリームに似ています(※なくても本質的には変わらないと言いたいのだと思われる)。
しかし、フォーラムとコメントを読むと、あたかも多くのプレイヤーがIAPでゲームに1ドルを払うより、『Dead Trigger』を購入することに5、8あるいは13ドルですら払うことを望んでいるように見えます。
しかし、それらが無視しているのは我々のアーティストとプログラマが新しいコンテンツ、アップデートを行うことをアプリ内課金が可能にするということです。
我々は最新版でプレイしてみたところ、後半のステージではアプリ内購入なしにはほぼプレイ不可能ということを発見しました。
これは次の最新版で改良されるでしょう。

Androidの違法コピーの割合を引き下げるためには何を行うべきであると思いますか?

私たちの見解では違法コピーがAndroidだけの問題ではないことを指摘しておきます。
Googleは違法コピーと戦うことに関して、Jelly Beanなど多くの良い決定を下しました。
違法コピーは一般的なこの世代の問題です。
無料で違法コピーを入手するのは非常に容易です、そして人々はそれを買うことを考えさえしない。
これは最近では一般的です。
無料で手に入るものの対価はすべて払わないことは今の常識で、誰も注意しません。
開発者は皆、この問題に直面しています。私達も例外ではありません。

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ということで、あまりの違法コピーの多さに基本無料としてアプリをDLしてもらい、払えるプレイヤーがアプリ内課金を利用することを狙うモデルに切り替えざるを得なかったようだ。
実際のところ、iOSでもこれは見過ごせない問題だ。
アプリ開発者の記録:snabboの挑戦(かなり昔の話なので現状に即してないかも)を紹介したことがあるが、こちらでも売れた本数の2倍もランキングに応募があったことが明かされている。

これに限らず、「実際に売れている3倍がプレイされている」などの話はiOS系でもよく聞かれる話だ。
このようなことが続けば買い切りのアプリは絶滅してしまうかもしれない。

「Angry BirdsはAndroidだと無料だよ!」
「ゲームがこんなに安くてiPhoneはいいな!」

などと言っている場合ではなくなるのかもしれない。
私自身は面白い買切りアプリは定価で積極的に買っていこうと思っているが、インタビューにある通り「フォーラムでは大金を払っていいと言っているゲーマーがいる」というのはゲーム専門フォーラムで発言するような本当にごく一部のゲーマーだけで、世の中はそうなっていないのだろうなぁ…。
(ゲームキャスト トシ)