『マヂヤミ彼女』は彼氏のスマホを暴いて浮気の証拠をさぐるゲーム。
本当に病んでいるかのような演出と、高いスマホの再現度のおかげで「本当に人のスマホを除いている気分になる」脱出アドベンチャー。
無料にもかかわらずクオリティは高く、ゲーキャスでも2013年8月のiOSゲーム ベスト5の4位にしたし、実際記事のアクセス数もすごいものがあった。
しかし…これだけのアプリを開発した人はどんな人なのか?
どうやってつくったのだろうか?
これだけの作りこみのものを無料でリリースして大丈夫なのか?
考えれば考えるほど謎が深まるばかり。
ならばいっその事聞いてしまえ!
ということで、作者であるbeArkの岩崎さんにお話を聞かせていただいた。
- まずはbeArkさんの経歴とゲーム制作経験についてお聞かせください。
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今年度からアプリの制作をスタートし『BeCalendar』というヘルスケアアプリをリリースしていますが、ゲームの制作経験は『マヂヤミ彼女』が初めてです。
語れるほどの実績はないですね。
- ゲーム制作の経験がない中からゲームを作成するというのは思い切った決断だと思いますが、ゲームを作れる自信はありましたか?
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自信はありましたが、根拠はなかったですね。
実績もありませんし。
でもみんな初めは未経験者ですから!
あんまり「経験が〜」とか能力が〜とかそういったことは気にしないようにしています。
大事にしたいのは最終的にどういう形にしたいかで、そのために必要な技術や能力を身につけていく感じです。
今回の媒体はゲーム/アプリがベストだろうということでゲームを選択しましたが、小説がベストだったら小説を、洋服がベストだったら洋服を選択していました。成功するかは分かりませんが(笑)
そんな感じなので色々あらいところはありますが、大目に見て頂けると嬉しいです。
- 開発には1ヶ月以上はかかる内容に見えますが、開発はお一人で行われたのでしょうか、またどのぐらいの期間がかかりましたか?
- 3人で制作し、期間はだいたい1ヶ月半ぐらいです。
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1ヶ月半!
AppStoreの無料ゲームで考えるとかなりの大作ですね!
初めてのゲームでは工数の見積もりが難しかったと思いますが、工数はどのように計算したのでしょうか。
また、作ってみて実際予想と違いましたか?
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怒られそうですが、勘にたよるところが大きいです。
未経験ですし、しっかり実績があるわけでもないので、逆に教えてほしいです! (笑)
未熟者でごめんなさい...。
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いえいえ、面白いアプリでしたよ!
どんな経緯でこのゲームを作ることになったのでしょうか。
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「ミオヤマザキ」の実体験や話を聞いた際に、こういった世界があるということをより多くの人に知って欲しくなったというのがまずあります。
あとはプロモーションも兼ねていたのであとはどのような形で表現するのがベストかということを考えた結果、メディアとしてアプリ/ゲームを選択した流れです。
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プロモーションより先に「こんな世界があるのか!」という面白さがあったんですね。
それを伝える方法を色々と考えた結果、ゲームになったというのが興味深いです。
例えば「マヂヤミメール」とかいう名前で、彼氏にメールを出してから返信が来るまでの時間を計測するメーラーとか、それは安直すぎるとしてもミオヤマザキさんの世界観でいろいろ考えられたと思いますが…。
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ミオヤマザキの世界観を一番よく味わえるのが、今回の形だと考えたからです。
「彼氏にメールを出してから返信が来るまでの時間を計測するメーラー」だと、どうしても主人公は"普段"の自分になってしまいます。
ミオヤマザキの世界観は"普段"よりも"やんでる"ときのほうが共感を得やすいだろうと考えたため、"やんでる"状態を疑似体験できるような形を目指しました。
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それなら普通の音楽が聴けるアプリとかではなくゲームというのも納得ができますね。
次はゲームの内容についてですが、かなりメンヘラを意識した演出がなされていますが、これはご自身で考えたのでしょうか。それともミオヤマザキさんが?
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スマホを盗み見る、メッセージの連投が続くなどは演出というより、実話ですね。
楽曲もTwitterもブログもアプリも、全てミオヤマザキの経験からできています。
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つまり実話のメイン舞台はスマホということでスマホを再現という形に直結してるんですね。
それであのリアルなスマホ再現が生まれた…と。
そのほかの部分についてもミオヤマザキさんの経験ということでしょうか?
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ゲームとして成立させるために制作側で演出等は加えていますが、実際にあった出来事をそのままアプリにしているような感じです。
ほぼ全部と考えて頂いて大丈夫ですよ。
結構がんばりましたが、最後の最後まで「これ、ほんとにゲームになってるのか?」という感じでしたね(笑)
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え、まさか(笑)
他の脱出系ゲームと比べると頭ひとつ抜けた完成度があるように見えましたが、無料ゲームでは脱出アプリが大量に出ているということで、差別化に苦心された点はありますか?
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ベーシックな脱出ゲームだと、人気かつクオリティの高いものがいくつもあって、それらには真っ向勝負しても敵わないのは分かっていたので、ストーリーなどを強く打ち出してる形にしています。
でも、脱出ゲームだとユーザーは次から次へ消費していくので食い合わないもしないので、そもそもあまり差別化をメインには考えていませんでした。
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ヒントが知恵袋風だったり、非常に芸が細かいと感心させられました。
ここはあまり気づいてもらえないけどこだわった、という箇所はありますか?
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細かい遊び要素というかムダな要素はけっこうありますね!
スマホ画面の天気の背景が動いたりします。無駄に!
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なるほど。
個人的にはカメラが使えるのもびっくりでした。
その細かいところまでこだわった結果が今の人気なのかもしれないですね。
そういえば、先ほど1ヶ月半で作成したと伺いましたが…さすがにこれだけ話題になっていると広告付き無料でも結構採算がとれているのでは…?
ぶっちゃけてどうでしょうか?
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結構カツカツですね!
脱出ゲームはもともと収益性が低いらしく、他のアプリと比べるとコストと収益が見合わないので、アプリの売上だけを目的とするのであれば、あまりオススメはしないです!(笑)
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な、なるほど!(笑)
それでは目的プロモーションの効果はどうですか?
CDやライブの動員数などは増えているのでしょうか?
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リリース1ヶ月ですが、Twitterのフォロワー数は6000人以上、Youtube再生数はチャンネル全体で15万回近く増加しています。
CDは出ていないため、分かりません。
動員数については、増えてると嬉しいです!
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フォロワー6000人はすごいですね!
メジャーデビューしていてもそんないない人も多いですよ!
これは、新しいプロモーションの形として認知されていくかもしれないですね…!
次回作はどんなものを予定しているのでしょうか。またゲームを出しますか?
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色々と企画は考えています。その中にはもちろんゲームもあります。
ストアの流れなどもあるので、まだ次がどうなるかは確定していませんが、いわゆるゲームらしいゲームにも挑戦したいなとは思っています!
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おお、それは個人的にも楽しみです。
最後にアプリをプレイしている方に一言お願いします。
- 恋人のケータイを見るのはゲームだけにして下さい!
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ありがとうございました!
マヂヤミであるアーティスト、ミオヤマザキの世界観を再現するためにゲームを選んだのであって、ゲームを作りたいから作ったのではない、というところがまず1つの驚きだった。
そしてさらに驚いたのは実体験を元にスマホの謎解きが出てきていたというもの。
…まさか、という感じではあるが、自分の知人のマヂヤミ人間の話を聞くと共通点もあり…妙な気持ちになってしまった。
そういう世界が本当にあるのか。
このゲームだけで見ると収益は厳しかったようだが、今作が面白かっただけにbeArkさんの名前を覚えた方も多かったはず。
次のゲームも計画中とのことなので、リリースされたらゲームキャストでもお知らせしたい。
そして、マヂヤミの世界から抜けられなくなった方は是非、ミオヤマザキさんの公式ページを見てもっとハマって見て欲しい!
関連リンク:
ミオヤマザキ公式
ミオヤマザキツイッター
アプリリンク:
マヂヤミ彼女 (itunes 無料)
BeCalendar(itunes 無料)