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スマホウォッチ3:目に見えて死に始めた携帯ゲーム専用機

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FLURRY のレポートによると、ついに US のスマートフォンのゲーム売上は PSP と  DS、2つのゲーム専用機の売上を超えた。
iOS と Android の内訳がないが、昨年は Android が1.6%程度だったので、どんなに成長していても58%のうち iOS が 40~50% が iOS のシェアと思われる。
iOS は市場の半分を制したことになる。
そして、携帯ゲーム専用機は80%以上あったシェアを2年でほぼ半分の42%まで落としてしまった。

面白いのは全体の売上額で、2009年の携帯ゲーム売上は270万$、2010年は250万$、そして2011年は330万$と予想されている(前年の売上から予想)。
2010年に「スマートフォンの席巻で単価が下がったため」売上が落ちた携帯ゲーム機市場だが、2011年は大幅な上昇に転じている。
おそらく、スマートフォンは専用ゲーム機で普段ゲームをしない層にアピールし、それらにゲームを買わせることに成功して市場を押し広げた。
スマートフォン人口はまだまだ増える余地を残しているので、携帯ゲーム市場はさらに大きくなるだろう。
スマートフォンにはソーシャルゲームも含まれるので単純には現在の携帯ゲーム専用機と比較できないが、売上で見て2010年は165万$、2011年で138.6万$と1年で20%近く下落している。

PSP・DS 共にハードの寿命がつきつつあるので、来年は プレイステーション Vita の発売や 3DS ソフトの対策が出始めて盛り返す可能性はある。
が、成長し続けるスマートフォン市場にシェアを奪われ続けるのはもう避けられないし、DSで脳トレに飛びついたような層は別に専用機を必要としないだろうからもう専用機には戻ってこない。
ゲームソフト1本あたりの値段も段違いで、専用機ならば5800円でゲーム1本だが、 AppStore で使ったらどれだけのものが買えることか。

ユーザーの母数が少なくなればそれだけ専用ゲーム機では開発しづらくなるし、スマートフォンの人口が多すぎて(最終的には世界中のほとんどの携帯がスマートフォンになると予想されるのだから)市場としての魅力がかなり小さくなると思われる。
さらに、ユーザーのゲームに対する値頃感が非常にシビアになり、スマートフォンを所有しているゲーム機ユーザーも携帯ゲームに対して財布のひも堅くなることも予想される。

現在、PS Vita はスマートフォンと比べて圧倒的にきれいで、性能も高い。
TGS2011 で触ってみたが、ゲーマーとしては買いたくなるシロモノであった。
そんな魅力がある専用機だが、それでも PS Vita が携帯ゲーム専用機最後の花火となるだろう。

PS シリーズはもともと独自開発の専用チップを積む伝統があったが、今回は予算の都合でスマートフォンの部品の延長線上にあるものを使用している。
専用にゲーム機のチップを開発する予算と市場の見通しは今回立たなかったのだろう。
おそらく、2年後の最新スマートフォンは PS Vita と同等の能力を持つはずだ。
その後はスマートフォンの進化に追いつけなくなると思われ、ニッチな需要に対応したゲーミングスマートフォンが出たり(すでにXperia Playというハードが存在するが、これはソニーの保険だと思っている)して専用機を作る必要はなくなるだろう。
PS Vita は携帯専用機がスマートフォンの進化に追いつけなくなるぎりぎりの瀬戸際で出る最後のハードだと思う。

寂しいが、これも時代の流れか。
一番気になっているのはスマートフォンにあわせてゲームが変質していくこと。
ソーシャルとカジュアル優先の市場では豪華でカジュアルでないマニアックな携帯ゲームは生き延びられるのだろうか…。
というのも後ろ向きなので、変質してより面白いものが出る未来を期待してみたい。
頑張れ開発者の皆さん!

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