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先は読める。でも感動してしまう王道アドベンチャー。『彼女は最後にそう言った』レビュー。

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世の中には、「これは泣かせにきている!」とわかっていても感動してしまうドラマがある。
この『彼女は最後にそう言った』も、そんなドラマの1つだ。
演劇の脚本などを手がける横田純さんのシナリオが冴え、入間川幸成さんの手がける音楽が場を盛り上げ、「わかっているのに感動してしまう」状況にプレイヤーを落とし込む。

開発は『奴は四天王の中で最も金持ち』などを手がけたSYUPRO-DXで、操作もゲームも快適。
無料ゲームと思えない完成度の作品になっている。

「お祭の夜 展望台で待ってます」
主人公のもとに、4年前に死んだはずの同級生ナナミから手紙が届く。
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その日、8月14日は死んだ同級生の命日でもあり、死者が1日だけ蘇るという伝統の祭りの日でもあった。
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これは、誰かのイタズラなのか?
それとも、祭りの伝説は本当だったのか?
主人公はそれを確かめるため行動することになるが、驚くべき体験をする。
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なんど寝ても、起きると8月14日の夕方に時間が巻き戻って目が覚めるのだ。
手紙の謎をとかなければ、永遠に8月14日の世界から抜け出せないのかもしれない。
プレイヤーは、何度も同じ1日を繰り返しながら手紙の謎に挑むこととなる……。
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このゲームは、待宵村を探索しながらナナミの死の真相に迫るアドベンチャーゲームだ。
複雑な操作は一切なく、行きたい場所や調べたい場所をタップし、人と話していくだけでゲームは進行する。
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選択肢や簡単な謎解きはあるが、基本的に次にやるべき事は物語中で指示される。
結果として迷わずに進める一本道のアドベンチャーとなっており、誰でも詰まることなく物語を楽しめる。
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スムーズに遊べるだけでなく先が気になる展開になっていて、気付くとグイグイ引き込まれる。
プレイヤー自身が移動し、聞き込み捜査を行っているとプレイヤーが「自発的に行動している感」が生まれ、よりゲームにのめり込める。
実質一本道だが、プレイヤーにほんの少し考えさせることによって、より自然に物語に引き込まれるのだ。

そうした上で、『彼女は最後にそう言った』は、音楽で巧みにプレイヤーの心を刺激する。
印象的なシーンで特定の曲を多用していて、いつの間にかその曲を聴くだけで感情が揺さぶられる「パブロフのプレイヤー」のできあがりである。
実際にプレイしていると、物語の先の展開は少し読めてしまう。
でも、うまく演出しているから気にならない。そんな王道の感動系アドベンチャーになっている。

唯一気になることは、決定力に欠けること。
先は見えているけど、演出と流れで感動を呼ぶ作りはいい。しかし、大きな感動を呼ぶには演出が不足している。
もっと、泣かせにきて欲しかったように思う。
ただ、十分楽しめるゲームなので、そこは良くできているからこそ出てくる不満といったところか。

普通の物語できっちりプレイヤーを落としにくる「王道感」は素晴らしいし、実際に多くの方におすすめできるゲームだと思う。
冒頭にも書いた通り、1時間程度でゲームは終わるので、ぜひ遊んで欲しい。

評価:
3.0(面白い)

課金について

なし

おすすめポイント
短時間でノベルを読むように楽しめる
音楽が効果的に使われる

気になるポイント
広告を消すオプションが欲しい

(バージョン1.0.2、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
彼女は最後にそう言った (itunes 無料 iPhone/iPad対応)