オンラインゲーム、または俗に言うソーシャルゲームを遊んでいると、ゲーム運営側とのトラブルに遭遇することがある。
・ガチャにおいて運営が不正を行っていた、説明表示と実際の動きが異なる
・不具合の説明が事実と異なる、誤解を生む
・運営側のミスによりガチャキャラが大きく弱体化され、返金されない
など、内容も被害もさまざまだが、オンラインゲームの運営がミスをしても謝罪を出さないこともあるし、返金対応がなされることなどごくわずかだ。
サポートに問い合わせても「発表されたことがすべて」などと要領を得ない回答が多い。
こういったとき、プレイヤーは「消費者庁に通報しろ」「消費生活センターに行け」などと言われるが、実際にそれでどのような効果があるのだろうか。
ちょうど最近『FFBE 幻影戦争』で大きな事件があったので、消費者庁、消費生活センターに聞きいてみた。
記事内にて、下の画像直下はゲームキャストの寺島の発言。また、灰色の枠に囲まれたテキストは同じくゲームキャストの言葉となる。
消費者庁、消費生活センター(生活センター)の発言は、それぞれ太字で示している。
まずは、消費者庁
本日はよろしくお願いいたします。
早速ですが、消費者庁にソーシャルゲームの問題について連絡することで、何かしら問題を解決していただけるのでしょうか。
消費者庁
消費者庁は個別の相談を承れません。実態と違うなどの情報の提供を受け付けているだけとなります。
消費者庁は、個人の仲介斡旋を行う相談員を置いていないので、個別の相談に関しては各自治体の消費生活センターをご利用ください。
情報提供を行ったとき、違反の実態が確認されたらどのような対処がなされるのでしょうか。
消費者庁
情報は関係する課に共有され、違反と判断されれば指導などが行われます。
指導とはどのようなもので、どのような効果を持つのでしょうか。また、我々は消費者庁に通報した結果として指導が行われたことを知ることができますか?
消費者庁
指導は、関係する組織によって行われる勧告で、表には公表されません。よって、知ることはできません。
ゲーム業界では、過去に措置命令という形で広く知られた事例があります。外部に公表される処分はどのような形で行われ、何が起きたときに行われるのでしょうか。
消費者庁
措置命令は表示対策課(※景品表示法違反などを扱う課)ですね。具体的にこのような状況であれば行政指導、措置命令になるというものはお答えしておりません。
ですが、方針などがわかる公表資料や、過去の措置命令の事例を公開していますので、そちらご覧下さい。
オンラインゲームの世界では、プレイヤー数が少なくて被害者数も少なくなり、問題が発生しても声が上がらない、消費者庁に通報しても件数が少なくて対応してもらえないのではないか、と考えている人もいます。
被害があっても件数が少ないと動いていただけないのでしょうか。
消費者庁
具体的にどのようにすれば指導が行われる、ということは公開しておりませんが、報告件数だけで決まるものではありません。
消費者庁に通報しても改善が見られない場合、ゲームプレイヤーはどうすればいいのでしょうか。
消費者庁
消費者庁は違反の事実があると判断すれば行動しますが、必ずしも通報後すぐに行動するわけではありません。急を要する場合、個別の案件については消費生活センターにご相談ください。
ありがとうございました。参考になりました。
何かあったときは消費者庁に通報することで、対応される可能性がある。表から見えなくても指導という形で改善が促されることもあるので、消費者庁に通報することには意味があるようだ。
また、人口が少ないゲームであっても、明らかな不正があれば動いてもらえる可能性もありそうだ。
また、人口が少ないゲームであっても、明らかな不正があれば動いてもらえる可能性もありそうだ。
情報提供は、関連する窓口に向けて行うのが良いが、オンラインゲームで一般的な景品表示法(宣伝文句と売り物が違う)などは下記のURLとなる。
続いて、消費生活センターに話を聞きに行った。
消費生活センター
本日はよろしくお願いします。
早速ですが、生活センターとはどのような場所なのでしょうか。
生活センター
生活センターは個人対個人で、個別に問題の相談に乗ります。相談者の秘密を守られますので安心してご相談ください。
内容によって対応は異なりますが、たとえば相談できる機関を紹介したり、問題の原因となる業者と連絡が取れないときに「返事をお願いします」と電話したりすることもあります。
少し横道にそれてしまうかもしれませんが、最近クレーンゲームアプリ『トレバ』(※)の不正疑惑が話題になっており、その中で「生活センターは電話で連絡するため、相手に電話がなければ何もできない」という話が出て話題になっていました。
本当に、生活センターは電話がなければ何もできないのでしょうか。
※オンラインクレーンゲーム「トレバ」、景品獲得されそうになると“スタッフが裏操作”していたと発覚 被害者と運営会社を取材 (1/6) - ねとらぼ
生活センター
その話は本当です。生活センターには行政指導する権限がなく、あくまで「こういった話があるので対応してください」などと電話することしかできません。
強制力を持った対応は所管の官庁が行います。
それではソーシャルゲームで何かしらの不正が行われたと考えたとき、生活センターに連絡することは意味がないのでしょうか。
生活センター
生活センターに問い合わせた情報はすべて記録され、事業者に対する記録として残ります。記録は消費者庁の関係各課が違反などの判断を下す際の資料として積み重なります。
では1件では消費者庁が動かなかったとしても、さまざまな事例を報告し続けることで積み重なり、消費者庁が何かしらの動きをする際に役立ち、改善に役立つと考えていいのでしょうか。
生活センター
判断を下すのは所管の官庁ですので「積み重なれば必ず何かある」とは言えませんが、問題があれば行政処分に繋がることもあります。
問題の報告であれば、消費者庁のホームページからも行えますので、ご利用ください。
報告と言えば、生活センターなどに報告する際、相手側の責任者の名前を示す必要がありますが、ゲームには販売会社(パブリッシャー)と、開発会社(デベロッパー)、運営会社などが分かれていることがあります。
報告するときはどこの会社の責任として報告するべきでしょうか。
生活センター
一般論としてですが、例えば家電製品ではA社が製造していても、B社の品物として販売されていればB社の責任がないことはまずありません。オンラインゲームであれば販売名義の会社(※)で問題ないと思います。
※アプリストアや特商法ページのメーカー名でOKということ
問題を起こしたと思われる会社をきちんと把握して、情報が蓄積すれば役立つということですね。ありがとうございます。
最後になりますが、生活センターに電話していただいても強制権限がなく動きがない、強制力のある消費者庁の動きは待ちきれないという場合、他にやれることはないのでしょうか。
生活センター
違反が明確と信じられて、消費者庁が判断を下すまで待てないのであれば訴訟にいたる方もいらっしゃいます。
被害額の大きい訪問販売などは、集団訴訟という形で争う例ももあります。
ありがとうございました。
以上。
トラブルがあったら、何はともあれ消費者庁・消費生活センターに情報を提供し、記録してもらうことが長い目で見ると役立ち、1件だけでは解決しなくても同じ会社が複数のゲーム、複数のトラブルを起こしたときに資料として役立つようだ。
オンラインゲームでトラブルがあったら泣き寝入りするのではなく、その会社の問題を国に届け続けることが最終的に良い結果に繋がると思われる。
積み重ねるという意味では、1人が相談に行くだけでなく、被害に遭ったらその当事者ができるだけ連絡するのが良さそうだ。
また、このインタビューでは「具体例は示せない」ということではぐらかした表現が多いが、筆者の経験からすると消費生活センターに相談することは、役立つケースも多い。
これはちょっと別種のトラブルではあるが、筆者は G123 プラットフォームでビビッドアーミーなどを展開する CTW 社の問題を指摘したとき、「違法である」と訴えられたことがあるが、消費生活センターが無料弁護士相談サービスと、相談すべき役所を紹介してくれたおかげで CTW 社の根拠が事実無根であったことがわかり、反論して事なきを得た。
結果として、自分を守ることに繋がったので、何かあれば相談してみても良いと思う。
消費生活センターは、各自治体ごとに別れているので、下記のリンクからお近くの消費生活センターを探して電話すると良いだろう。
関連リンク:
消費者ホットライン | 消費者庁2020.11.28 修正
消費生活センターに行ってからの回答者名が一部「消費者庁」となっていたので、正しく生活センターと直しました。