『艦これ』のヒットで課金を強いる基本無料ゲームは終わるのか:ゲームを語るぜ6
ここ最近、「艦隊これくしょん」ブレークの背景 ソーシャルゲームの新しい可能性とは?などの記事の影響か、「課金で勝つ搾取ゲームは終わる」とか「ソーシャルゲームが終わる」というような話題がネットで囁かれている。
上の記事にも「ガチャや対決で“課金を強いる”形態から、プレイヤー側が“自然に課金したくなる”形態へ。」という文章が見て取れる。
果たして、そんな時代は来るのかということをちょっと考えてみた。
結論から言うと、どんどんゲームを楽しむために必要な金額は安くなり、それは止まらないと思う。
そもそも、ソーシャルゲーム…と言うより基本無料ゲームといっておこうか。
基本無料ゲームにおいて、プレイヤーが最低限払わないと楽しめない金額は業界が始まって以来ずっと下落している。
今でこそゲームの開始時にレアカードがもらえたり、いわゆるレアガチャを回せる仕組みは珍しくない。
が、たった3年前はスタート時にレアカードすらもらえないものが多かった。
ゲームのサービスが始まると1月もすれば課金しなければほぼ何ももらえず「課金するか、まったく結果が出ないか」という状況も珍しくなかった。
▲今でこそ初期に強めのキャラクターをもらえるが…。
この状態を打破したのが『ドラゴンコレクション』だ。
ガチャチケットを無課金者にも配り、イベントも複数のタイプを用意して無課金者・中課金者・重課金者それぞれが楽しめる難易度のものを用意した。
そして、それをさらにおし進めた『パズル&ドラゴンズ』。
『ドラゴンコレクション』では最強クラスのレアカードは重課金者専用に近かったが、無課金でもガチャ運が良ければそれが手に入ってしまう。
基本無料ゲームのプレイヤーの大部分を占める無課金層は、無課金で楽しめればいいわけで、より無課金で楽しめる方へ流れていく。
結果的に、一定のクオリティを持ちつつ、最初に価格破壊した者が勝つ。
そして、それを体験したプレイヤーはそれより楽しめないものにはよほどの動機がなければ戻らない。
だから業界としては同じ気前の良さでもっとクオリティが高いか、より気前の良い方向へどんどん進んでいくしかない。
単純にキャラクターだけを見てもソーシャルゲームをずっとプレイしている方なら、イラストの質が数年前より格段にあがってきているのが分かるだろうし、イラスト以上の付加価値(キャラクターが動く、ストーリーがきっちりつくなど)がついてきているのがどれだけ豪華か分かるはずだ。
▲ここまでのものはめったにないが、昔はノーマルカードのイラストといえば酷かった。
で、冒頭の話に戻ってここからさらに基本無料ゲームが「ガチャや対決で“課金を強いる”形態から、プレイヤー側が“自然に課金したくなる”形態へ。」に移行するかというとならないと思う。
先日『艦これ』が登録者40万、アクティブユーザー80%と発表したが、これは自分がプレイしていてイベントの順位をみていると『アイドルマスター シンデレラガールズ』を上回る数字。
少なくとも人が増える程に収益が上がるのであれば、今頃あれば畳み掛けるようにサーバーを増設しているはずだ。
『艦これ』はゲーム単体では良くてトントン、無軌道にサーバーを増設してしまうと人が増えるほどに赤字ということもありえる。
つまり、『艦これ』は業界有数のユーザー数があってもゲーム内の課金圧力がほぼない(せいぜい入渠ドック拡張2000円程度だ)状態ではゲーム単体で黒字を出すことは、日本では難しいのではないか、というのを証明したと思っている。
角川が後ろ盾にいてメディアミックスが決まっており、ゲーム自体がそのプロモーションとして機能しているからいいが、キャラクターものならともかく、多くのゲームがこうなれないはずだ。
なので、商売上の必要から課金圧力が残り続けていくはず。
が、今後もゲームの面白さがより安く、バリエーション豊かに提供されていく傾向は続くとも思っている。
「じゃあ、搾取ゲーがなくらないのか」というネガティブなことは、今思っていない。
自分は以前、ソーシャルゲームが出てきた時に「プレイヤーが増えた所で、こんなゲームじゃ…」と心の底から思っていた。
しかし、ポチポチゲーの演出がゲーム風に強化された『まぞくのじかん』、RPGバトル風ポチポチゲー『ブレイブフロンティア』、ストーリーに非常に力を入れている『ロード・トゥ・ドラゴン』、さらに家庭用のRPGをそのまま基本無料にした『チェインクロニクル』など、一昔前からは想像できないクオリティの基本無料ゲームが次々とリリースされるのを見て、考えを変えた。
▲チェインクロニクルは度肝を抜かれた。
ゲームとしてのクオリティはどんどん上り、それでいて安くなる状況は続いていく。
おそらく、1〜2年内には本当の意味でゲームの超大作の雰囲気のゲームだって出ているだろう。
そうなると基本無料ゲームが自体が(旧来のゲーム機のゲーム的な区分で)面白くなり、今まで眠っていたユーザーを掘り起こし、日本に第2のゲーム黄金期をもたらすのではないかと、最近では思い始めている。
皆さんはそういったことを感じるだろうか?
結局、未来はまだわからないのだが、また1〜2年後にこの記事を見つつ、なにか書いてみたいと思う。
アプリリンク:
まぞくのじかん(まじか)(itunes 基本無料 iPhone/iPadの両方に対応)
チェインクロニクル(itunes 基本無料 iPhone/iPadの両方に対応 / GooglePlay 基本無料)
ロード・トゥ・ドラゴン(itunes 基本無料 / Google Play)基本無料)
ドラゴンコレクション(itunes 基本無料)
パズル&ドラゴンズ(itunes 基本無料 iPhone/iPadの両方に対応)
ブレイブフロンティア(itunes 基本無料)