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『Uncharted』じゃない、『Unearthed』だ!アンチャのパクリゲーが俺の心に刺さる:iPhoneゲーマーな日々82

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柳の下には2匹目のドジョウがいる…という言葉の通り、ゲーム業界では流行ったゲームの後追いをすると、うまい具合に売れたりする。
で、iPhoneゲーム業界では“流行っている他の専用機のゲームをまねする”という商法があるわけで…。

今回そのターゲットになったのは映画のような冒険活劇を、お手軽に楽しめる人気作『アンチャーテッド』。
今回紹介するゲーム『Unearthed: Trail of Ibn Battuta』はモロにそれを元にしたゲームだ。
iPhoneでこの系統のゲームと言えば、ゲームロフトの『アンチャーテッド』こと『シャドーガーディアン』だった。
露骨なまでに『アンチャーテッド』を意識しており、内容はそれなりに良かったが一部のゲーマーは眉をひそめてみていたように思う。

今回、紹介するゲームはもう一段階露骨なパクリで、ゲームロフトとは役者が違う。
オリジナルタイトルが『Uncharted』(アンチャーテッド)なのに対してこのゲームのタイトルは『Unearthed』(アンアースド)。
似すぎ。
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▲UNEARTHED(発見された)という事で、冒険モノっぽい意味になっているけど…。

ただ、そのグラフィックも名前に負けていない。
壮大な古代遺跡の入り口は見た目からして雰囲気抜群。
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▲名前が似ていてグラフィックもいい感じとあると、ちょっとたちが悪い気もする。

近づけば鳩は空に飛び立つし、上を見れば美しい空模様。
こいつはかなり手が込んでいる。
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ゲーム内容も、遺跡を探索し、ときにアクションで切り抜け、時に銃撃戦で切り抜けるシネマティックなアクション。
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▲シャドーガーディアンのときも同じ感想だったなぁ…。

砂漠をバイクで逃げつつ、ヘリと戦うなどのシーンも有り、様々なプレイが楽しめる。
まさに『アンチャーテッド』!
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個人的に最も感動したのがモロッコの町並み。
途中のシーンで、富豪と話しながら歩いて行く場所があるのだが、街の作りがすごく豪華。
まずは路地から始まり…。
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ちょっと歩くと市場へ。
で、いちいち品物が描き込んである上、人がそれぞれちゃんと違う動きをしている。
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市場を出ると屋台が現れ、その先はまたちょっと違う通路に。
ここに来るまで、ほとんど完全使い回しの通行人も見ない恐ろしい豪華さ。
ちょっと歩くたびに風景がガラリと変わって、これで採算はとれているのか。
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そして、屋敷の近くにくるとモザイクの壁。
モロッコをGoogleで検索してみると、確かにこれに近い風景がそのまま出てくる。
まさにモロッコ旅気分。
この時点で冒険とかどうでも良くなって、自分の中ではアラブ感(行ったことないけど)を楽しむゲームになった。
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さらに、ゲーム終盤ではパトカーから逃げるドライブゲームも。
これまたこのためだけにかなり広い街が作られているという驚きの物量。
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いやー、こんな感じで「自分たちはグラフィックが売りで、その物量もすごいです!」と直球で勝負してくるゲームは大好物だ。
日本に居ながらにして、アラブに思いを馳せられるレベル。

製作したのはサウジアラビアのゲームメーカー。
ゲームの世界ではあまり知られていない…ということは、あまりゲーム制作経験がない国のはず。
そのメーカーがこれだけのものを作るには相当な努力があったことだろう。

作っている本人たちも「俺達はすごいものを作って世界に売る!」と思っていたようで、21言語に対応していて日本語訳のできも悪くない。
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▲圧巻の言語選択画面。

で、話を戻してタイトルも似ているし、雰囲気も似ているし、悪質なパクリゲーなのかといわれると、パクリなのだが…なんというか個人的には許せてしまう。
確かにパクリ度は高い、高すぎる。

例えば、主人公のデザイン。
顔がちょっと違うけど、ヒゲやらなにやら『アンチャーテッド3』の主人公を連想させる。
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▲ゲーム中、顔がこれだけきっちり描画されているのもすごい。

ちなみに、アンチャーテッドの主人公はこんな感じ。
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しかし、それでも実際にプレイすると「ああ、これはちょっと違うな…」と許してしまうような偽物感が漂う。
例えば、止めてみるとグラフィックがすごくても、動きがしょぼい点。
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ボタンの反応があまり良くない上に、手が壁を突き抜けてそのまま壁越しに敵を撃てたりと細かい所で作りが粗い点。
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敵を倒して、物が落ちても敵の死体が消えないため、落ちたものと死体が重なると取ることが困難だったり、操作の説明がなかったりと、例えて言うならばプレイステーション初期ぐらいの操作感・不親切さと言った感じで、グラフィック以外は過去の世界にタイムスリップしたかのような内容だ。
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ステージのボス戦は格闘ゲームになるが、別に面白いわけでもない。
詰め込めるだけ詰め込んで、でも見た目以外クオリティは低い。
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ときおり挿入されるムービーシーンは、背景が止め絵のため一体感がなく、通常のゲーム時よりしょぼく見える始末。
全体的にものすごいしょっぱい『アンチャーテッド』という感じ。
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グラフィックは最新にして、出来る限りのものを詰め込んで、初めてゲームを作ってみました、という感じ。
確かに『アンチャーテッド』をパクっているのだが、見た目以外の質が悪すぎて、中国の教科書にあった涼宮ハルヒが違うものになっていたかのような…。
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▲重ねて言うけどグラフィックはいい。

しかも、見た目詐欺という内容ではなく、体験するなら無料、製品版のアンロックが450円。
だから騙されることもない。
グラフィックが一番イイ所は後半なので「やらないのがもったいないなー」と思う反面、「まあ、とりあえずプレイしたら投げ出したくなるだろうから仕方ないか」という感じのゲーム。

今作は3部作の1章ということで次回以降も出るのだと思うが、見た目に引き付けるものがあるので、できれば今作をアップデートして操作性を向上させ、次章以降のクオリティを上げていって欲しいと思う。
なお、評価はゲームのマイナス部分を差し引いても「無駄を楽しむゲー」としての長所があるので3.0(面白い)とした。
「無駄を楽しむゲー」を試してみたい人だけにはおすすめ(ちょうど体験は無料だし)。

ただ、自分が「ゲームは面白くないけど個人的に気に入った」ゲームは大抵それ以降何も出ないんだよなぁ…。
DLしてさわりをプレイするのは無料なので、試してもらって(奇跡的に)続ける気力のある人がそこそこいたら、次章も日本語訳されて出てくるかな…と。

そう考えてふとサイズを見ると…えっ、これ2.8GBもインストールに必要(空きは5GB必要)なの?
そりゃ売れないわ…。

追記:
どうやら、名前がまずかったのか暫くの間ストアから消されてまた復活した模様。

アプリリンク:
Unearthed: Trail of Ibn Battuta - Episode 1 体験無料 iPhone/iPadの両方に対応