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ジュースを飲むとガチャが引ける飲料メーカーのソシャゲ『THE KING OF FIGHTERS D~DyDo Smile STAND~』はなぜ終了したのか - サービス終了ゲームを想う4

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『THE KING OF FIGHTERS D~DyDo Smile STAND~』(以下、KOFD)は、夢のゲームだった。
知名度の高い『THE KING OF FIGHTERS』のスマホ向け格闘ゲームというだけでなく、Dydoの自動販売機でドリンクを買うと1円につき1ポイント貯まって、300ポイントでガチャが引ける面白い機能が付いていたのである。

想像してみて欲しい、ジュース3本(ペットボトルなら2本)飲むたびとFGOなり、グラブルなりのガチャを引ける世界を……まさに、全国に自販機を展開するDyDoだけが作れる夢の世界ではないだろうか。
しかし、本作は夢をのせたまま半年でサービス終了となってしまった。
なぜか。ガチャを回したいほど面白くなかったからである。
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最初に断っておくと、私はこのゲームを隅々までは遊んでいない。
しかし、ネット上を見ると本作を本の少しプレイした記事がせいぜいだったので、記録として残すために書くことにした。
本作の基本モードは“D”という謎の人間が開催する格闘大会を制覇するストーリーモードなのだが、最初の鹿児島ステージをクリアするとDyDoのポイントアプリ『Smile Stand』登録が促され……。
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▲連携すると女性格闘家チームが全員もらえるし(本作ではNキャラでも重ねていくとSSRになるからNレアリティでも重要)、10連ガチャ1回分のポイントも手に入るから、面倒には見合う内容だ。

そのたびに連携アプリが落ちて、サービス終了まで先に進めなかったのだ。独自のストーリーは面白そうだったので、この点については非常に残念に思っている。
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しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
CPU操る他プレイヤーの軍団と戦う全100層のタワーを戦うアリーナが登場し、未連携でも楽しむことができたので、その経験で記事を書いている。なお、対人戦はマッチングできたことがないので遊んでいない。
さて、断りを入れたところでゲーム内容の紹介に入ろう。

本作がサービス終了した理由はこんな私でも「面白くなかったから」と推測できる。
本作は3人のキャラクターでチームを組んで戦う簡易格闘ゲームで、KOFキャラクターから特徴的な技だけを抜き出して遊べるように作られている。
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移動は前転・後転のみ、攻撃は画面右タッチによる最大3連までの通常コンボを出し、必殺技は画面右側スワイプによる3種類(強弱はない)、画面左タッチでガード操作(上下の概念なし)。
そして、各キャラ1種類の超必殺技を持ち、バトルを通じて貯まるゲージを消費して利用できる。
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基本的には通常コンボから必殺技、必殺技から超必殺技がつながるようにデザインされていて、簡単にプレイできる。しかも、操作は簡単(オンライン対戦を視野に入れて作られているため、反応が鈍かったり先行入力時間が長かったりするため、慣れないと操作性に文句を言うプレイヤーもいたようだ)。

で、この格闘ゲーム部分は破綻していた。
スマホ向けに制限なく遊べる『THE KING OF FIGHTERS-i 2012』が配信されているから物足りないとか、そういう話ではない。
レビュー:THE KING OF FIGHTERS-i 2012 これぞKOF完成形!

KOFなどの格闘ゲームの基本は、打撃・ガード・投げの3すくみで、お互いに崩し合うようになっている。しかし、本作には投げがない。攻撃にも上段しかないので、ガードを崩すものがないのだ。
つまり、ガードを続けて敵が攻撃してきた隙に反撃する戦術が最強となる。私はこの戦術でアリーナを1回も負けずに駆け上った。
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▲CPUが時折超反応で攻めに対応してくる対策としてもガードは有効。

で、システムが破綻していればバランスもおかしい(いや、KOF的にバランスが悪いのは正しいのかもしれないが)。一部キャラクターは通常攻撃が連続技になっておらず、つながらない。
ジョー東などは通常技の1段目を当てても2段目からガードされ、初段ヒット確認を要求される超高難易度。
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ではステータスで優遇されているのかと言えば、同じレアリティ・同じレベルなら全キャラ能力は同じという仕組みで、単純に「ガードから強い連続技がたたき込めるキャラクターが強い」ため、ジョー東は最弱である(きっぱり)。
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一方で、大門は超強い。なぜならガードを崩せない本作において、ガードを無視する必殺技投げを持っているからだ。
『KOFD』は、KOF史上もっともジョー東が弱いゲームであり、大門が強いゲームと言えるだろう。
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簡易化された格闘ゲームでも『BLAZBLUE REVOLUTION REBURNING』などはアジア圏でヒットを飛ばしていたりもするが、キャラ育成ゲームとして簡易化された分をソシャゲ的な面白さで補っていた
(あと、システム的に破綻もしていない)。
そういった工夫もなく、イベントも少なくてはサービス終了は自然な流れだろう。

一方で、このゲームが好きか嫌いかで言うと私は結構好きだった。
コラボもののゲームでは、原作キャラクターが製品宣伝にかり出されて、それがギャグとしての面白みを生むことがある。
本作は、その点においてかなり良かったのだ。
まずガチャ演出。京がDyDo自販機にコインを入れて華麗にボタンを押すガチャ演出は、笑いなしで見られない。これを見ただけで「ダウンロードして良かった」と思えたものである。

ガチャからキャラクターではなくDyDoのドリンクが出てきて「おい、アイテムが出るガチャかよ!」と突っ込んでしまうのだが、これもまた実はご褒美ポイント。
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詳細を見ると、各ドリンクへのKOFキャラクターによるコメントが見られるからだ。で、このコメントはレアリティによって熱量が違う。
レアリティNのドリンク“ダイドーブレンド ブレンドコーヒー”では
「苦いのが苦手な私もこれは大好き。あなたも飲んでみない?」
などと普通にアテナが製品を紹介しているのだが……。
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Rドリンク“デミタス微糖”では、
「この青き輝き。私のアーマーと同色を選ぶとは、この会社は良いセンスをしている」
と、DyDo自体を持ち上げ始める。
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SSRのドリンク“デミタス甘さ控えた微糖”ともなると、
「コーヒーなんざ、どれもいっしょ(ゴクッ)…なんだこりゃ?うめぇ(小声)ギース様へ報告するしかねぇ(心の声)」
と、ビリー・カーン昇天。
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風属性のSSRドリンクに至っては、不知火舞が飲ませてくれる“DyDoミルクセーキ”。
もう、酷すぎて笑いがこらえきれない。
これに気づいたとき、仕事仲間に見せてみんなで大笑したものだ。
だから、ストーリーにもネタが仕込んであると思っていて、ストーリーモードは本気でやりたかったし、遊べなくて残念と思ったわけだ。

ただ、本作の面白さは一瞬遊ぶネタゲーとしての面白さであって、『KOFD』は長期的に遊ぶには辛いゲームであった。サービス終了もいたしかたあるまい。
とは言え、ジュースを飲んでガチャできるというアイデアは良かったので、人気ゲームでコラボしてくれるとありがたい……とは思う。

※本記事はアフィリエイト記事の下記の記事で約束したため書いたものです(ダウンロードしてくれた10人の方、ありがとう!でも、やったらネタ的に楽しかったので満足)
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