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中国の日本風ゲーム『アズールレーン』のヒットが持つ意味

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今、艦船を擬人化したゲーム『アズールレーン』のヒットが日本で話題になっている。
これは非常に象徴的なことで、私はこれを日本ソーシャルゲーム界の変化が本格的に始まることの象徴だと思っていて、今後を占う大きな変化だと思っている。
なので『アズールレーン』のヒットが持つ意味について自分の考えを書いていきたい。

最初に『アズールレーン』のヒットに関して触れておくと、これは『艦隊これくしょん』(艦これ)の影響が大きい。
艦これのヒットで艦隊モチーフのゲームのプレイヤーが多いところに、結構いい感じの代替ゲームがスマホに登場してきたのだと思う。
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▲負けたときに修理の待ち時間もないし、自分で動かせるのも新鮮

ネットでは「なぜ、日本は中国のように艦これフォロワーを生み出せなかったのか」という指摘があるが、これはタイミングの問題だと思っていて、単純に『パズドラ』のヒット中にパズドラ系ゲームが伸びなかったように、艦これのヒットを受けてすぐに乗った日本企業のゲームは出たゲームは伸びなかった(しかもオリジナルIPばかりで目立たなかった)だった印象がある。
『アズールレーン』は、艦これの運営が長くなる中でプレイが長大化し、代替を求める潜在的要望が強くなった時に出たのも大きい。これは艦これが『アズールレーン』に劣っているという話ではなく、長期運営の中で避けられない変化があり、変化についていけないプレイヤーに適したものがちょうどリリースされた。
決定的なものはこのタイミングだと思っている。

課金が海外的な時短として機能している(また、価格帯的にも日本のように高くない)のが艦これのプレイヤーに受け入れやすかったとか、運営が良かったとか、いろいろな要因はあるがそれについては別の機械に譲っておくとして、私が一番衝撃を受けたことを挙げておきたい。

『アズールレーン』が示したのは、中国で日本のゲームと見分けがつかないビジュアルのゲームができる、ということに尽きる。
これまでも『崩壊3rd』(その前作の崩壊学園も)のように日本ナイズされたゲームは登場したが、3Dはともかく2Dイラストには中国感が残っていた。
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▲崩壊学園の初期イラスト。だんだんと日本風になって、最終的に崩壊3rdではアニメ絵ではあるが違和感は消えた。

しかし、『アズールレーン』を見たとき、私は日本のゲームと見分けがつかなかった。
こういった二次元イラストの判定に厳しい二次創作イラストを描くような同人界隈の反応が活発なことを見ても、海外で日本のマニア向け作品を作れることは証明されたといっていい。
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▲ドット絵かわいいラグナロクとその流れをくむ作品はともかく、2Dイラストでここまでのヒットは快挙では。

これの意味するところは、今まで「見た目」のバリアで弾かれていた海外作品がいよいよ日本市場を食い荒らす準備ができた、ということだ。
もともと、中国・韓国のゲームのシステム自体は素晴らしかった。
日本よりもプレイを通じた育成や成長の楽しさ、競争に重点を置いており、ガチャに課金してキャラクターをあてるよりも、プレイヤーレベルを上げて成長していくこと自体が楽しく、そこに課金していくゲームサイクルを持っている。
日本とはタイプが異なるが、頻繁に運営イベントをしなくてもプレイ自体がモチベーションになるように作られており、運営コストが小さいという面でも優れている。

これは2014年の段階で見えていて、見た目的にぎりぎり抵抗の薄そうな『サマナーズウォー』でこの仕組みが機能していて、一度始めるとなかなか人が辞めず、ジワジワと人気を獲得して大成功していた。このとき、中韓のゲームシステムが通じることは見えていた。
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▲サマナーズウォー。システムがキャラクターを重ね合わせる仕組みが"スキルレベルアップ"の形をとっていたのでなじみやすかったことも成功の要因か。

ただ、そうったゲームが海外から多く入ってきても、見た目の壁で弾かれているところが大きかった。
そんな日本に2016年、中華RPGの代表的なシステムを踏襲しているゲームが大ヒットした。
Ourpalmの『KOF'98 ULOM』である。KOFというブランドを押し出してプレイヤーの懐に入り込み、一度始めたら成長が楽しくてやめられない中国式でプレイヤーを魅了した。
見た目が受け入れられないなら、ブランドを買って作ればいいのだ。このヒットで、中韓RPGのシステムの優秀さはいよいよ証明されたといってもいいだろう。
ただし、中国のゲームならではのゲーム内容外でのトラブルもあり、そこに課題は残った。
『KOF98』のスマホゲーム、特商法違反に続き個人情報保護法違反の疑い。運営会社を中国に修正
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さらにそこに来て、『セブンナイツ』と『HIT』、『リネージュ2 レボリューション』が日本風にルールを変えることでヒットを繰り出した。
『セブンナイツ』は典型的な『サマナーズウォー』型のゲームだが、日本リリース時はガチャ演出を強化し、バランスも本家よりもガチャ課金の重要性を増して調整された。
『HIT』、『リネージュ2 レボリューション』は、海外ではプレイヤーLVに応じた装備が当たるガチャが、プレイヤーレベルに関係なく良いものが当たる(ガチャで当てたものはずっと使える)仕組みに変えてリリースされた。
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▲3Dはやっぱり、2Dより障壁が低くなるように思う。

ここで、見た目はブランドを手に入れて監修を受ければ補えて、ゲームシステムは日本でも通用して、もし元のシステムが日本のルールに沿っていない場合でも修正できるということが証明された。
だから、2018年はバンダイナムコなどからライセンスを受けた海外企業が日本で猛威を振るうと思っていた。
目に見えるだけでもバンダイナムコはガンダムの対戦ゲーム『敢达争锋对决』の動画は素晴らしいし、ジャンプ漫画『ナルト』のIPを貸したテンセントのゲームも良かった。少なくとも、どれも見た目においては日本のゲームのほとんどをしのぐ。
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スクエニが中国で開発中の『叛逆性ミリオンアーサー』も、3Dで日本的な2.5D世界観をうまく表現しており、こちらももし日本で出れば注目は間違いないだろう。
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ところが、版権もののゲームや3D技術の優位性で戦うゲームだけでなく、2Dのオリジナル作品すらどんどん食い込んでくる可能性があることが『アズールレーン』のヒットで明確に見えてきたわけだ。
来年の今頃には、おそらく日本のトップセールスは今以上に海外ゲームが増え、日本メーカーの市場シェアは減っていることだろう(ただ、市場が海外一色というのはない。ガチャゲー慣れしているプレイヤーもいるし、日本で強いキャラ物は安定して残るのだろう。海外でも強いものは海外会社が開発して日本に持ち込む)。
『アズールレーン』はそういった状況の象徴だ。

とはいえ、単純に「日本のソシャゲはもう終わりだ!」という状況ではない。なんと、ここにきて日本のガチャゲーもまた世界に進出に成功し始めたからだ。
『ドラゴンボールドッカンバトル』が世界で、『FGO』は主にアジアで、『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS』は欧米で、すべてガチャゲー戦えている事実がある。
過去、米国進出した『パズル&ドラゴンズ』だって、ゴッドフェスを開催するたびにセールス上位に食い込んでいた。ガチャは、海外でも戦えたのである(言葉の額面通りに日本バランスのまま出せるわけではないが)。
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▲これが海外で結構好評。この前はFFRKも人気だった。

ただ、普及度から言って日本のガチャゲーはまだまだだし、イベントが多い日本の運営は地域ごとに大きな運営チームをもつ必要があるので海外進出が難しい。
一方で中韓のゲームは基本的には世界展開の中の一部として日本があるため、運営コストとしては低い。
海外進出コストの高い日本のゲームはこのままでは分が悪いが……可能性は低いが、海外ゲームのトレンドを取り入れつつ進出に成功する可能性もあるとみている。
アズールレーンは日本が終わる象徴ではなく、日本のソシャゲが全力で海外でも戦うときにきたという象徴なのである。

2019年にははっきりと決着がついていると思うので、そういった変化に注目しつつスマホゲームを遊び続けるつもりだ。

なお、アズールレーンはApp StoreとGoogle Playでダウンロードできるので、気になる方は下記からどうぞ。

アプリリンク:
アズールレーン (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)