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レビュー:レッツ!ゴルフ3

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タイトル:レッツ!ゴルフ3
ジャンル:ゴルフ
価格:基本無料(評価は450円課金換算)
日本語対応:あり
Retina 対応:あり
販売元:ゲームロフト | Version:1.0 | GameCenter:独自の実績システム有り | 対応機種:iPhone / iPod touch / iPad

総合評価:3.5(かなり面白い:450円程度の課金でプレイを想定)
+わかりやすく、お手軽な操作性
+多彩なコースと美しいグラフィック
+やり込まないでなんとなくプレイするなら前作より安い
+オンライン対戦完備
−短期でやり込もうとすると通常のアプリ以上の課金が必要

レッツ!ゴルフ 3の詳細・DLはこちら(itunes)

レッツ!ゴルフ3はゲームロフトの人気ゴルフゲームシリーズの3作目。
プレイステーションの人気ソフト、『みんなのゴルフ』の制作に関わったスタッフが作っているという噂もあるが、1作目からそれも納得の完成度だった。
ゲームロフトのゲームは「○○っぽい」と言われることが多いが、大抵のゲームは元ネタのゲームの表面や設定だけ盗んで面白さを盗めてない
が、このゲームだけは完全に面白さまで『みんなのゴルフ』なのだ

3作目となる本作は大胆な変更がなされている。
まず、キャラクター制を廃してプレイヤーの分身となる「アバター」を作るシステムへの変更と、必殺技の廃止
wifiを利用したオンライン対戦モードの追加。
そして、最大の特徴「フリーミアム」化。
ただ、まずはフリーミアムについて一旦置いておき、まずはゲームの概要から説明しよう。

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このゲームは誰でも楽しめるお手軽で楽しいシステムのゴルフゲーム。
スイングは自動でパワーメーターをタイミングを測って止める形式で、ゲージが行ったり来たりして戻ってくるので空振りがない
プレイヤー目線と、着弾地点から見た視点と2通りで確認できるので打つ方向は決めやすいし、風向きなどのゲーム中の情報もわかりやすい。

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ショット後は画面右に表示されるボールをフリックするとスピンをかけられる仕組みになっており、類似のゲームと比べて遥かにスピンをかけやすいのも初診や向けか。
やさしすぎるように見えるかもしれないが、分かりやすさと親切さを備えた設計だ。

前作から定評のあったグラフィックは更に進化して美しさを増しており、ただコースを廻るだけではなく対戦相手と回れる「デュエル」、様々なルールでホールを回る「チャレンジ」と3種類のモードがあって一人用のボリュームも大幅進化。

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中にはGOLFの文字にショットを当てて揃える「語ルフスター」やグリーンが的になる「ターゲットショット」など面白いものもある。
前作と比べるとゲーム内容だけ見れば正統進化と言えるか。

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アバターはホールを回って経験値を得るとレベルアップし、「パワー」「狙い」「リカバー」「パター」の4種類の能力をプレイヤーの好みにあげていける。

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また、プレイを通じて得られるお金で服や装備をパワーアップさせていける要素も。
ちょっとずつ色々揃えて行ったり、好みのアバターを作るのはやはり楽しい。
さまざまなキャラクターがアクションを見せる楽しみはなくなってしまったが、これはこれで悪くはない。

オンライン対戦を行うにはGameloft LiveのIDが必要となる。
対戦相手のショットを待たずにどんどんプレイする、「成績を比べるだけ」の形式なので相手のショットシーンなどを見ることは出来ず、対戦している感覚はあまりない(iPad2のみ対戦相手が見える)。
また、プレイヤーごとにアバターのレベルも違うのに、ハンデや能力に制限をつけたりする機能がないのも不満か。
対戦の快適さを重視した結果とは思うが、もう少し何とかならなかったのかとも思う。

前作にはなかったオンラインモードの追加、全体的なパワーアップ…名作と言われた2の後継作に恥じない作り込みと言える。

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さて、ゲーム説明を終えたところで最大の変化と言える「フリーミアム」化について説明しようと思う。
「フリーミアム」というのは、基本は無料だけれども深く楽しむには追加でお金を払う必要があるゲーム形態。
GREEやモバゲーなど、ゲーム内で使うお金やポイントを購入して有利になれる系のゲームがフリーミアムの代表と言える。
無料分だけで楽しむには良いが、やり過ぎると「ただより高いものはない」という状態になってしまう恐ろしい形態で、このゲームの場合は普通は手に入りづらい「キャッシュパック」というゲーム内通貨を現金で購入する。

「キャッシュパック」の使い道は3つ。
1つめはゲーム後半の部分を最初からできるように、プレイしていなくてもステージを出現させる使い道。
忙しい社会人などには気楽に全コースを出すというのが面倒だろうし、歓迎できる使い方と言えるか。

次に特別なアバター用アイテムやゲーム内通貨の購入
「キャッシュパック」で購入できるアイテムは見た目にも特別で、装備にはレベル制限もなく能力も強い。
序盤から強力なアイテムを使えるというバランスブレイカー。
露骨に強いのでオンライン対戦で使われると理不尽を感じることはあるが、これも1人でやる分にはOKだ。

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賛否両論なのは最後のプレイ回数の購入
このゲームをプレイするには「EP」と呼ばれるプレイチケットが必要で、1ホール回るのには1ポイント、9ホール回るチャレンジは9ポイント、オンライン対戦は3〜6ポイント必要など、遊ぶ内容によって消費量はさまざま。
「EP」は無課金の場合最大5ポイントまでたまり、1時間ごとに1ポイント回復していく仕組みだ。
(課金で購入した「EP」に関しては、無課金でたまる5ポイントと別に無制限に蓄積される)

つまり、無課金では5時間ごとに5ホール回ることしか出来ず、ゴルフゲームの5ホールなどせいぜい10分で終わってしまうので体験版程度のボリューム
上手な人であれば体験版+アルファ、そうでなければ体験版以上のプレイは期待できない

だが、慣れてくると話は変わってくる
毎日Gameloft Liveにログインすると最大で5ポイントまでの追加「EP」が獲得できるため、基本の5ポイントに加えると毎日10ホールは連続で回れる計算になる。
他にもイーグル以上でホールを終えたときとレベルアップ時に「EP」が回復し、「キャッシュパック」もレベルアップ時に手に入るなど、課金しないでもそこそこ遊べるシステムがあり、短い通勤時間ぐらいなら十分に無料でも楽しめるようになる
副産物として、やり直しが効かないのでプレイに緊張感があるのも良い

他にも直接でなくともフリーミアム化の影響はみられる。
例えばステージデザイン。
序盤ステージ評価を最高にするためには飛距離を伸ばす強力な装備か余程のレベルアップが必要で、「やりこんで強くなったら、最初のステージに戻ってEPを消費してください」という開発側の目論見が感じられる。
対戦モードに関しても、ハンデなどの設定ができないのは「有料アイテムを購入した人に気持ちよく勝ってもらおう」という配慮に思えてしまう。

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フィジー、中国、水中に果ては宇宙までというコースの多彩さも「先が気になるなら課金してアンロックしてね」という意図からと思われるが、そのために魅力的なコースが出てきたのは数少ない良い影響か。

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1日に数ホールだけプレイし、毎日Gameloft LiveにログインしてボーナスEPを取得、レベルアップでたまった「キャッシュバック」で時々長時間プレイする。
そんなプレイスタイルの人には最高のゲームになるだろう。
また、450円の課金で130ホール回れる(1ホール2分と計算しても4時間以上は遊べる計算だ)し、1日30分程度で遊ぶならEP回復やボーナスで2ヶ月ぐらいは毎日遊べる。
やり込むほどにはプレイしない人にはかなりの良作といえる。

そしてマニアには…前作よりもはるかにウケは悪いだろう
短期間できっちりやりこむにはプレイ代金だけで2000円以上になるだろうし、現金を出さなければゲーム内の装備をコンプリートすることもできない。

ゴルフゲームというのは傾斜や風向きの対応を覚えてハイスコアを出すゲームなので、何回もやり込むジャンル。
レッツ!ゴルフ最新作が2000円と言われれば、私はそれはそれでいいのだが「でも、本当にそれですむのか?」という漠然とした不安を抱えながらゲームをしてしまう
やり込み派が安心してハマれない。
ファンとして言うならばこんな形のレッツ!ゴルフは嫌だった
ゲームのフリーミアム化、ソーシャル化が進む中で、自分が好きな作品がこのような形になることは間違いなくあり得る…あと何回こんな感想を抱くのだろうか、と考えさせられた。

冷静になって言えば、「払う人からお金を搾り取る装置」のようなフリーミアムゲームが多い中で450円〜1000円程度でもきっちり遊べて楽しい『レッツ!ゴルフ3』はフリーミアムゲームとしては抜群にコストパフォーマンスはいい
装備も有料アイテムに対してゲーム内だけで揃うアイテムで対抗できなくもないし、最終ステージに到達するのに気の遠くなるほどのプレイ時間が必要なわけでもない。

重ねて言うが、このゲームはひと通り触る程度なら450円でもかなり遊べるし、やりこんでも2000円程度で済む。
ゲーム内容は優良なゴルフゲームで前作よりも進化している

ただ、集中してプレイしたいプレイヤーががっかりするフリーミアム要素があるだけだ…。
時間のあるときにガッツリやり込みたい人はレッツ!ゴルフ2を買おう。
あれは今でも十分素晴らしい。