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僕のゲームが好きな人と一生つながっていたい。『moon』から『BLACK BIRD』までつながるインディー開発者の生き方 | 選りすぐりBitSummit

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5月12日(土)~5月13日(日)にかけて、京都の“みやこめっせ”で行われるインディーゲームの祭典BitSummit Vol.6。そこに出展者から、注目の作品・人を紹介する「選りすぐりBitSummit」を本日よりお送りする。
第1回は『Million Onion Hotel』(以下、ミリオン)で2017年に日本のスマホインディー界隈を沸かせた木村祥朗さん。
木村さんが出典する『Black Bird』は、誰にも救いの手を差し伸べられずに死んだ少女が、まがまがしい黒い鳥に生まれ変わり、人間に復讐する循環型シューティングである。
シックな色遣い、ミュージカルのような音楽、そして不吉な空気がする独特のゲームへの期待感も高いが、そこは実際に会場で体験していただくとして、今回はスマホから Nintendo Switch / Steam 向けのシューティング『BLACK BIRD』に移るまでの「間」と、ゲーム作りにかける想いを聞いた。

木村祥朗さん
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オニオンゲームズ代表で、旅人でゲームデザイナー。主な作品は『Moon』、『勇者山田くん』、『Million Onion Hotel』など。

<インディーは世界に羽ばたかなくてもいいのではないか>
nama
今日はお時間いただきありがとうございます。順番として『BLACK BIRD』の前に、まず『ミリオン』のお話を聞かせて下さい。
『ミリオン』のリリース時に、「これを売って、箱庭RPGを作りたい」というようなことをおっしゃっていましたが、手ごたえはいかがでしたか。

木村:
微妙なところで、完全に成功したと言い切れないんだけど。失敗でもない。
うちの会社の“何か”を担うものにはなっている。この話をしている今も世界のどこかで売れているし。

nama
収益得られたけども、『Moon』っぽい作品を作る貯金はできなかったという感じですか。

木村:
そう。正直な感想は「負けてないけど、勝ってない。」赤字じゃないし、悪くない儲けになった。だから負けてない。悔しいけどRPGを作るSTEPへは行けない。だから勝ってない。これがリアルな感想です。

nama
日本で成功させて、世界に持っていくという感じでだいぶ世界を意識していましたが……どこでうまくいかなかったのでしょうか。

木村:
結局、アメリカでのダウンロードとかの稼ぎ方はよくわからなかったな、って。
普通に考えて『ミリオン』は海外向けだと思っていたけど、ふたを開けたら日本でもすごく売れたんだよね。

nama
え、日本の売り上げが高かったんですか!?

木村:
みんな「インディーは世界に飛び立とう」なんて安直に言うけど、世界に飛び立ったらライバルがたくさんいて埋もれる事だってある。日本ならみんなに直接アピールできる。
うちのゲームは世界でも日本でもわりと「見られている感じ」があるから言えるのかもしれないけど、本当に大事なのは、日本を大事にすることじゃないかな。
単純によく言う「世界に羽ばたくインディーゲーム」に対しての疑問符は結構強いよ。僕らの文化、僕らのドット絵、僕らのゲーム性。「日本」を大事にしたうえで世界に出していくほうが、結局いいと思う。

<インディーゲームファンとのかかわり>
nama
「Steamで世界に売れる!」とか言われている中で、日本を大事にというのは少し驚く言葉ですね。
しかし、実際に『ミリオン』を見ていているとのぞきみクラブってメルマガを発行したり、開発日記をだしたり、ときに直接のコミュニケーションとったりして、他のインディーと比べて目立ってファンを大事にしています。それらの影響があったのでは?
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※のぞきみクラブは1万人程度が登録するメルマガ。情報を届けるだけでなく、マスコットキャラクターもいる。また、ミリオンリリース時もGoogle Spread Sheetで開発日記を公開し、ファンが自由に書き込み、その書き込みに木村さんが回答することもあった。

木村:
たいした事やってないっていうか、とにかく色々やってますが、実験につぐ実験で、活動がうまくいってるのかどうかもわからないっていうか(笑)
面白そうだからやってるだけです。ただ、結果的に言うと、確かに、メルマガとかとTwitterでリリースを告知した日の『Million Onion Hotel』のダウンロード数はやばかったんです。

nama
イベントに出展してファンの方に話したり、グッズを売ったりもしていますよね。

木村:
みんな物理グッズが好きみたいで。開発ノートやCDはかなり売れて、もっと作ればよかったかなと。ただ、後からの追加生産が難しいし。

nama
あとは、たまねぎ商店で開発お蔵出し動画やグッズを売っていたりもして、結構手間をかけてますよね。収益源にもなっているのでは?
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木村:
そういうのを見れるんだっていうのが、みんな嬉しいのかなって思ったんだけど。実際はあれね、自分たちも嬉しかったってのもあるんだよね。
1つ商品出すたびに焼肉食べに行けるぐらいなんだけど、みんなの気持ちで焼肉食べることにモチベーションがわく!
ファンも楽しいし自分たちも肉焼けるのでウィン・ウィンです。
▲なんと2日連続で焼き肉を食べ、やる気を出すオニオンゲームズの面々!俺たちの課金が、スタッフの血肉になってる!

nama
たいした事やってないって、ファンサービスを大事にしているじゃないですか(笑)
他のインディー開発者見ていても、そこまでしているところってないですよ。

木村:
ある意味、当たり前のところはあって。
僕のゲームって(ニッチだから)世の中のほとんどの人にとってどうでもいいんですよ。
普通はスルーされて、ある特定の層の人にだけ引っかかる。なら、一生を通してその人たちとのつながり方を強化しておかないと、好きなゲームを作り続けられないし、僕のゲームを必要としている人に届かない。

nama
作り手が大事に思うところが商品性重視でないからこそ、インディーゲーム開発者全般が直面する話題ですね。

木村:
メジャーでポップで可愛いゲームを作ってね、ライトユーザーに訴求するものを作れたらそれはそれで幸せなんだけど。
卵が割れて黒い鳥が出てきて、人間を破裂させるゲームを作るような人はファンは探していかないと(笑)

<ミリオンからBLACK BIRD、その先へ>
nama
ミリオンはあの時期にスマホで有料で、完全オリジナルという意味で挑戦的でしたが、それ以外のところも挑戦していたんですね。そして、ようやく『BLACK BIRD』ですが……『ミリオン』を作った後で変わったこととかありますか?

木村:
実際は『ミリオン』作っている裏で『BLACK BIRD』を作っていたりもして、ゲーム自体に影響はあまりない(笑)
けど、僕の中では最初から流れはあって。

nama
とすると、『ミリオン』から『BLACK BIRD』には最初から予定された流れがあった?

木村:
僕の夢として、ゲームを途切れずに出していって、その流れでコンシューマーゲームを作って、それがさらにRPGを作るところまで道がつながっているといいなって。
KICKSTARTERで「これに命をかけているからよろしく」って言うよりも、もっと頑張ってゲームを出し続けて、そのお金でRPGを作りたいと思っている。

nama
実際、ファンからしたらオニオンのゲームがたくさん出て、買って遊べたら嬉しいですね。

木村:
そう。好きをたくさんゲームで作り続けたい。
だから『勇者ヤマダくん』から『ミリオン』は1年半以上あったけど、『BLACK BIRD』は2018年夏予定で『ミリオン』から1年未満。会社が忘れられずに盛り上げるには、そういうペースで作って売れないと。

nama
たくさんゲームを出しつつ力を蓄えていく方向を考えていて、『ミリオン』が1つのステップになり、第2ステップの『BLACK BIRD』が出て、大成功ではなく成功しながら地道に続いている、ということになるのでしょうか。

木村:
そうです、続いてます。
「大きくても小さくても地道に作品を作りつづける」
本来そうあるべきだろうなと思うんです。
いや、僕だってKICKSTARTERに挑戦したいって気持ちはありますよ。あとどこかのスポンサーがお金くれたら、それでいきなりRPG作れるかもしれない。それも有りです!お金は欲しい!
でも、そういうのとは別に、自分達にやれること、基本の基本は地道に作品を作って、お客さんに見てもらえるかどうかという戦いがあって、その戦いから逃げたくないというか、作る側と遊ぶ側の人生通してのKICKSTARTERみたいなものが実は根底にあるというか。

nama
『moon』のキャリアから始まって、遊ぶ側に自らのゲームを問い続けて『moon』規模のRPGまで続ける……木村さんの中で、長い道、生き方が見えているんですね。
とすると、遊ぶ側に対するアプローチ……ファンに向けて積極的に関わるインディーゲームのあり方を模索するのでしょうか?

木村:
うーん、わかならい(笑)
結局は俺はゲーム作る人だからさ、開発モードに入るとそっちに集中しちゃう。
この間Twitterで開発日記書こうと思ったけど、もうダメ。たぶん、更新途絶えた(笑)
日記書くより『BLACKBIRD』遊んで、修正すべき箇所を探したい。

nama
インディーで開発しつつ、自らコミュニティと会話するのは手間がかかりすぎる?

木村:
やった方がいいかなとか思うけど、結局、そこでゲーム開発をとっちゃう。作りたい人間なのよ。
でも、そのぶん『BLACK BIRD』には味が出ていると思うし、BitSummitにくるみんなに、『BLACK BIRD』を見て色々言って欲しい。
批評されることに対してはウェルカム。久々にコントローラーのゲームを作っているから、やっぱり粗相はあると思うよ(笑)
でも、言ってくれれば直せるから、BitSummit Vol.6に来て、プレイして感想ください。

nama
『BLACK BIRD』のことを聞く前に、いい感じで締めてくれましたね。じゃあ、あとはBitSummit Vol.6にやりに来ればわかる!ってことで。

木村:
このやろう、またそれか(笑)
(※Million Onion Hotel発売直前インタビュー参照)

以上。

今回、スマホゲームサイトであるゲームキャストが Nintendo Switch / Steam 向けシューティングを出展する木村さんに注目したのは、単にゲームが面白いというだけではなく、彼が常に日本のインディー開発者の中で冒険している、という感覚があったからだ。
「コミュニティと会話するのか?」という問いに「開発を取っちゃう」などという木村さんだが、BitSummit Vol.6では『BLACK BIRD』を出展するだけでなく、体験版を100円で販売するという。そこからまた何か体験版を購入したファン向けの展開も視野にいれているかもしれない。
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ゲームはもちろんのこと、彼の動きは常に注目すべきものがある。もちろん、『BLACK BIRD』が終わったらひょっこりスマホに戻ってくることもありえるし、そのとき彼の流れを知っておくとより楽しめるはずだ。

木村さんの率いるオニオンゲームズの『BLACK BIRD』は、BitSummit Vol.6のG-06ブースで体験できる。

関連リンク:
BLACK BIRD公式サイト

アプリDL:
Million Onion Hotel (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

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1.『moon』から『BLACK BIRD』までつながるインディー開発者の生き方
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3.命なき世界に生命を作る『World for Two』。リア充がインディゲーム開発を始めるまで

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5.文字通り”作者が生きてきた証”のゲーム『RPGタイム!~ライトの伝説~』

コメント一覧

    • 1. 玉ねぎ戦士
    • 2018年05月09日 22:43
    • この方には毎度底知れぬカリスマを感じるんだよなあ
      生粋のエンターテイナーって感じ
      萌えばっかの媚びゲーパクリゲー排出社畜プランナーどもに一泡吹かして欲しいわ〜

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