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素朴にヨーロッパ風の風景を再現『Return to Castlerama』の美しさにしびれる:iPhoneゲーマーな日々87

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2年ぐらい前ヨーロッパのCGメーカーから『Castlerama』というアプリがリリースされた。
イタリアの都市をモデルにしたリアルな3D空間を歩きまわるだけのデモアプリだが、そのグラフィックの雰囲気には眼を見張るものがあった。

で、それ以来Codenramaの動きに注目していたのだが、ゲームの開発が難航したようで初のゲームがリリースされるまでそこから2年。
先日リリースされたアドベンチャーゲーム『Return to Castlerama』はやっぱり美しいグラフィックで自分を驚かせてくれた。
ゲーム内容は本当になんてことない3Dアドベンチャー。
左側にあるバーチャルスティックで移動し、右のスティックで視点を切り替える。
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野外ではジャンプとダッシュボタンが追加され、屋根の上にジャンプで登って行ったり、ダッシュで敵を避けることもあるが、基本的には広い空間を歩きまわって何かを探す普通の(そしてあまり面白みのない)ゲームとなっている。
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▲屋根から屋根へ…!

しかし、このゲームには普通ではない、それがあるだけで全てが許せてしまうような長所が1つある。
そう、美しいグラフィックだ。

ゲームは地下室から始まるが、まずその雰囲気に驚かされる。
中に配置された不思議な小道具、細かく作りこまれた家具の様子、寂しげな光の表現。
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テーブルを拡大してみると布の質感までバッチリ再現。
「なにか、違う世界に来たんだな」
という気分になるほどのリアリティ。
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階段を上れば、光が差し込んで明るくなり、また違った雰囲気の部屋へ。
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さらに部屋を出てみるとヨーロッパ調の町並みに、露天。
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もちろん、拡大すれば布の模様や樽を縛るロープまではっきり見える。
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そのまま歩くと広場へ。
街のシンボルの像や教会がそびえ、開放的で美しい。
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教会に入るとまたガラリと雰囲気が変化。
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教会内には独特のタッチの油絵が飾られており、もはや観光気分で隅々まで歩いてしまう。
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そして街から出れば、山の歩道。
決して誇張されている感じではなく、「ああ、山登りしている時にこんな風景だったな」と思い出すような現実にありそうな美しさ。
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ゲームにありがちなわざとらしいファンタジーさでも、ハリウッド的な雰囲気でもない。
現実にありそうな、素朴でリアルなヨーロッパ調の風景がそこにあるのだ。
また、開発したCodenramaが元々CGの会社ということもあってか、どこを切り取っても絵になるのは感心するばかり。
このグラフィックは美しいだけでなくてその味まで含めてこのゲームだけの強みといえる。
Unearthed: Trail of Ibn Battuta』の時も感じたのだが、よくも手間ひまかけてこれだけのものを作ったと感心させられる。

450円の高価格帯アプリということで、行ける場所もかなり多い。
謎の洞窟。
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不思議な部屋。
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農村。
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ダンジョン。
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などなど、計8つの場所がプレイヤーを待っている。
なお、ゲームのストーリーは英語の長文で語られるが、アドベンチャーのヒント自体はシンプルな英語な上に、読み返せるので高校レベルの英語があれば解ける。
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▲ストーリーはお手上げでした。

正直、アドベンチャーゲームだけ見たらお世辞にも良いと言えないが、自分の中では“観光ゲー”と言うジャンルで、アラブ風の風景を再現した『Unearthed: Trail of Ibn Battuta』よりもさらに上に立つ、最もホットなゲームである。
いわゆる無駄な作り込みをみて感心したい、雰囲気を味わうのが好き、という方は試しても損しないと思う。
ヨーロッパの風景、それだけでそそるものがある。

そういえば、無駄な作り込みつながりで思い出したのだが、『シェンムー横須賀』という無駄な作り込みが狂気のレベルに達した、この手の“観光ゲー”の究極なゲームがあって…なんであれはわざわざドブ板なんてものを作りこんだのだろう…。
ヨーロッパを作りこんでおけばもっと売れたような…。

アプリリンク:
Return to Castlerama(itunes 450円 iPhone/iPadの両方に対応)

動画: