2022年2月8日、Twitter上で気になるツイートがバズっていた。先日から、「ゲームを作ったことのない、遊んだこともない、それどころかちょっと嫌いな人たちのゲーム作り」を仕事でサポートすることになったんですが、「なぜゲームは楽しくなくてはいけないか」という哲学のようなことを説明……いや説得するところから始めているので、とても勉強になります
— シアン:Circles' Square (@hachiman_cian) February 8, 2022
ツイートの主は、あまりゲームを知らず、どちらかと言えばゲームをちょっと嫌いな人たちとゲームを作る仕事をしているという。
そして、会議の結果「射幸心をあおらず、爽快感も達成感も過度に刺激せず、それでも自発的に毎日続けたくなるゲーム」を作る方針になったとか。
果たしてそんなゲームがあるわけが……ん……思い出してみると、結構あるぞ!?
ということで、今回はそんなゲーム群を紹介していく。
ちなみに、ガチャどころか『ねこあつめ』ですらランダムに集めて図鑑を埋める射幸心があるのでだめ……ということらしい。
今回は、そのあたりを基準に考えてみた。
協議の結果、既存の名作と呼ばれるゲームではあまり類型が思いつかないんですが「射倖心を煽らず、爽快感も達成感も過度に刺激せず、それでも自発的に毎日続けたくなるゲーム」を目指すことになりました。
— シアン:Circles' Square (@hachiman_cian) February 8, 2022
なんですねんそれ!!!!
Chill Corner (Steam 無料)
部屋で過ごす人と、動物を眺めるアプリ。
部屋を眺めることでコインがたまり、これで部屋をデコレーションする要素はあるものの能動的にプレイすることはほぼない。
部屋を見て、いい雰囲気の音楽が流れることを楽しむアプリ。もはや音楽プレイヤーかもしれないが、毎日やりたくなる。
Steamのレビューでは「今ゲームを親に禁じられてるけど、このゲームならカスタマイズ出来る壁紙て言ったら使えた」などと言われている。
ランダムにやってくるガラクタが山につもり、長期スパンで景観が変わっていくことを楽しむゲーム。
ガラクタはタップすると何かしら少し反応するので「今日のガラクタはなんじゃろな」と、少しずつ楽しめる。
あと、退屈になったらピアノを引くこともできる。
マイ・チャイルド・レーベンスボルン (App Store 370円 / GooglePlay 330円)
ナチスドイツの政策によって、望まずに生まれてしまった子供を引き取り、元ナチスの占領地で育てるアドベンチャー。
ナチスに蹂躙された土地の人々は子供に厳しく、無垢な子供が迫害されることを止めることはできない。
学校で、社会でつまはじきにされる子供を育て、守る苦しいアドベンチャー。
苦しいが、子供の行く末が気になって最後まで遊んでしまう。教育系ゲームでもあるので、ゲームに否定的な人にも受け入れられそう。
紹介記事:遊ぶほどにつらくなる。ナチスの優勢人種生産施設で産まれた子供を育てるゲーム『マイ・チャイルド・レーベンスボルン』レビュー
紹介記事:遊ぶほどにつらくなる。ナチスの優勢人種生産施設で産まれた子供を育てるゲーム『マイ・チャイルド・レーベンスボルン』レビュー
ひとがいなくなり、ジンコウチノウたちが戦争を続ける惑星で、ただひとり残っているプレイヤーが機械の残骸を集め、アンテナを拡張してだれかと交信する……という設定のゲーム。
アンテナを拡張すると、宇宙に向けて短いメッセージを発したり、ほかのプレイヤーが書いたメッセージを受信できるようになる。
送る相手、受け取るメッセージの指定はできず、海に向けて手紙の入った瓶を投げるボトルメール的なアプリ。
独特の終末世界観をもつため、寂しいメールが多かったり、諦念を示すメールがあったりと、独特のロールプレイ要素のある文面が興味深い。
過度の爽快感や達成感はなく、「今日は何がとどくかな」と好奇心で毎日起動できる。
紹介記事:涙が出るほど、やるせない。無力な大人が読むSF物語『ひとりぼっち惑星』レビュー
紹介記事:涙が出るほど、やるせない。無力な大人が読むSF物語『ひとりぼっち惑星』レビュー
ふしぎの森でコーヒーを (App Store 無料 / GooglePlay 無料)
疲れたOLが不思議な森に迷い込み、そこでコーヒーを入れて静かな時間を過ごす……という放置系ゲーム。
焚火の音を中心とした静かな森の表現に癒される環境アプリで、時間とともにコーヒーの木が育ち、収穫物と引き換えにキャンプグッズが手に入ったり、物語が進む。
コレクション要素もあるがゲーム進行スピードが速く、貯める達成感は薄い(静かな喜びといった感じ)。
静かに癒されるため、毎日少しずつ物語を進めるために起動できる。
紹介記事:夜が明けない森で、キャンプを張って自家焙煎コーヒーを淹れる『ふしぎの森でコーヒーを』レビュー。コーヒーを片手に遊びたい、癒やしの非日常を提供する環境アプリゲーム
Bury me, my Love (App Store 370円 / GooglePlay 390円 / Steam 520円)紹介記事:夜が明けない森で、キャンプを張って自家焙煎コーヒーを淹れる『ふしぎの森でコーヒーを』レビュー。コーヒーを片手に遊びたい、癒やしの非日常を提供する環境アプリゲーム
シリア難民・ノアが戦火にあるシリアを脱出し、ヨーロッパでの安全な生活を目指して危険な旅に出る夫婦の様子を描くテキストアドベンチャーゲーム。
プレイヤーは夫マジドとして、ヨーロッパへの亡命を求め旅に出た妻のノアとスマホのメッセージアプリで連絡を取り、目的地に辿り着けるようにアドバイスしていく。
ゲームは現実にリアルタイムで会話しているように進み、昼に送ったアドバイスの結果を夜に報告してくる……というように進む。
ゲームは現実にリアルタイムで会話しているように進み、昼に送ったアドバイスの結果を夜に報告してくる……というように進む。
シリア難民に取材して作られたドキュメンタリーのような性質を持ち、選択肢によって物語は分岐し、19の異なるエンディングが用意されている。
どんどんつらい環境に陥る妻の様子とか、見知らぬ男にやさしくされて「あの人は怪しくない、頼りになるのよ!」とか返されて不安になるなど、ゲームの先が気になって続けてしまう。ポケモンスマイル (App Store 無料 / GooglePlay 無料)
口の中の「むしばきん」に捕まってしまったポケモンたちを助けるため、歯みがきして「むしばきん」を倒すという低年齢向けの歯磨きサポートゲーム。
上手に磨くことができれば、助けたポケモンを手に入れられる。
ポケモンを集める要素はあるが、教育的な側面があるので許されそう。
おまけ:
This War of Mine (App Store 370円 / GooglePlay 1,600円→200円 / Steam 1,980円)
戦争に巻き込まれ、身を守るすべのない市民の生活を描いたサバイバルゲーム。
昼に外に出れば銃撃され、夜は荒んだ他の市民や、火事場泥棒に苦しめられる。
しかも、冬が近づく中で暖をとるアイテムや、食料がなければ死を待つしかないので外出しなければならない。
そんな中で家族を守ったり、友人を守らなければいけないという苦しい作品。
サバイバルゲームとしても面白いのである種の達成感はあるが、上達していない状態では資源が足りず、「少ない食料で妻と子供、どっちを見捨てるのか、それとも分け合って死ぬのか」というような極限プレイが続く。
筆者自身、初めてクリアしたときは「やっと終わった、良かった」みたいな気持ちだったことを覚えている。
「面白さや達成感を辛さで打ち消せばOK」みたいな理屈、ダメかなぁ。
紹介記事:プレイヤーの心が死んでいく…悲しみの戦争SLG『This War of Mine』レビュー
以上が、ゲームキャストの探した「射倖心を煽らず、爽快感も達成感も過度に刺激せず、それでも自発的に続けたくなるゲーム」だが、いかがだっただろうか。
「面白くても苦しさで打ち消せばOK」的なメソッドもあってズルした気もするが、まだ「こんなゲームがある!」などあなたの考える「射倖心を煽らず、爽快感も達成感も過度に刺激せず、それでも自発的に続けたくなるゲーム」があれば、コメント欄で教えて欲しい。