データ調査会社Sentowerのレポートで、App Store における国民1人当たりの平均支出額(※課金額を人口で割ったもの)が明かされ、日本人の課金が世界的に見て非常に高いことを示している。
Sentower
のレポートによると、2012年から2017年において日本は1人当たりの年間支出が $214
に達してダントツの1位に輝いている。これは第2位オーストラリアの$114の約1.9倍、Apple のお膝元 US
の約2.3倍。
しかも、この高い支出額の90%はゲームに投じられているというから、ゲーム課金大国と言えよう。
スマホ版『どうぶつの森』、日本人は海外のプレイヤーに比べて16倍~50倍近い課金をしていたことも判明しており、こういったデータは今さらでもある。
しかし、今回はもう1つ興味深いデータがある。それは課金の伸び率だ。
1人あたりの課金の伸び率についても日本は他国を引き離しており、成長率は年に88%。USが43%だからその伸び率は本当に凄まじい。ただ、私はこれが妥当とも思える。
▲中国は市場自体はとても大きいが、人口も大きいため今回の算出方法では23位に甘んじている。
日本を見ると、2012年あたりから回線などの環境はどんどん良くなっていったし(2010年頃は電車に乗っていて携帯電波が拾えないことも多かった)、『パズドラ』の記録的ヒットで課金が一般化したし、性能の向上でアプリ自体も魅力的になったし、ゲームを加速する要因がたくさんあった。
日本は携帯電波状況、端末性能において世界トップクラスで、ガラケーで課金に慣れたプレイヤーがスマホに乗り換えていく最高の成長要因が揃っていた。
参考までに2016年にUSのサンフランシスコに行ったとき、都心部ですら電波は弱く、電話はできてもゲームをするのは厳しく、レストランでwifiを拾って遊んでいた。そんな国に比べて伸びるのは当たり前とも言える。
なお、課金額が多いこと自体には嫌悪感はない。生活に影響を与えない範囲で高額課金することは悪いことではないし、これはこれで素晴らしい結果を生み出している。
例えば、日本のスマホゲームの広告は単価が高いため、少ないDL数でも無料ゲーム開発者が生き延びられて、質の良いインディー開発者を育てる土壌になった。おかげで世界で勝負できている開発者も増えつつある。
一方で、基本無料ゲームに目を向けると日本の状況が高額課金に合わせた日本専用ゲームを作り、海外進出を阻んでいる現状もあるように思う。恵まれた市場を持つゲームメーカーの皆さんには、日本で蓄えた力を使って海外にも羽ばたいて欲しい。『FGO』や『ドラゴンボール』などのIPものはともかく、それ意外で中国の伸張より先に世界を制して欲しいと思うが……どうなるだろうか。
記事の全文は下記からどうぞ。
2018年7月15日0時40分訂正
当初、記事のタイトルに「コンプガチャ」とついていたことについて、適当ではない内容だったため、記事内容とタイトルを修正。
冷静でないタイトルをつけてしまい、申し訳ありませんでした。
以下は、コンプガチャについてタイトルを見てきた方のための追記。
こういった年表をみると、いつも2012年の“コンプガチャ規制”を思い出す。
コンプガチャとは、複数のカードを集めると特別な効果が生まれるガチャ形式で、「最初は当たりカードが多いのに、最後になるにつれて当たりカードが減って当たる確率を誤認するから」という謎の理屈で規制された。
これは建前上「法律に触れるから」コンプガチャが禁止ということだったが、未成年の課金、RMTも含めてガチャがギャンブルに当たる可能性があるとか、急激なアイテム課金の成長でガチャ=悪という漠然としたイメージが出てきて世論が盛り上がり、その中で現行法の解釈の中で対応するためコンプガチャがやり玉に上がったように記憶している。
2012年の平均支出額$4で、2013年は$11と大幅に伸びていることを見ると、抑止効果と思われるモノも見当たらないし、問題の根本であった「ガチャ確率の非表示」に切り込まなかったため『KOF98の処置命令』のような問題はその後も起こり続けてしまった。
そして、そんなモノのためにセット装備という面白い要素などが消えていったのだから「最初から確率開示を強制しておけ」とソシャゲメーカー全体に対して、今でも怒りがこみ上げてくるのだった。
が、課金額は前述のように日本の環境が育てたと思っており、これには関係ないので誤解を招く申し訳ないタイトルを付けてしまったと思っている。