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これぞスクエニのグラフィック!『BLOODMASQUE』

BLOODMASQUE(itunes 600円 iPhone/iPadの両方に対応)
課金:課金通貨(レア出現率100%化、強力アイテムの購入に使用可)
開発:スクウェア・エニックス
評価:3.0(面白い)
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美しいグラフィックとフランスの町並み
写真を取り込んでキャラクターを作成できる
簡単操作で爽快なバトル
オンライン接続必須
無課金で十分クリア可能だが、課金圧力を時々感じるバランス
『BLOODMASQUE』はヴァンパイアに人類が支配された世界で、ヴァンパイアハンターとしてヴァンパイアに戦いを挑むアクションRPG。
今作はXBOX / PCで発売されたRPG『ラストレムナント』のスタッフを中心に日本で制作されており、「さすがスクエニ!」というグラフィックのゲームに仕上がっている。
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最初に書いておくが、グラフィックに関してはiPhone最高のものの1つ。
ゲームの舞台となる19世紀のフランスの雰囲気はきっちり再現されており、スタートからその町並みの美しさに驚かされる。
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▲スタート時の映像から「おお、パリ!」という映像の納得感。

しかも、マップは自由に動き回ることができるので、セーヌ川やモンパルナス駅などパリの名所を観光気分で見て回ることができる。
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▲凱旋門のあるシャンゼリゼ通りもこの通り。

敵や味方キャラクターの統一感、ゲームにマッチした音楽(ヘッドホンだと臨場感アップ!)、道行く人々のセリフや動きなどきっちり世界観を感じさせるようになっており、世界観の作りこみという面では有名ゲームの中でも抜きん出ている。
ヴァンパイアに支配された19世紀フランスの世界にすんなり入り込めるだろう。
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▲なお、厨二病分は比較的少なめ。

そして、ビジュアル面ではもう1つ面白い工夫がある。
それはキャラクターの性別・顔を自由にエディットできること。
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髪型・骨格・性別を変更し、主人公を好きに編集する王道のエディットだけでなく、iPhoneで人の顔写真を取り込み、そのままキャラクターにする事も可能。
これが驚くほど本人に似るので、アプリを購入して友達とキャラクターを編集しているだけで面白いレベル。
人間以外の顔取り込みも可能で、頑張って違和感を消してやれば獣人なども可能だ。
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▲作ったキャラは基本的に世界に公開される(しない設定もある)ので要注意。

この通り、作ったキャラクターを主人公にゲームのストーリーが進む。
なお、キャラメイクについてはこちらで解説しているので気になったら見て欲しい
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▲意外に猫でも違和感なかった…。

ゲームの基本はミッションを引き受け、ヴァンパイアとのバトルを繰り返しつつストーリーを進める流れ。
ミッション開始時に敵情報などが表示されるほか、特徴的なのは属性選択とヴァンパイアにとどめを刺すときに使用する“杭”を選択する必要があること。
杭は消耗品で、高価な杭を使用するほど敵を倒したときに得られる血液(経験値)と、ドロップアイテムのレア出現率が高くなるというもの。
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▲確実にレアアイテムが落ちる金の堅杭は課金アイテム。

属性に関しても独特で、武器などに固定の属性があるのではなく、プレイヤーが選べばいつでもキャラクター属性を変更できる。
属性相性によって「ダメージが増えないがゴールドや経験値が増える」、「ダメージが減るがレアアイテムが落ちやすくなる」などプレイヤーの目的やキャラクターの能力に応じてプレイスタイルを決められる仕組みだ。
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さらに他のプレイヤーのキャラクターを2人お供に選択して出撃。
ヴァンパイアは強力なため、ヴァンパイアハンターは3人で取り囲んでヴァンパイアを倒すという設定だが、時々すごく作りこまれたエディットキャラクターが出てくるのも面白い。
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▲なお、お供は攻撃控えめなのでそれだけで力押しは中盤以降不可能。

バトルはヴァンパイアのHPを制限時間内にゼロにして倒すアクション。
操作は簡単で、攻撃は画面タッチ、攻撃を回避するには敵の攻撃タイミングに合わせて左右にスワイプ(指を払うようにする)。
基本はこの2つだけで終わる。
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▲お供は自動で攻撃してくれるが、控えめ。

敵の攻撃は左右どちらによけても大丈夫で、ぎりぎりのタイミングで避けると“ジャストドッジ”が発生し、敵にカウンター攻撃を叩き込めるという仕組み。
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ジャストドッジや攻撃を繰り返すとゲージが溜まり、超必殺技を叩き込める要素も。
連打でコンボ数が増えていく仕組みがあり、効果音も良くできていてかなり爽快だ。
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そして、ヴァンパイアのHPをゼロにすると杭を叩きこんでフィニッシュ。
最後は一種のタイミングゲー(と言っても、慣れれば外すことはない)で、パーフェクトタイミングで杭を叩きこむことで得られる経験値が上昇する。
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と、説明していくと簡易操作になった『Infinity Blade』という印象なのだが、実際にプレイしてみるとその語感から感じる安っぽさはない。
まず、動作がなめらかで安定しており、スワイプ方向を気にしないでいいので操作の暴発もないので快適。
効果音が気持ち良いので爽快感はかなりのものだし、1撃を見切ってギリギリ避ける本作はタイミングゲーの要素が強く、『Infinity Blade』とは違った味わいがある。
また、武器や防具にランダム生成の要素があり、同じ武器でも攻撃力が違ったり、攻撃速度が早くなるなど豊富なオプションがあるのでランダムドロップ狙いでコレクションしていく要素もあって楽しい。

前宣伝で「スクウェア・エニックスの本気」などと言われていたが、グラフィック・ゲーム面両方でそれも納得できるクオリティだ。
ゲームクリアまでプレイして「これで600円は安い」と思わされた。

が、残念ながら手放しには褒められない難点も2つほどある。
「BLOODMASQUEはストーリーのエンディングを迎えるまで追加課金をしなくてもクリアできるようにバランス設計しています」とあるが、1面でそれは正しくないこと。
ゲームを進めていると毎回、ボス付近で敵の強さが跳ね上がり、これを倒すには敵が落とす装備がないと結構厳しい。
が、ドロップの確率が低めのためここでひたすら敵と戦う作業を強いられ「課金させたくて作業させている」という印象を抱かされてしまう。
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▲何回も装備が落ちるまで頑張るはめに…。

課金通貨であるルビーで専用アイテム(金の堅杭を使うと確実にレアアイテムが落ちる)すれば対処できるが、よほど上手なプレイヤーでもルビーなしに快適にゲームが終わらせられるとは思えない。
ルビーはレベルアップ時に得られるのでそれを効率よく利用していけば快適に進むのも無理ではないが、初回のプレイで効率よく利用するのは至難の業だ。
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▲課金アイテムルビー。1000円分も買えばほとんどの人が快適にクリア可能だと思うが…。

ランダムで良い装備が出てくるのを待つ作業は、期待通り装備がでなければかなりの徒労感を伴う。
良い装備がなかなか落ちなくても、貯まるゴールドでそこそこ良い装備を購入できる掘り出し物(レアアイテム)ショップなどがあれば「あと2回のバトルで目標のものが手に入る!」などと目標ができて印象はだいぶ違ったと思うのだが。

小さい…人によっては大きいと思われるもう1つの難点はオンライン必須ということ。
他のプレイヤーが作ったキャラクターがゲームに登場し、見られるのがこのゲームの魅力の1つだが、それと引き換えにオンライン接続が必須となってしまっている。
せっかくiPod touchやiPadでもプレイできるのだから、オンライン接続がないモードも作って欲しかったところだ。
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▲禁断のアニメ融合キャラも…こういうのが魅力の1つではある。

全体としてみると、グラフィックは最高級、動きもスムーズでストレスなく、ロード時間に関しても快適、バトルも十分面白い内容で、これで600円というのは間違いなく安い。
顔写真とり込み機能も非常にユニークでiPhoneならではの魅力がある意欲作だ。

現段階でも十分に良いと思うのだが、課金圧力と感じてしまう作業感の緩和さえあれば今年のiPhoneゲームの中でも指折りのゲームになるポテンシャルも秘めていると思う。
今後のアップデートにも期待したい。
最後になるが、対応機種が(iPhone4S、iPad2、iPad mini、iPod touch5G以上)限られているのでその点だけはご注意を。

アプリリンク:
BLOODMASQUE(itunes 600円 iPhone/iPadの両方に対応)

動画: