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1994年が未来だったら…? 架空の未来を駆けるゲーム『NO THING』レビュー

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1994年が未来だと思えていた頃、その時代の人々はどんな未来を想像しただろうか?
そんな空想から作り出された「レトロ・フューチャー」なグラフィックを売りにするゲームが『NO THING』だ。
レトロな物体が浮かぶサイケな空間、チップチューンの音楽。これを味わうためだけに、購入の価値がある。
のみならず、難しくてハマる「激ムズ系」の面白さまで持ち合わせている1作だ。

『NO THING』は、氷の女王にメッセージを届けるため、天空に浮かぶ道を走るゲームである。
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キャラクターは自動で走り続け、画面をタッチして左右に90度曲がることだけがプレイヤーの操作。
道を踏み外したら即死で、ステージの最初からプレイすることになる。
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そんなシンプルなゲームだが、意外にも飽きることはない。最初に書いた通り、映像のセンスが秀逸だからだ。
コースにはレトロな建築物、昭和な雰囲気の人々、そのほか諸々が浮かんでおり、見るだけでも楽しめる。
また、数回曲がるするたびにストーリーを語るボイスが流れ、常にプレイヤーの想像力を刺激する。
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▲とはいえ、忙しいと聞いている余裕も、字幕を見る余裕もないのでリプレイモードも欲しい…。

ステージのクリア条件は、コースのゴールまで走り続けること。
ゴールに着くと次のステージが始まり、新しい音楽と風景が楽しめる。
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しかしながら、落ち着いてゲームを見ると、なかなかのクソゲーである。
縦画面で遊べるが、縦で遊ぶと視界が見切れてろくに遊べない。

覚えゲー度も高い。
坂道で走ると高くジャンプしてしまい、足場が見えない中で着地しないといけない(なお、空中で曲がっても曲がった方向に走っていく)。
だから、コースを覚えていないと、かなりの確率で落ちる。
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また、コースの曲がるたびに走る速度が上がるため、制作側が意図していないコースをとって、速度が上がりすぎるとクリアできなくなる場所も存在する。
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▲あと、画面下の「進行度」は、実は曲がった回数を元に適当に出しているので、スタート地点で曲がりまくるとすぐ99%になってしまうとか。表示のワナ。

しかし、「新しい映像が、音楽が体験したい!」と進んでいくと、意外にもこのゲームが楽しくなってくる。
人間とは慣れるもので、足場が見えなくても移動速度からジャンプ距離を割り出せるようになり、次第に超人的な動きができるようになる。
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のみならず、コースにはある程度の癖が存在するため「足場が見えないけど、なんとなく着地点がわかるぞ!」と、先読みすらできる。
何十回、何百回とチャレンジを繰り返すうちに報われ、プレイヤーにステージを進んでいる実感を与えてもくれる絶妙のバランスがゲームの裏にはある。
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▲新しい風景がご褒美。

ゲームが難しすぎて、なぜかハマる。ゲーム好きならずとも、一度はそんな現象を体験したことがあると思う。
『NO THING』は、そんな状況を意図的に作り出すことに成功している。

『NO THING』には、スマートな攻略方法や、ゲームを出し抜く裏技はない。ゲームとプレイヤーが棍棒を持って殴り合いをするかのように、力押しで攻略する原始的なゲームだ。
だが、その原始的さと、最高のご褒美のおかげで中毒性のあるゲームができあがっている。


動画を見て、ご褒美=映像が合うと思ったら手を出して見る価値はある。
ただ、ステージ2までが鬼門で、それを超えると楽しくなるので、そのあたりまでは必死にやってみて欲しい。

評価:7(要チェック)

課金について

なし

おすすめポイント
サイケで印象的なグラフィック
ステージに合った音楽
難しさが妙にはまる

気になるポイント
縦持ち対応だが、縦では攻略できない
ストーリーが英語
2面までが難しすぎる

(バージョン1.0、ゲームキャスト トシ)

アプリリンク:
NO THING - Surreal Arcade Trip (itunes 240円 iPhone/iPad対応)