連載でソーシャルゲーム規制が与える影響について書いていくと宣言したものの、取材が長くなってしまってなかなか記事が書けていない中、ソーシャルゲーム内で恐らく初と思われる「事件」が起きた。
なんと、モバゲーの『ガンダムカードコレクション』内でランダムにカードを引き（以後、ガチャと呼ぶ）、コンプリートするときに必要な最大金額が実質上明示されたのだ。
今回はこれについて書きたい。
今回このゲームが採用したのは「ボックスガチャ」と称するガチャ形式。
あらかじめ決まった数のカードが用意され、その枚数だけカードを引けばその中に目当てのカードが必ず含まれる仕組み。
例えるならコンビニの1番くじのようなもので、決まった数のくじのなかに決まった数の当たりが混じっているので、くじを買い占めればすべての景品が当たるわけだ。
実際にやってみよう。
ガチャガチャのなかには「SR（スーパーレア）」が100枚、「R（レア）」が200枚、さらにイベント限定の「特攻SR（SRの中でも特別なSR）」が40枚、「UR（ウルトラレア）」が１枚。
計341枚が入っている。
それより価値の低いコモンカードとアンコモンカードは無限だが、今回これは問題にならない。
理由は後で説明する。
試しにガチャを回してみると「R」が１枚「SR」が１枚当たった。
すると、「SR」と「R」の横の数値が減っていることがわかる。
この数値が徐々に減っていき、コンプリートまで最大で何回ガチャをすればいいのかわかる仕組みだ。
このゲームでは無課金のガチャと課金のガチャにわかれており、ボックスガチャでは無課金の場合は「コモン」〜「UR」が出現し（細かく言うとさらにあるが、ここでは触れない）、課金で10連ガチャを回すと「特攻SR」「UR」1枚＋「R」以上のカード9枚が保証される。
全体で341枚なので、運が悪くとも10連ガチャ34回で目当てのカードが手に入る仕組みになっている（もちろん、そこに行き着く前にURが当たる可能性のほうが高いだろう）。
約10万円でコンプリート可能で、少し冷静なプレイヤーならば金額を考えて課金するか否かを判断できるわけだ。
ネットでは「コモン、アンコモンが無限なら表示の意味は無い」などと曲解した書き込みがあったが、今回は課金者に対して「最大で10万円かかる可能性があります」と明示したのが今回の「ボックスガチャ」である。
その上で「課金していなくてもガチャでSRが当たる可能性があるけども、可能性は低い（＝コモンとアンコモンは無限）」と言っているわけだ。
版権元の創通エージェンシー / サンライズ は古くからエンターテイメントに関わっており、コンプガチャの規制がなぜ行われたのかを受け止め、この判断に至ったのだろうと予想する。
ガチャの金額を表示すればいいのか、単純に確率を表示すればいいのか、というと私はまだまだこれで解決とは思わない。
子供と大人を同じ土俵において、積んだ金額で優劣をつけるイベントを行なっている上、その金額をぼかしているゲームは全て終われ、とすら思っている。
が、他のメーカーに比べて一歩進んだ情報開示をしていることを今回は評価したい。
コンプガチャの規制に対して「レベルアップガチャ」など新たに射幸心を煽るばかりの仕組みを導入するメーカーもあるのだから。
▲とあるゲームのレベルアップガチャ、10回で１度だけレベルアップしたガチャを回せる…。
最近、ソーシャルゲームに関する取材を行なっているが「青少年保護」などの観点から様々な検討をしているゲームメーカーがある一方、4Gamerのインタビューでも見られるように、もともとゲームなどに関わっていなかったメーカーは非常に問題意識が低いことを感じる。
コンプガチャ規制の規制は単に表示上の問題として片付けず、各社はもっと問題の本質に切り込んでいってもらいたいと思う。
先ほど書いたとおり、まだまだ問題はある。
問題はあるが、今回は創通エージェンシー・サンライズの判断を評価したいし褒め称えたい。素晴らしい！
おまけ
コモン・アンコモンの数も明示されていた頃のボックスガチャ。
コモン・アンコモンだけで4700枚で、単純計算でもURの出現率は0.02%以下。
思ったよりも低かった。
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