『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』レビュー - スクフェスの成功にあぐらはかかぬ。音ゲーを再構築した渾身の一作
ブシモは、自らが作り出した「リズムゲーム基本無料ゲーム」をさらに1段高めることに成功した。
少女たちがガールズバンドを結成し交流するアニメ『Bang! Dream(バンドリ)』のリズムゲームが『バンドリ! ガールズパーティー』によって、だ。
既存のスマホゲームの長所を研究してまとめ上げた作品となっており、全体的な手触りや2Dのビジュアル、曲のバリエーション、どれをとってもトップクラス。
なおかつ、「バンド」に焦点を当てた演出は統一感があり、過去作で当然とされた演出にメスを入れている。
本作は、現時点最高のキャラクターリズムゲームである。
本作はリズムゲームをプレイしつつストーリーを進めるゲームとなっている。
純然たるアマチュアバンド、アイドル系バンド、ビジュアル系バンドなど5つのバンドが用意されており、プレイに応じて5つのバンドが絡み合う「メインストーリー」と、各バンド固有のストーリーが進む。
▲声優やキャラ好きでなければ飛ばしてもOK
会話シーンの2Dキャラクターはものすごくよく作られており、動きは自然、表情も良しで3Dかと思うほどである。
キャラの好みはあれど、この魅力だけでゲームの序盤にフックを感じる。
ゲーム進行に応じて街が解放されていき、登場キャラクターたちの日常会話も楽しめるようになっている。
この街にはアイテムを買っての装飾要素も少しあるが、基本的にはヒロインたちの日常会話、関係性を神の視点で垣間見るものとなっており、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とは差別化されている。
現在ランク20までプレイしているが、会話のバリエーションは尽きることがなく、どこまで存在するか未知数。破格のボリューム感に驚くばかり。
アニメ版は主人公の奇行が話題になっていたが、ゲーム上ではそれも影を潜めているため安心してみられる。キャラクターゲームとしての要素は、文句なし。
そして、ゲームのコア部分となるリズムゲームパートもしっかりできており、他のゲームとの差別化もある。
本作のリズムゲームパートは、曲に合わせて上から落ちてくるノーツが画面下のラインに達したときにタッチする形式を採用している。他のゲームで言えば、『Deemo』のような形式が近い。
ノーツは単にタップする青ノーツ、押しっぱなしの緑ノーツ、フリックする赤ノーツの3種類。
タッチのタイミングはMiss、Bad、Good、Great、Perfectの5段階で判定され、Great以上のタイミングでタッチを続けるとコンボが発生し、スコアが上がっていく。逆にBad以下を出すと体力が減り、体力がなくなるとゲーム終了。10回Missすると体力0になるので、無理めな曲に手を出すと即死の調整となっている。
個人的に評価したいのは、キャラクターの掛け合いの演出だ。黄色いノーツを叩くとカットインが入ってキャラクターボイスが入って、特殊能力が発生する。
曲の序盤でスキルが発動すれば「今日は来てくれてありがとう!」と挨拶セリフが入り、曲の中盤では「次の音は!?」などとしゃべって他のメンバーが応答し、ライブの臨場感が出ている。
どのキャラクターも楽器を持っているため、カットインの挿入時もライブのイメージを崩さないのも良い。
▲メンバーの掛け合いの頻度を調整する機能があったり、メンバー変更に合わせた変化があればもっと良かった
基本無料のキャラクター音ゲーでスキルを導入したのはブシモの『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』が最初だが、リズムゲーム中にカットインが入ってキャラがしゃべる必然性がなく、ゲームの邪魔にしかなっていなかった。
そのまま、キャラクターゲーム系の音ゲーではそのシステムを踏襲し続けていたが、ここにきてブシモはそのお約束に乗らず、自らその演出を1段階進化させてきた。
小さな変更のように見えるが、実際にプレイするとノリがかなり違う。ここは大いに評価したい。
曲が終了するとコンボ数や難易度(EASYからEXPARTまで4段階)、スコアに応じてアイテムやEXPが手に入り、一定のEXPを手に入れるとストーリーが進行する。
スコアはコンボ数以上にキャラクターの能力に依存しているため、キャラクターが成長していないとゲーム終了時の結果が振るわないが、無限に遊べるので遊びたいだけ楽しめる。
また、スタミナを消費すると通常の5倍もプレイ報酬が入るシステムがあり、3回プレイすれば区切りはつくのでプレイスタイルに合わせてゲームにつきあえるのも嬉しい。
リズムゲーム部分は押しっぱなしノーツの終点で指を離さないとミスになること、独特のタイミングに最初は戸惑うが基本的にノーツとタッチのタイミングに問題はなし。
タッチ音は変えられないがおおよその曲と一体感があり、キメ感もあって気持ちいい。
「空色デイズ」や「魂のルフラン」など有名曲のカバーも多数あり、原作アニメを知らないプレイヤーでも楽しめるのも嬉しい。
▲アマチュアバンドという設定のため、どんな曲が入ってもゲーム世界に違和感がないのも良い
現段階では成長速度やスコアに対するプレイヤーの腕の影響度の低さなど細かい欠点はある。
ただ、目立つのは歌の歌唱力とマルチプレイぐらいだろうか。
オリジナル曲ではあまり気にならないが、一部のカバー曲は単なるカラオケになってしまって歌に問題を感じるのはかなり気になった。
アマチュアバンドという設定には即しているが、リズムゲームでこれは少し厳しい。
また、5人で同じ曲を遊んで合計得点を達成する「協力ライブ」はサーバーがつながらないし、そもそも一緒に遊ぶ友達を作るフレンド機能もなく、協力しても楽しくない。現時点では機能していると言いがたい。
ただ、協力プレイは存在しなくてもゲームは楽しいし、欠点以上に本作は美点が目立つ。
キャラクターのビジュアル、会話を街で見るシステム、リズムゲームとしてのクオリティともに高く、全体にバンド色で統一感がある。なじみ深い曲をカバーで多数そろえて間口も広い。
ブシモはこれまで出てきた音ゲーの良いところを消化して再構築し、演出やスタミナシステムに独自に手を加え、『スクフェス』の成功体験にあぐらをかくことなく良いものを作り上げた。
その上で、通信もロードもとても早い。ストレスが全然ない。
本作は、現存するキャラクターゲーム系のリズムゲームで最高峰のゲームと断言できる。原作付きであることなど関係ない。このゲームが素晴らしいのだ。
評価:7(要チェック)
※2017/3/25 長期的にプレイするにあたって歌のノリが厳しかったので評価を下げました
課金について
ガチャ、枠拡張に使用するダイヤ
おすすめポイント
魅力的なキャラクターと動き
バンドらしさを大切にした演出のリズムゲーム
ロードが超高速
遊ぶだけなら無限。回数を重ねたくなければブースト回数だけ遊べば一区切りつく
気になるポイント
EXPART難易度はかなり難しい
マルチプレイがつながりづらい
(バージョン1.0.1、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
バンドリ! ガールズバンドパーティ! (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応/ GooglePlay)