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メディア・業界の方へ『拡散性ミリオンアーサー』の不誠実な運営に私は怒っています。

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今、自分はとても怒っている。
日本を代表するゲームメーカーでスクウェア・エニックスが提供する『拡散性ミリオンアーサー』で、ユーザーに不利な調整を、イベント途中でいきなり行うという、運営の誠実さを疑いたくなるような事件が発生したからだ。
ミリオンアーサーはゲームではないという記事を書いたので、もう扱わないようにする予定だったが、あまりにひどい事件を伝えるべく、この記事を書いている。
事件はミリオンアーサーでは定番のポイントイベント“神界戦争”で発生した。
ポイントイベントとは、探索や敵を倒してイベントポイントを入手して、景品を獲得するイベント。
景品は入手したイベントポイントの合計、そしてプレイヤー間のランキングに応じて手に入る仕組みとなっている。

今回のイベントはアイテムがいつもよりやや簡単に入手でき、有料ガチャから出現する“特攻カード”を集めると、イベントポイント獲得に使用する回復薬の消費量よりも、イベントポイントで獲得する回復薬が多くなることがあった。
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「お金を払ってカードを手に入れればポイントイベントで有利になる上、アイテムをためることができる!」ということが判明すると、これを利用してポイント・回復薬をためるために課金するプレイヤーが続出。
個人差はあるが、特攻カードを揃えるには数万円程度かかるので、決して安い買い物ではない。
必然的にミリオンアーサーのセールス額は上昇した。
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が、16日に不具合と称してイベント中に予告も無く獲得できるイベントポイントを半分以下へ修正。
現在は回復薬の消費量よりも、イベントポイントによる回復薬獲得量が多いという状況は起こりえない。
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課金で手に入れたカードの効用が運営側の都合で大幅に低下し、プレイヤーが望んでいるほどの効果を得られなくなってしまった。
単純に計算してもカードの効用は半分以下、「アイテムをためる」という動機で購入したプレイヤーにとってはもっと低い価値に落とされてしまった。

わかりやすく言うならば

スクエニ「ポイント稼ぎやすいカードを売りますよ!」
プレイヤー「超お得!買った!」
スクエニ「あ、すいません、やっぱりお得すぎるのでポイント稼げる割合半分にします」

という事件である。

ただ、スクエニの謳い文句は「強敵に対するダメージ3倍・5倍」という文言であり、その効果自体は変わっていないので、法律上は問題ないのかもしれない。
が、プレイヤーは強敵にダメージを与えるために特攻カードを購入するのではなく、ポイントを入手してその結果を受け取るために購入している。
実質的なところを考えれば偽の効用をちらつかせて万単位の金をだまし取った誠意のない商売と言われても仕方がない。

オンラインゲームのイベントで問題が発生した時、修正しなければメーカー側が困るのはわかる。
しかし、課金したユーザーたちが不利になるだけの方向で調整するのでは誠意がないと思われても仕方がない。
イベントを早期に終了したり、ルールを変えないで行い続けるという選択肢もあったのではないだろうか。
明らかな運営側のミスを「不具合」「不正」と片付けていてはプレイヤーの信頼を得ることはできないし、ひいてはゲーム業界全体の信頼に関わるといえるだろう。

たまたま目立つ大きな変更があったので非常に騒がれているが、今回のことは氷山の一角に過ぎず、ミリオンアーサーでは常にこのような事が行われてきた。
ミリオンアーサーがゲームとして、そして商売を行う会社として誠意があるのならば、今までのことを反省し、謝った上で出直す段階に来ていると思う。
これを見ているスクウェア・エニックス社員の方がいれば、ぜひこの話を会社でして欲しい。

そして、もう1つ。
ミリオンアーサーを扱っているメディアの方々へ。
このような事件がおきているミリオンアーサーは読者に勧められるゲームといえるのか考えていただきたい。
読者に安心してプレイできるゲームを勧めるメディアとして、ミリオンアーサーに問題提起していくのが読者に対する誠実な態度だと自分は思っている。
ぜひ、ご一考を。


最後に、これまでミリオンアーサー運営が行なってきた中でも印象が良くなかった事件を付記しておく。
これは、ミリオンアーサーがゲームになることを信じて、晴れてゲームと認められるほどのものになったら「ミリオンアーサーの道」として公開したいと思って記録していたものを今回に件に合わせて修正したものである。

2012年5月4日:黄金ガチャという名前のコンプガチャ実施。
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コンプガチャに対する世間の目が厳しくなっている中での実施。
翌日、消費者庁からコンプガチャについての見解が示される。

正直、良心のあるゲームメーカーだったらあの時期にコンプガチャをするのは避けるところだろう、と思った。

2012年5月5日:土日コロシアムで運営側の考慮不足を「不正」扱い。
プレイヤー同士が戦い、連勝数と勝利数に応じて加算されるGWポイントを競うイベント。
ただし、プレイヤーの対戦履歴に弱いプレイヤーがいた場合、弱いプレイヤーを何度も攻撃することで連勝数を稼ぐという技があった。
システム的に問題なかったはずのこの行為を「不正」とし、イベント中にシステムを変更。
同じプレイヤーに攻撃するには一定時間置かなければならない仕様となった。
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これは運営の想定ミスであり、明らかに不正ではない。
当時の仕様の問題で、連戦するためには強いカード1枚を残して全てのカードを捨て去る必要があったので、この戦法を取るためにカードを泣く泣く捨てたプレイヤーは結構ひどい目にあった。

2012年7月:限界突破実装
同じカードを合成することで限界レベルが上がる限界突破システムを導入
それまで最高ランクで入手困難だったSR+が複数枚なければ最強になれないという仕様。
SR+よりもR+など現実的に複数枚手に入るカードを限界突破した方が強力になることが多く、課金してSR+を手に入れていたプレイヤーは持っていたカードの価値は一気に低下した。
必然があるならばともかく、突然にカード能力を実質デフレさせすぎた感がある。
もっとゆるやかに(それこそ最初は1枚だけなど)導入していくべきシステムに思えた。


2012年8月:覚醒ふぃーばー事件

7月に倒した妖精が覚醒する覚醒システムを導入し、レアリティの高いカードを落とす覚醒システムが実装。
まったく覚醒しないでプレイヤーがじれている中、“覚醒ふぃーばー”と称して覚醒率アップ。
妖精発生イベント期間の2週間を頑張るより、覚醒ふぃーばーの2日間だけをプレイしたほうが効率が良い、というプレイヤーの努力を馬鹿にしたイベントを予告なく実施。
「妖精が手に入らないから、課金してひたすら狩らないと!」と課金したプレイヤー激怒。


2012年8月:サイン入りカード実装

夏に合わせて水着カード、そしてホログラムには声優サイン入り!という煽り。
しかし、未だにその声優の声は実装されていない。
1月末に実装された。


2012年9月:卑弥呼ちゃんカード集められすぎ問題

強敵を倒すか、探索で手に入るイベントポイントを競うイベント“生徒会神卑弥呼ちゃん荒ぶる!”。
その中で、プレイヤー同士の対戦“アーサーコロシアム”にてイベントポイントの数値調整ミスにより、効率良く戦うことで“回復薬の消費量<イベントポイントによる回復薬獲得量”になることがあった。
勝利することで強敵退治・探索をはるかに超える効率で大量のポイントが貰えたので、低コストのパーティーでバトルして戦うことが流行。
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翌週のアーサーコロシアムでは下記の文面が掲載された。

2012年9月15日(金) 21:00から2012年9月17日(日) 23:59開催のアーサーコロシアムにおいて、バトル時のデッキコストに関係なく、ほぼ同等量の卑弥呼ちゃんマークが得られ、より多くのBCを使用された お客様におかれましては、不公平に感じられる仕様となっておりました。
つきましては、次回2012年9月21日(金) 21:00から2012年9月23日(日) 23:59開催のアーサーコロシアムでは、バトル時のデッキコストに応じた量の卑弥呼ちゃんマークが得られる仕様へ変更させていただきます。


もっともらしい説明をしているが「お金をかけずに効率よく稼げたので修正します」以外の何者でもない。
これは単純に運営側の考慮漏れであり、もちろん後発のプレイヤーは著しく不利となった。
もう1つ書いておくと、今回のケースとまったく同じタイプのミスでもある。


2012年10月:「これからずっと超絶UPの3倍UP」
超絶UPと言っていたガチャのSレア排出確率がそのまた3倍にアップ。
カードの出る確率が低かった時代に頑張った課金者にはダメージの大きな仕様変更となった。
なぜ、ゆるやかな変更ができないのか理解に苦しむ。


まだまだ他にもある。
次回イベント予告で「有料ガチャ全員大幅割引」と告知したが、実際に始まってみると初めてガチャを利用するプレイヤーだけと小さな字で書いてあったり、妖精の出現率を変更する、覚醒率を変更するなどの細かい変更は随時行われているし、スクウェア・エニックスに限らず大なり小なりソーシャルゲームの世界ではこのようなことを行なっているゲームが散見される。
なぜ、このような不誠実な行為を次々と行えるのか。
自分には理解できない。

2012.12.17 17:45追記:
なにかしらをやらかすたびに「お詫び」と称してガチャチケット・回復薬などを一律で全ユーザーに配っているが、課金額に対して誠実なお詫びとして機能しておらず、再発防止策なども一切提示されていないものなので私は評価していない。
ガチャチケットも課金で回すガチャよりも明らかにレアの出現率が低く思え、額面通りの価値はないように見える。

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