ゲームメディアの皆さん『シノアリス』の運営状況の周知のため、少し力を貸してください。
読者の皆さんについては、『シノアリス』は、プレイヤーのために魔晶石消失バグの存在を明かすべきではないか?から始まった記事の(当分は)最後になると思いますので、おつきあいください。
シノアリスの運営は、知るかぎり最近のゲームの中で最もひどいものの1つだと思います。しかし、ゲームの攻略やおすすめ記事は掲載されていても、ひどい状況を周知する企業メディアはGameDeetsさんしかありません。その状況を変えたいと思っています。
シノアリスのここまでの状況は、以下の通りです。
・6月6日、サービス開始。同時にさまざまな不具合が報告される
オンラインゲームは、本番(数万人が同時のバラバラにプレイする)を完全にシミュレートできないので、一般サービス時にバグや想定外の現象が出るのは避けられません。これ自体は仕方ないと思える事件です。
・6月9日、不具合を抱えたままサービス継続を宣言
【シノアリスをプレイいただいている皆様へのお願い】
— SINoALICE -シノアリス- (@sinoalice_jp) 2017年6月9日
通信エラー問題と緊急メンテナンスのため、皆様に大変ご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ございません。
シノアリスをプレイいただいている皆様へのお願いがございます。恐れ入りますが、本ツイートの画像をご確認いただけますと幸いです。 pic.twitter.com/bpSEpLcXio
バグの原因が特定できず、課金系の不具合も発生しているなかで、サービス継続。本来は課金に関わる機能は止めるのが正しいあり方でしょう。
ろくにプレイできない中でも、この時期にゲームをお勧めする記事がなぜかメディアに掲載されていきました。
・6月11日、課金アイテムの不整合修正を告知
【魔晶石の処理に関する不具合についてのお詫び】
— SINoALICE -シノアリス- (@sinoalice_jp) 2017年6月11日
魔晶石処理の不整合について、対応完了し不具合が解消したことをご報告いたします。現在は処理が正常に行われる状態に回復しております。本不具合による影響範囲を調査後、補填をさせていただきます。大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
課金系のトラブルは一大事件です。基本的にはバグに関わる機能を停止にするか、課金を一切停止するか、どちらかを行うべきです。この修正宣言の直後から、ゲームキャストには魔晶石が消失したことが伝えられていました。
しかし、「直った」と誤った案内を流し、そのままサービスを継続しました。
・6月16日、課金アイテムの消失バグをようやく公表。しかし、サービス継続
【6/16 不具合対応】についてご報告をさせていただきます。詳細は本ツイートの添付画像をご確認ください。皆様に大変をご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。 pic.twitter.com/cvMJIIqCNz
— SINoALICE -シノアリス- (@sinoalice_jp) 2017年6月16日
『シノアリス』課金バグの存在を認めるで書きました。魔晶石消失問題が直ったとして課金を続け、実際は直っていないことを一切謝っていません。
高負荷時に発生する各種障害は根本的なDB周辺かトランザクションの設計に不備を抱えていることを示唆しており、一般的に短期間のメンテナンスで直るものではありません。実際にサービス開始時から一切修正されていません。
また、現在不具合を公式ページでも告知しておらず、Google検索にもかかりづらい画像でTwitter告知しています。
不具合を知られること、情報として残すことを恐れるのはわかりますが、誠実な企業のやることとは思えません。少なくとも、深くお詫びする企業の態度ではありません。
被害の拡大を避けるため、致命的なガチャとプレゼント機能、AP購入の停止し、消失を避けるべきでしょう。「高負荷だから」という言い分が通るのであれば、どんなバグだって「高負荷で」修正せずに通せてしまいます。
また、この状況であれば高負荷を作る状況は避けるべきですが、イベントやゲリライベントを継続しています。 時限イベントであればプレイヤーはAP(スタミナ)などを回復しようとします。しかし、高負荷なのでエラーが発生してしまいます。
サービスを続ければプレイヤーは脱落して負荷は少なくなりますから、それまで待てば確かに解消はされます。しかし、東証一部上場企業グリーの子会社としてあってはならないことだと考えます。
グリーの経営成績を見ると決算である6月に利益を稼ぎたい中で、シノアリスが毎日億単位の金を生み出すので止めたくない誘惑はあると思いますが、上場企業としての姿勢を見せて欲しいと思います。
このような状況でサービスを続けては、グリーグループ全体のコンプライアンスを疑われます。
ということを、これまで伝えてきました。
しかし、私が『シノアリス』に呼びかけても限界はあります(メールの返事すらいただけません)。
そこで、他のメディアの皆さんもこの状況を見て『シノアリス』について報じていただけないでしょうか。
このような状況を許してしまうと、プレイヤーにも業界にも悪い影響があると思うからです。
ソーシャルゲーム黎明期はともかく、最近では大手のトップゲームでここまでひどいもの(致命的なバグを告知せず、放置してサービスを続ける)は見当たりませんでした。
せっかくCESAなどもガチャの新基準を発表して1年で各社が遵守するようになり、業界として自主規制を始めようとしていますが、また「売れればそれだけでいい」商売に逆戻りなのでしょうか。
この問題を無視すれば、それが当たり前になって他のメーカーが続いてしまうかもしれません。
コンプガチャ問題は加熱するグレーゾーン商売が行きすぎて規制されたものです(個人的にはバカらしい規制だと思っていますが、一定の効果はあったでしょう)。
これを見過ごしたら、オンラインゲーム業界全体の悪いイメージが強くなってしまうかもしれません。
オンラインゲームは他のサービスと異なり、一度始めるとそのゲームに乗り換え不可能な財産(課金額・レアカード・友人など)が発生するためプレイヤーが乗り換えを行いづらい。なおかつ、面白さや体験が全てなので運営の良し悪しには大きな価値がつきません。
よって良い運営のゲームよりも、面白くてひどい運営のゲームの方がプレイヤーも集まるし、さらに言えばお金が貯まればCMもうてるので、何をしても儲けた方がより成長してしまいます。
プレイヤー誠実であることにインセンティブが働かず、これまでも「ライバルに負けないために」グレーゾーンへ入っていく傾向が強い業界です。
そこで業界でも有名なグリー子会社のポケラボが、トップセールス上位(瞬間的にFGOすら超えた)ゲームで率先して「課金バグは直さなくても後で補填することにすれば大丈夫」と悪い例を示しているとき、それを止めるのも我々の役目ではないでしょうか。
今回もメディアは本格的に問題化するまで見過ごすのでしょうか。
なにより、このような状況で『シノアリス』を読者に勧めることはメディアの信用に関わるのではないでしょうか。
ゲームメディアの大変さは私も理解しているつもりです。本来の存在意義である「埋もれているが良いゲーム」の紹介記事はPV(アクセス数)を稼げないので、真面目に探して書くほどコスト赤字が膨らみますよね。
その昔「2時間(プレイ時間込)で1記事書け」と言われたとき、私は「2時間ではゲームに失礼だ」と怒って結局書けなかったのですが、今思えば収益の中でギリギリだったのでしょう。
PVを狙うなら売れているゲームの攻略や時事ネタを紹介していくことが最適解になりますが、1PVあたりの収益は2chまとめなどと差がない(どころかステマや詐欺リンクができないので負けることも)のに、彼らと違って情報の裏をとったり検証するのでコストがかかるし、記事を出すのも遅くなって不利。
たまに間違えると「あの××が間違えた!」と、2chまとめに晒される。そして彼らのPVになる。
不利な中で収益源となりそうなのがメーカー公式のリアルイベントだったり、攻略系のwikiを運営することだったりします。
また、雑誌やファングッズを販売する会社には「人気ゲームのコードが付属するか」が生命線になります。
そうすると、メーカーの公認を得るためにご機嫌伺いをしなければならない。
とくに雑誌が乱立していた数年前は「○○社が気にするかもしれない」と、自主的に記事が修正されていましたね。呼び出されて謝った例もあると伝え聞きます。
ファミ通がコナミと喧嘩した頃ならいざ知らず、アプリ業界ではメディアはトップメーカーの犬になりやすい傾向があります。
しかし、そんな状況でも守るべき一線はあるのではないでしょうか。ゲームメディアは、メーカーの犬になりすぎていませんか。
mixiの人気ゲーム『モンスターストライク』のイベント“モンフェス”で熱射病被害者がでたとき、どのゲームメディアもそれを報じることができませんでした。
「mixiさんのプレスリリースを載せて、うちで宣伝して、うちの読者が行っているのに、大切な読者になんてことを!」と怒るべきだと思ったのですが、そういった記事は一切出ませんでした。
新聞やTVニュースで報道されているのに、です。正直、驚きました。
『シノアリス』の件は命がかかっているモンフェスよりは軽いでしょうが、今回も無視を決め込むのでしょうか。
AppBankの宮下さん、私が会社にいたとき「AppBankはYou are my Firends」と聞かされていましたが、AppBankは友人である読者にこのような状態のゲームを勧めるのでしょうか。
GameWithさん、上場おめでとうございます。会社ページのトップにやってくる「ゲームをより楽しめる世界を作る」はプレイヤーを守ることで実現されると思いますが、いかがでしょうか。
ファミ通Appさん、『拡散性ミリオンアーサー』の不誠実な運営に関して私がメディア各社に「このようなゲームを読者に勧めるのか」とメールを送ったとき、1通も返信がいただけませんでした。しかし、その中で唯一ファミ通Appさんだけがサーバー状況などに記事で少しとは言え苦言を呈してくださいました。今回も侠気をみせていただけないでしょうか。
その他の攻略メディアの方も、ゲームメディアの方も、いかがでしょうか。
私のように単体で記事を書かなくても、シノアリス攻略のトップに「高負荷のため、課金に関する致命的なトラブルがあるため、直るまで課金をしない方が良い」「ガチャやプレゼント受取で消える可能性があるので証拠画像を撮るべき」などと書くのは読者のためになるお知らせです(これ自体、異常ですが)。
すでに出したお勧めレビュー記事に注記を入れるのもいいと思います。
ソシャゲの黎明期は終わりました。こう言った状況は業界全体で変えていかなければいけないと思うのです。
ゲーム会社の方は、そう言った動きのある企業メディアさんを支援していただければ、と思います。
以上です。
そして、ここからは面倒ごとを避けるために書いておきます。
このような記事を書くとPVや小遣い稼ぎと言われますが、そのために書いているわけではありません。
そもそも現在livedoorブログを使用しているためPVから収益は発生しませんし、本来やりたかったゲーム紹介の記事が埋もれて小遣いが減ります。さらに、元々の読者である新作ゲームを探す方はこのような記事に嫌気がさして避けるので騒動が収まると全体のPVは下がります。
メーカーとの関係、メディアのメリット、双方にこういった記事を書くメリットがないからメディアは記事を書けないのです。それでも、書くべきと思っているから書いています。
シノアリスに関しては新情報の証拠を握るまで記事を書かない予定ですが、現・元ポケラボの方、グリーの方などからの情報提供はgamecastblog@gmail.comまでいただければ、対応いたします。