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スマホウォッチ6:今のゲームは芸術品になってしまうかもしれない

AppStore の過当競争が、従来のゲームを殺そうとしている。
もはや、買いきりのゲームで利益を出すのは難しい市場になってしまった。
今年のフリーミアムへの移行はそれを如実に表している。

『ドリランド』『ドラゴンコレクション』『マジモン』『忍者ロワイヤル』『Kingdom Conquest』などのソーシャルゲーム系。
欧米では Glu の『Gunbros』のような協力プレイ系のフリーミアム系ゲームが受け、ゲームロフトは『Dark Quest 3』『レッツ!ゴルフ3』など FREE+(無料でもそれなりに楽しめ、IAP要素もある)へメジャータイトルをシフトさせた。

基本無料で課金してもらうためには、プレイヤーにストレスを与えてそのストレスを有料でストレスを取り除く(ソーシャルゲームのエナジー切れを課金で回避するのが代表的な例だ)システムになる。
これだと「ゲームは無料か85円」と思ってしまっているユーザーでも金を吐き出す。
それどころか、8500円で時間制限付きのアイテムを購入するようなプレイヤーまでいる。

これはこれで、稼ぎすぎや倫理的に問題が残ると思うが、いずれにしろ買いきりゲームが儲からなくなっているからこの形態に移行するのだ。
このようなゲームは、旧来のゲームとは違うものだ。
面白さ与えるエンターテイメントから、ちょっとした面白さを持続させるために金を搾り取るサービスに代わってしまっている。

だが、85円のアプリを何本売れば開発費が回収できるのか。
1000円でまともなゲームを出したところで、余程ブランドのあるメーカーかタイトルでなければ十分な量を売ることができない。
あの『FF3』の移植ですら赤字という話(iPhoneAC 記事下部)もある。
移植でこれだから豪華な新作など遠い夢の話であろう。

すでに旧来のゲームでメーカーが身を立てていくのは厳しい。
数年後、旧来のようなアプリ内の購入を行わずにプレイヤーの腕を要求するゲームはインディーズの開発者による趣味の世界になっているかも知れない。
「商業ゲーム」と「芸術品ゲーム」のような区分。
流行ジャンルではない曲や、死後認められる絵画のような、マイナーな世界。
モンハンやファイナルファンタジーなどのメジャータイトルやごく僅かな例外のみが商業的に成功する。

大げさに言ったがゲーマーが金を使わない限り、そういった世界が徐々に近づいてくるのは間違いない。
2012年はそういった流れを見る意味で重要な年になるだろう。


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