スマホウォッチ3:目に見えて死に始めた携帯ゲーム専用機
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- 2011年11月15日
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FLURRY のレポートによると、ついに US のスマートフォンのゲーム売上は PSP と DS、2つのゲーム専用機の売上を超えた。
iOS と Android の内訳がないが、昨年は Android が1.6%程度だったので、どんなに成長していても58%のうち iOS が 40~50% が iOS のシェアと思われる。
iOS は市場の半分を制したことになる。
そして、携帯ゲーム専用機は80%以上あったシェアを2年でほぼ半分の42%まで落としてしまった。
2010年に「スマートフォンの席巻で単価が下がったため」売上が落ちた携帯ゲーム機市場だが、2011年は大幅な上昇に転じている。
おそらく、スマートフォンは専用ゲーム機で普段ゲームをしない層にアピールし、それらにゲームを買わせることに成功して市場を押し広げた。
スマートフォン人口はまだまだ増える余地を残しているので、携帯ゲーム市場はさらに大きくなるだろう。
スマートフォンにはソーシャルゲームも含まれるので単純には現在の携帯ゲーム専用機と比較できないが、売上で見て2010年は165万$、2011年で138.6万$と1年で20%近く下落している。
PSP・DS 共にハードの寿命がつきつつあるので、来年は プレイステーション Vita の発売や 3DS ソフトの対策が出始めて盛り返す可能性はある。
が、成長し続けるスマートフォン市場にシェアを奪われ続けるのはもう避けられないし、DSで脳トレに飛びついたような層は別に専用機を必要としないだろうからもう専用機には戻ってこない。
ゲームソフト1本あたりの値段も段違いで、専用機ならば5800円でゲーム1本だが、 AppStore で使ったらどれだけのものが買えることか。
ユーザーの母数が少なくなればそれだけ専用ゲーム機では開発しづらくなるし、スマートフォンの人口が多すぎて(最終的には世界中のほとんどの携帯がスマートフォンになると予想されるのだから)市場としての魅力がかなり小さくなると思われる。
さらに、ユーザーのゲームに対する値頃感が非常にシビアになり、スマートフォンを所有しているゲーム機ユーザーも携帯ゲームに対して財布のひも堅くなることも予想される。
現在、PS Vita はスマートフォンと比べて圧倒的にきれいで、性能も高い。
TGS2011 で触ってみたが、ゲーマーとしては買いたくなるシロモノであった。
そんな魅力がある専用機だが、それでも PS Vita が携帯ゲーム専用機最後の花火となるだろう。
PS シリーズはもともと独自開発の専用チップを積む伝統があったが、今回は予算の都合でスマートフォンの部品の延長線上にあるものを使用している。
専用にゲーム機のチップを開発する予算と市場の見通しは今回立たなかったのだろう。
おそらく、2年後の最新スマートフォンは PS Vita と同等の能力を持つはずだ。
その後はスマートフォンの進化に追いつけなくなると思われ、ニッチな需要に対応したゲーミングスマートフォンが出たり(すでにXperia Playというハードが存在するが、これはソニーの保険だと思っている)して専用機を作る必要はなくなるだろう。
PS Vita は携帯専用機がスマートフォンの進化に追いつけなくなるぎりぎりの瀬戸際で出る最後のハードだと思う。
寂しいが、これも時代の流れか。
一番気になっているのはスマートフォンにあわせてゲームが変質していくこと。
ソーシャルとカジュアル優先の市場では豪華でカジュアルでないマニアックな携帯ゲームは生き延びられるのだろうか…。
というのも後ろ向きなので、変質してより面白いものが出る未来を期待してみたい。
頑張れ開発者の皆さん!
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コメント一覧 (12)
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- 2011年11月15日 22:05
- ▼deadendさん
私の中では「移動や細かい時間を潰すツール」競争だと思っています。
ちょっとした電車や新幹線での移動、人との待ち合わせ、学校や会社の休み時間…そんな時に何を使って暇を潰すのかそのなかで本、携帯ゲーム、音楽などが競っています。
電子書籍が一般化すれば、そこがゲームを食ったりもすると思います。
その枠で見ると、確実に音楽市場が衰退したように携帯ゲーム機は需要を落としていくでしょう。
日本では家で携帯ゲームをプレイする傾向がありますが、寝る前に携帯を見つつゲームなどの需要も奪われると思います。
スマートフォンに対抗するかどうかではなく、「今まで携帯ゲーム機がカバーしていたけど、携帯ゲーム機でなくても良かったもの」が奪い取られ、結果として市場が小さくなって立ち行かなくなるだろうという予想ですね。
ゲーマーだけでハードをどうこうできるか、というとそこまでコアユーザーはいないだろうというのが私の意見です。
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- 2011年11月15日 22:10
- 単純なシェアだけならスマートフォン(携帯)に勝てるものは何もないでしょう。ほぼ全ての人が持っていますから。でも器用貧乏ですよね?あれも出来る。これも出来る。でも専用機には及ばない。
スマートフォンがあくまでも携帯で在る以上、超えられない壁は存在します。
携帯がデジカメを取り込んで何年も経ちますが、いまだにカメラ市場は健在です。
これが答えじゃないでしょうか。
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- 2011年11月15日 23:02
- スマートフォンの売上のほとんどはちょっと胡散臭い課金ソーシャルゲームだろうし、残りのゲームにしても据え置き。携帯ゲーム機のパクリゲーム(移植ゲーム)で成り立ってるので、パクリ元(移植元)の携帯ゲーム機が廃れて一番困るのはスマートフォンの方だと思う。
今の時点では大手の売上の大部分は携帯ゲーム機からだと思うし、まだ飲み込まれてるとは思えないです。スマートフォンは参加企業が多すぎて総合売上がでかいだけで、企業の個別の売り上げとしては決して高くない気がします。
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- 2011年11月15日 23:41
- 長年のコアゲーム機ユーザーだと自負していましたが、気がつけばXBOXは壊れたまま放置、PS3のゲームは買っても年2本。
pspやdsでこそ買っていますが以前ほどでは・・
最近のiphoneアプリレベルでこれならもういいかな、と思ったりすることもありますが、それは600円~2000円の高額アプリの場合。
個人的にはスマートフォンのゲームにはまだまだ、これでしばらくがっつり遊んでやるか!というものは少ない気がします。
もしゲームの変質でこのへんが変わらないか、悪化するならゲームという趣味はあくまで暇つぶしのレベルに落ちてしまうのでしょうね。
それが悪いとは思いませんが、趣味、というくくりではなくたしなむもの、というものになるのでしょうか。
発売日を指折り数えて楽しみにまつもの、が趣味というくくりのひとつと思っていますので、どこまで「ゲーム」がそういう存在でいられるのかが、この変革時期にきになるものです。
乱文しつれいしますた。
あ、本かえました。
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- 2011年11月16日 12:20
- ゲーム自体の衰退はゲーマーとしては心配ですね。
スマートフォンではモダンコンバット3が「類を見ない素晴らしいもの」ですが、パクリ元とされる「Modern Warfare」に比べると全てにおいてただ虚しくなる位ですし・・・しかも据え置きとiOS版の「Dead Space」の違いで確認できるように、表現できるものが酷く限られていますし(スペックではなく、身体切断・性的表現はマーケット基準でまず不可能)、「より大きい市場」を狙うためにゲームの素材も表現もある程標準化される(ディズニーやハリウッドのように)ことも予想されます。
これに対して、まるで「全てのゲームが○○ロワイヤルになる」ような恐怖を感じるのは自分だけでしょうか。ただの危惧に終わるといいのですが・・・
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- 2011年11月16日 19:54
- ▼?さん
ほとんどが課金ソーシャルゲームかというと、そうでもないかと思います。
少なくない割合だと思いますが。
なんにせよそのソーシャルゲームがゲーム機を食っているわけで、比較の意味はあると思っています。
売上については高いならそれだけで十分です。
少なくて多いならそれはもっと凄いですが、売上があるということはそれだけの母体があるということで、参入するりゆうになりますし。
ゲーマー向けとしては比較にならないかもしれないですが、「暇を潰す市場」としてみるとスマートフォンゲームは非常に強力な存在だと思います。
コメントありがとうございました。
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- 2011年11月16日 19:57
- ▼らいんさん
私もコアユーザーだと思っていましたが、凄いゲームはゲーム機で、そうでないものはiPhoneに移ってしまいました。
ゲームの発売日を指折りまったり、前情報を手に入れるのも楽しい状況が続くといいと思っていますが…そういう願いを込めて新作ゲームは好きなものだけ紹介しています。
本、ありがとうございます!
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- 2011年11月16日 19:59
- ▼NONAMEさん
私もゲーム自体の衰退が心配ですね。
どうなっていくのでしょうか。
日米共に一種の「カジュアル化」が進むのはさけられないとは思いますが、やりごたえのあるゲームは残って欲しいものです。
(欲を言えば主流で…)
ゲーム専用機はそういったコア向けに注力していくことになるのかもしれません。
携帯機はスマートフォンと据え置きの狭間で存在意義を保てるかが微妙だと思います。
コメントありがとうございます。
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- 2011年11月16日 20:05
- ▼?さん
確かに、単純なシェアでスマートフォンに勝てるものはなくなるでしょう。
ただ、どれだけユーザーがかぶるかというのが重要だと思います。
私の考えでは携帯機は「暇つぶし」をメインにしている携帯ゲーム機はスマートフォンとかぶりすぎるのではないかと思います。
据え置きの専用ゲームとスマートフォンの間で、携帯ゲーム機は徐々に姿を消すのかなぁ…というのが予想です。
あくまで予想なので、コアゲーマーをがっちりつかんだ何かが出てくるかもしれませんが…。
コアゲーマーだけで乗り切るにはゲーム機設計・販売はカネがかかりすぎるのでカメラのようにはいかないと考えています。
それに、ハードウェアという部分では携帯とカメラではカメラ機能が携帯のほんの一部なのに対して、スマートフォンのハードはゲームハードとほぼ一緒なんですよね(小さなPCですから…)。
カメラは携帯が及ばない機能を提供しますが、携帯のゲーム専用機はスマートフォンが及ばないほどの何か、はコントローラー以外提供できなくなってしまうでしょう。
量産数が違いすぎます。
コメントありがとうございます。
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- 2011年11月16日 22:53
- 携帯ですから一度爆発的に広がってそして落ち着くと思います。
メーカー、ユーザーともにすでに限界を感じている所もあると思います。
(コスト、操作性、質等)
それと、携帯ゲーム機は今のスマートフォンの先、すでに暇つぶしを越えた所に行っているかと。
僕も本買ってます。
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- 2011年11月18日 18:38
- ▼3さん
爆発的に広がって、携帯ゲーム機に取って代わる気がします。
携帯ゲーム機の需要って、ゲームをやると言うよりも「どこでも暇潰せる」というところが大きかったと思うので。
私のようなゲーマーはスマートフォンのゲームの質では満足しきれませんが、満足してしまう人の方が多くなると思うのです。
すると逆ざやで性能を上げて販売し、ソフトの販売数で売るビジネスができなくなってしまう(コアユーザーしか残らないから)。
一度低きに流れた水は戻らないので、ユーザーの多いスマートフォンで勝負せざるを得ないという考えですね。
携帯ゲーム機が今のスマートフォンの先を行っているというならそれを私に教えてくれるようなゲームを是非メーカーに出していただきたいですね。
私の考えも抜けている所が多いと思うので、「俺がゲームのプロだ!」という何かを見せてくれることには期待します。
私にはVitaが性能が良くてコントローラーが付いたスマートフォンにしか見えないので…。
コメントありがとうございます。
スマートフォンゲームは、ツールとしてスマートフォンを持っていることが前提の市場です。
対して、携帯用ゲームは、ゲームをすることが前提の市場です。
スマートフォンゲームは、ゲームとしての求心力を持つ必要がありません。スマートフォンの付属物としての性能を高めれば、売上が上がります。
対して、携帯用ゲームは、ゲームとしての求心力が強く求められる市場です。そもそも購買層が一致しているのかに疑問が残ります。
現状、両者はシェアを比べられる同一の市場にいるのでしょうか?
携帯用ゲーム市場は、スマートフォンゲーム市場に対抗する必要があるのでしょうか?