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開発元も拡散!?『拡散性ミリオンアーサー』の開発会社変更、新体制へ。

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電撃のミリオンアーサーインタビューで、おどろくべきことが判明した。
Vita版のPRだけかと思っていたら、スマホ版開発会社が変わるというお話に。
Vita版の開発は『どこでもいっしょ』などで有名な家庭用ゲームメーカービサイド。
まだ明かされていないが、おそらくスマホ版も同じと予想する。

しかも、クライアント・サーバー共に新プログラム(おそらく新規作成)を変更するということで、引き継ぎですらない。
せっかく動いているゲームの開発会社を変えるというのはよほどのことで、スクエニが本気で立て直しに来ている様子が見て取れる。
よほどのこと、とは言ったものの、最近の『ミリオンアーサー』を見てみればそれも納得する。
まず、ここ最近の低迷。
騎士団導入の2月1日から本日までの売り上げランキングが下記。
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そして、騎士団導入後の売り上げランキングが下記となる。
導入前は10位を長期割ることはほぼなかったのに対し、導入直後から20位ぐらいまで順位が低下し、さらに安定して2位に居続けることがなくなっている。
また、最近は70位台まである。
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このゲームは運営が悪いとずっと言ってきたが、残念なことに運営の悪さというのは人気があるうちはある程度見過ごされる部分がある。
それに、ソーシャルゲームの運営ではこれよりひどいところも多く見られる。
例えばKlabの『真・戦国バスター』などはイベントの変更やバグ対応について『ミリオンアーサー』よりはるかにひどい。
だから、ソーシャルゲームを遊ぶプレイヤーの間に「運営が信用できないからその動きを予想しながら遊ぶ」という心構えができており、少しぐらいのことでは離れないように思える。

しかし、ゲーム内容が傾けば話は別。
2月1日に今までの“妖精”システムを削除して導入した“騎士団”システムは明らかに失敗だった。
騎士団とは、毎日異なるプレイヤーとチームを組み、ライバルとして選ばれたチームとポイントを競い、報酬を手に入れるシステム。
モバゲーの『FINAL FANTASY BRIGADE』が成功させて以来、さまざまなゲームに取り入れられている仕組みだ。
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以下は新規プレイヤーに対する騎士団の2chテンプレ(常に掲示される重要事項)。

・歩かない(新規が歩いてサブを発見してもどうせ倒せないので、歩くと騎士団員の迷惑になります)
・叩かない(新規が叩くと低レベルのサポが上書きされ騎士団員の迷惑になります)
・ログインしない(ログインしないと騎士団から自動で外されるので、最も確実に騎士団に貢献出来ます)


分かりやすく書くと、「レベルの低いプレイヤーが行動すると、それだけで仲間の迷惑になるので行動するな、できればログインするな」ということだ。
実際、自分も騎士団導入後にシステムについて検討した結果、同じ結論になったのでガチプレイヤーの邪魔をしないよう最低限しかアプリを起動しなくなった。
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▲騎士団ジョブの技を弱いプレイヤーが使うと大迷惑に…。

『ミリオンアーサー』は「短時間でもなんとなく積み重ねでプレイして、そのプレイが蓄積されて報われた感じがする。」というポチポチゲーの典型的な内容だった。
そこにガチの要素を強制し、さらに旧来のプレイヤーが楽しんでいた機能を削除すれば不満は噴出し、段々とゲームの客を逃しているように思える。

さらに、騎士団開始直後に順位に影響する重大なバグがある(初日からプレイヤーが報告していた)にも関わらず騎士団のイベントを強行するなど運営のミスもありつつ、先日からサーバーの不具合(重い、エラーが出る)が継続しているのが致命打となって低迷しているようだ。
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▲いろいろあったけど、本命の打撃はサーバーエラーというのがすごい。

これらを考えると、プログラム入れ替えを含めて開発会社を完全に入れ替えるという判断になってもおかしくない。

プログラム・運営の対応案が今回の「根本から入れ替える」だとすると、今まで具体的な対応策が説明されてこなかったのもうなずける。
運営を変えると発表すれば、開発を担当している現場の士気が落ちてしまうからだ。

ただし、ミリオンアーサーがヒットしたことによって開発会社の負担が予想を大きく超えて大きくなり、スクウェア・エニックスと折り合わなくなってしまった可能性もあるということも書いておこう。

ソーシャルゲームの運営が悪いとき、原因は2つ考えられると思っている。

1つは純粋に運営のノウハウがなかったり、短期の利益を追う運営方針のとき。
もしくは「ソーシャルゲームとはそういうもの」と思っている客しか相手にしてないとき。
平気で客を馬鹿にした対応を行う。

2つ目はクライアントの限界。
クライアントがアップデートに対応していなかったり、やりたいイベントに対応していなかったりすると「データを変更したい」という時に何もできなくなってしまう。
おそらく、『ドラゴンコインズ』のバレンタインイベントの運営などはこれが原因なのではないだろうか。

で、『ミリオンアーサー』を見ていると1と2の両方を併発しているように思えるが、スクエニは今回の対応でどちらも一気に解消しようとしている。

まず、Vita版のプロデューサーである古川雄樹さんはケイブのヒットソーシャルゲーム『しろつく』のディレクターでもあり、ソーシャルゲームでは古参。
運営には長けているはずで、舐めた運営を一気に吹き飛ばしてくれるのではないだろうか。

クライアント(おそらくサーバーも?)を担当するビサイドはPS3『週刊トロ・ステーション』でオンラインを含む開発をしており、現行のスマホ版よりきっちりしたものを仕上げてくるだろう。
すでに新プログラムであるはずのVita版はβテストだが、バグがありつつもスマホ版のサービス開始時より遥かにまともにみえる。

同じスクエニの『ガーディアンクルス』は正常に運営されており、このレベルまで持っていけるのであれば、十分復活の目はある。
萌え層を取り込むプロデューサーの岩野さんのイラストレーター選別能力は高く、エロ・可愛いイラストだけで十分にその層に訴えるものがあり、スクエニのブランドの組み合わせと相まって今のところ『アイドルマスター』ぐらいしか勝てるものがないように見える。
なので、早期に正常化すればある程度客が戻ってくることも予想でき、再びランキングは上昇するだろう。

新体制へ移行する『ミリオンアーサー』がどのような経緯をたどるのか。
今はまだ分からないが、とりあえず新しい方向へ舵を切ったスクエニの判断を評価したいと思う。

最近ではソーシャルゲームの運営が(ミリオンアーサーでなくとも)悪いとゲームキャストの記事が紹介されるようになってきてしまったので、そのけじめを取る意味でも注目して時期を見てまた記事にしたい。


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関連リンク:

騎士団の見直しとともにクライアントの一新を! スマートフォン版『拡散性ミリオンアーサー』の開発者にインタビュー - 電撃オンライン