スマホウォッチ4:Kindle Fire の呪いで歩みを止めるAndroid。
iPhone4Sは iPhone 3GS から iPhone4 へ移行した時以上の革新がある最高のゲーム用スマートフォンで iPhone 4S に iPad 2 並の恐ろしい性能があることは以前書いたが、Android はそれに追いつけないまま終わってしまいそうだ。
その原因は Kindle Fire にある。
Kindle Fire は予約開始初日で9万5000台、5日間で25万台以上の予約があったというから驚きだ。
Android 端末は US だけで 3000万台以上出ているはずだが、その中でも Kindle Fire は圧倒的なシェアを獲得するだろう。
Galaxy Tab は Sumsung の訴訟問題で足元が不確かなタイミングというのも Kindle Fire に追い風になっているようだ。
が、これは Android のゲームに致命的な傷をつける事になると予想する。
なぜかを説明する前に、 Kindle Fire の性能を確認していきたい。
Hack My Kindle Fire の動画によると、Android のベンチマーク QUADRANT のスコアは約2000。
AnandTechなどのデータと照らし合わせると下記のようになる。
(Galaxy SとKindle Fire のスコアはベンチ結果を目視で測ったおおよそのスコア)
単純には言えないのだが、このスコア2000がどの程度かというと iPhone 3GS の性能を使い切ったゲームが処理落ちしながら動く程度。
筆者はスコア2230の HTC EVO 3D を所有しているが、同じゲームを起動するとロード時間などは短縮されても画面の動きの滑らかさなどでは iPhone 4 に劣る動作になる。
幾つかのメーカーのゲームで試したが(あえて名前は挙げない)、大手のメーカーでもそれは変わらないようだ。
つまり、Kindle Fire はゲーム機としてはそれほど期待できない。
が、圧倒的シェアを持つことになると思われるのでゲームメーカーは無視することもできない。
iPhone でも良作を出している 10Tons が Kindle Fire へ注力 するという記事があったが、「開発中のゲームを Kindle Fire に対応させろ」という指示が出た会社の噂も幾つか聞く。
携帯電話ならば2年のサイクルで切り捨てることもできるが、「Amazon から音楽や書籍を DL して楽しむ装置」と考えるとそれ以上に長く活躍する事も考えられる。
Kindle Fire は売れるだろう。
だが、Kindle Fire に向けた商売が重要になるために Android のゲームは性能を使い切った豪華なゲームが出づらくなるという足かせを付けられる。
さらにもう1つ。
「最新のデュアルコアCPU!」
「最速のAndroid!」
などと、威勢のいい言葉が並ぶことの多い Android の端末だが、ハードウェアがバラバラなため、ゲームを最適化(特定の機種にあわせて早く動くようにする)することが出来ず、実際に動かすと Android 端末ではゲームがスムーズに動かない。
先に例に出した HTC の端末はベンチマーク上で iPhone 4 を圧倒しているものの、同じゲームを動かしてもスムーズさで iPhone 4 に劣ってしまう。
Kindle Fire の OS のバージョンは Android 4.0 が出る時代に、 Android 2.3 をカスタムしたもの。
最近は Google が(実質)推奨している Tegra チップを積んだタブレットが出てきていたが、Kindle Fire の性能は表を見てのとおり足踏み以下である。
ハード面、OSのバージョンでも Android の主流を後戻りさせ、最新デバイスへの最適化を妨げてしまう Kindle Fire。
もうこれは呪いと呼んでも差し支えないのではないだろうか。
以前から「2年後は…」等と言われていた Android だが、このままではその時が来る前に次世代のゲームの形と言われるストリーミングゲーム(ネットワークにつながれば本体の性能に関係なくゲームがプレイできるプレイ形態)の時代を迎え、少なくともゲーム関連では iPhone の後塵を拝したまま終わってしまいそうだ。
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