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革新的な美しさと、基本無料なシステムと。『メビウスファイナルファンタジー』レビュー。

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声を大にして言いたい。
『メビウスファイナルファンタジー(メビウスFF)』こそ、スマホにやってきた真のファイナルファンタジーである、と。

誰もに共通する思いではないのを承知で書くが、子供のころ、FFといえば「すごいもの」だった。
グラフィック、演出、ゲーム内容、どこかしらに「初体験」のチャレンジがあって、感動しながらプレイしていたものだ。
そして、その「すごい」といえるFFが、ついにスマホにやってきたのだ(※AGITOもすごいが、すごくなる前にロード時間で力尽きた)。

本作最大の「すごい」はグラフィックである。
PS3クラスのキャラクターがスマホで動くことに、感動を禁じ得ない。
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思えば、FFは常に最先端のグラフィックで驚きを提供していた。
スーパーファミコンでFF4を見たとき、プレイステーションでFF7を見たとき、そこにはいつもビジュアルのインパクトがあった。
今作も、スマホで並ぶものがない映像美である。
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▲ごくわずかな場所でしか自由移動はできないが……。

素晴らしい。
この1点だけを持っても、メビウスFFを試す価値がある。
ただし、このグラフィックはiPhone5s、iPad Air、iPad mini Retina専用(Androidはわかりません)で、それ以前の世代では露骨に解像度が落ちてぼやけてしまう。
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▲iPhone5では最高解像度に設定しても映像はぼけて見える。

しかし、あえてiPhone5s以上を基準とした映像を出してきた点は高く評価したい。
新ハードを買ったら、新しいFFで驚く。これはゲーマーの儀式である。

グラフィックが革新的な一方で、システム面を見ると普通の基本無料RPGとなっている。
自由移動できるフィールドはほぼなし。
地図上の点をタップして移動し、スタミナを消費してバトルをこなすシステムとなっている。
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プレイヤーはジョブと召喚獣のカードを組み合わせてデッキを作ってバトルに臨む。
ジョブごとに得意な属性やカードが定められており、大まかな戦術はジョブによって決まる。
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▲ジョブにはスキルパネル(スフィア盤のようなもの)があり、バトルで手に入れる「スキルシード」で能力を解放していける。ちなみに、武器はアイテムではなくジョブ能力として定められている。

カードには1枚につき1つの「アビリティ(魔法)」が設定されていて、装備したカードのアビリティはバトル中に使用できる。
バトル前にフォローした他のプレイヤーから1枚カードを借りられるので、5種類の魔法をバトルで使えることになる。
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▲なお、カードのLVの合計がキャラクターのLVとなる。

バトルシステムは、FF13のバトルをターン制に直した戦術性が高いシステムだ。
基本コマンドは3つ。
1つめ、通常攻撃のダメージは低いが敵に当てるとランダムな属性の「エレメント」を生み出す。
連続で通常攻撃を当てるとコンボとなり、手に入るエレメント量も増える。
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2つめは、カード能力のアビリティ。
アビリティには大きく分けて攻撃と補助の2つがあり、攻撃アビリティは通常攻撃よりもダメージが高く、補助は能力を上げたりHPを回復したりする効果を持つ。
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3つめは「エレメントドライブ」。
特定属性のエレメントをすべて消費する代わりに、その属性から受けるダメージが一定時間減少する。
また、エレメントドライブで使用したエレメントはしばらく出づらくなるので、いらない属性のエレメントを捨てて欲しい属性のエレメントが欲しいときにも使える。
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敵には体力と別に黄色い「ブレイクゲージ」が存在し、これが1ミリでも残っているときは防御力がとても高い。
そこで、下記の手順でブレイクゲージをゼロにしてから強力な攻撃を叩き込むのが基本戦術となる。
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順を追って見せていくと、下記のようになる。
まず、アビリティで攻撃し、ブレイクゲージを黄色から赤に変える。
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赤くなったゲージは通常攻撃で大きく削れるので、ひたすら削ってBREAK状態まで持ち込む。
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▲通常状態で攻撃しても、ブレイクゲージはごくわずかにしか減らないので注意。

そして、BREAK状態になった敵の弱点属性のアビリティで大ダメージを与えて倒す。
ジョブごとに定められた必殺技があるので、ここでそれを叩き込むのもいい。
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文字にすると簡単そうだが、実際はそうもいかない。
通常攻撃はアビリティをバランスよく使い、ときにエレメントドライブで調整し、エレメントを管理することがとても重要になる。

バトル終了時に戦い方が「スコア」で評価され、スコアが大きいほどシード(ジョブのスキルパネルを開ける経験値)が多くもらえる。
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かなり複雑なシステムだが、その分やりがいがあって楽しい。
グラフィックだけでなく、システム面ともに凝っていて「さすがFF」と言えるゲームになっている。
欠点は、やたらに通信待ちの時間が長い(今どき、デッキ編成画面に行くだけで通信!)ことと、バッテリー消耗量が激しいことか。
iPhone5s以上の端末を持っていて、上記を許容できれば、1人用の基本無料RPGでは高レベルのゲームではある。

課金の必要なしに普通に1章のラストまで遊べるし、快適に遊びたければ水晶石1,500(1,200円)の30日間定額優待チケットを買って「実質定額制」でも遊べる。
多少のガチャ運に左右されるが、バランスも「課金前提」ではない。

ただ厳しいことを言うなら、今どき「普通に遊べる(バランスが良い)」、バトルと育成が楽しいのは普通だ。
工夫は見えるが「今まで基本無料RPGはダメだったけど、FFなら」という遊びはない。
FFにはRPGならではの「先に進める冒険の楽しさ」をもう少し持って来て欲しかった。

例えば、本作ではジョブと召喚獣の両方をガチャで手に入れる仕組みとなっている。
そのため、ガチャを回さないと遊びの幅が増えない。
しかし、ジョブだけはゲームを進めて手に入れる仕組みにしておけば、先に進める楽しさが増えて冒険の楽しさも上がったように思う。

召喚獣もジョブもガチャにすれば儲かる仕組みは理解できるが、FFにはもう一歩先を行って欲しかった。
とは言え、iPhone5s基準のグラフィックを作ったチャレンジ精神は素晴らしい。
「今、この時代にこれを出した」ことを考え、評価は3.5としておきたい。
今後のスクエニのゲームも、このチャレンジ精神があるなら期待できそうだ。

評価:3.5(かなり面白い)

おすすめポイント
やりがいのあるバトル
群を抜くグラフィック

気になるポイント
バッテリー消耗がでかい
古い端末では見た目が荒いし、そうでなくても重い
良くも悪くも基本無料RPG

(バージョン1.0.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
MOBIUS FINAL FANTASY (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)