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ネット廃材をつなぎ合わせた世界で球を転がす『Marbloid』レビュー。インターネットって古くなるのか…

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1980~90年代の音をつなぎ合わせて作られた音楽に、当時のチープな CG やノイズだらけの映像を組み合わせたミュージックビデオ(音楽だめでも可)“Vaporwave”というジャンルがある。
この「インターネット廃材を利用した芸術」とも言うべき作品を、これまたレトロな球転がしゲームに合成し、MV の中を自由に動けるようにしたゲームが『Marbloid』である。
そう、これは遊べる MV。映像にピンときたら、買って良い。

本作は、ただの玉転がしゲームである。
ボールがひたすら転がり続け、プレイヤーは傾けでの左右移動と、画面タッチでのジャンプ操作を行って迷路から落ちないように生き延びるだけ。
だが、それだけできっちりゲームとして成立している。
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▲インターネット廃材の象徴、イルカ。あなたもPCからイルカを排除したことがあるはずだ。

なぜなら、本作の魅力は「インターネットの廃材を利用した」ような Vaporwave の世界をゲームで表現した部分にあるからだ。
自動生成で出現する、どこかでみたオブジェ、どこかで見た床材……その中をボールになって転がって走り、どこまでも新たな風景を求めて走る。
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意味不明な映像を楽しむ Vaporwave の世界を自在に動き回れるだけで、“触れるMV”として強烈に機能しているのだ。
同じテーマを扱った『NO THING』は高速で意味不明気味なゲーム内容が「まさにVaperwave」だったが、こちらはゆったり世界を見られるので誰でも楽しめる。
それが『Marbloid』の面白さだ。
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単に玉を転がすだけで泣く、ゲームをひたすらプレイしてミッションを攻略すると、次々と新しい風景やギミックが登場するため、「新しい映像が見たい」というモチベーションでゲームも続けられる。
ゲーム内容と、ご褒美が見事にマッチングしているわけだ。
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そして、ゲームの進行と共にミッションが難しくなってくると、このゲームは本性を見せ始める。
実は、プレイヤーのテクニックや探究心に応じて、どんどんスコアが上がるゲームだったのである。
本作の通路には無数の分岐があり、より難しい通路を進むと強化アイテムが手に入りやすくなるが、ミッション10あたりから、「隠しルート」とでも言うべき難しいルートが登場し始める。
こういったルートの開拓が、ゲーム進行の高速化に一役買うテクニックゲームにもなるのだ。
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▲画面中央の絶壁……ジャンプを駆使してこの道に乗れればアイテムが……!

大抵のミッションは難しくても細かく回数を重ねればクリアできるか、ゲーム内通貨でスキップできるので、ある程度アクションに慣れていれば(そこそこの場所まで)誰でも遊べる。
あくまで「上手なプレイヤーは早く進む」仕組みになっている。
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『Windows 95』や『Windows 98』あたりに最先端だった物体、そしてその世代が持っていた未来の世界感が、今やレトロに見える。
それを「インターネットも古くなるんだな」という感慨と共に遊ぶ映像作品として、本作はとてもよくできている。
映像の魅力にはまると、思わぬ面白さもおまけについてくるので、見た目に惹かれたらここはひとつ、「ジャケ買い」してみて欲しい。

概要:
Vaporwaveの世界感を玉転がしゲームで移動し、見て回れるアクション

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
レトロフューチャーな世界観
意外にスコア稼ぎやテクニック要素も熱い

気になるポイント
終盤の難易度は結構鬼

アプリDL:
Marbloid (itunes 360円 iPhone/iPad対応)

開発:Supyrb(米国)
HP:http://www.supyrb.com/
レビュー時バージョン:1.00
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: