この記事とまったく逆の、若い人が大金出して無料ゲーム作者を援助する話もあるので一緒にどうぞ。
AppStoreの創作活動で金を得る新たな挑戦、広告なし、基本無料ノベルはマネタイズできるのか:超水道×ゲームキャスト
最初に、私とある(とても尖った)高校生との会話を紹介したい。
学生「アプリがひどかったから★1をつけたんですよ。」
--へぇ、どんなゲーム?
「◯◯っていうんですけど、無料って書いてあるのに全然遊べないんですよ。」
--そのゲームは、序盤だけプレイできて楽しかったらお金出してくれってゲームでしょ。別にいいんじゃないの?
「そんな面白いゲームなら金を払うけど、あの程度のゲームに払うかと言われると……。
なによりゲームは暇つぶしなのだから、無料ゲームは時間を使えばだれでもクリアできるし、遊べるべきです。
僕らみたいな学生がお金を払わなければならないなんて強欲すぎじゃないですか。」
--でも世の中のものは全部お金がかかっているでしょう。
「だから、僕らがプレイしているおかげでランキングが上がったりしてお金を持っている人が見つけてくれるようになるわけでしょう。
貢献していますよ。金は働いている人が出します。」
--どんなゲームならいいの?
「とりあえず、落としてある程度遊べればいいと思います。とりあえずその場が満足できるぐらいかな。同じことをやっていると飽きるし、
つまらなければすぐ次のアプリですね。
最悪なのは、やたらに大きくて取るのに時間がかかるくせに遊べる時間が短いアプリ。
長い間待って、電池も使ってダウンロードしたのに遊べない。
はっきり言って詐欺です(笑)」
最初に書いた通り、これは特に尖った極端な例だが、今の高校生などと話しているとこれに近い意識のゲーマーは一定数いる。
高校生は親に携帯を買ってもらい、最初に手を出せるゲームは当然無料ゲーム、ソーシャルゲーム。そういったゲームばかりプレイしてきたプレイヤーは「お金が無い時は時間を使う」という常識が身についている。
有料ゲームは目立たず、「無料でプレイできますよ!」というキャッチコピーが飛び交う世界で、「無料のゲームがある」ではなく「ゲームが無料である」という認識が作られてもおかしくはない。
ここ数年、ゲーム業界は急激な変化にさらされ、そこで生み出された彼らは基本無料(フリートゥープレイ)商法時代の新世代ゲーマーなのだ。
このようなプレイヤーを考慮しないと、無料でDLできるアプリは評価を大きく落とす可能性がある。
例えばスクウェア・エニックスの『乙女ぶれいく!』には
「お金を払わないと遊べません」
などの★1レビューが散見される。
▲乙女ぶれいく!
これは新しいゲーマーによるガチレビューである。
悪いことに『乙女ぶれいく!』の発売直後は価格についての解説が一切なかった(今は追加されている)上に、音声ファイル付きの巨大アプリをDLすることになるので大容量をDLして期待値が上がった後に「基本無料ではありません」と表示される。
基本無料が普通のゲーマーにしてみれば「無料=基本無料」であり、体験版では騙された気分になる。それが★1の理由となってしまった。
この温度差をまだ理解している開発者は少ないのではないだろうか。
さらに、『乙女ぶれいく!』についてはメディアがこれをあおっている問題もある。
スクウェア・エニックスのゲームともあればほとんどのメディアが記事を書く。特にDLが無料ということで「◯◯な無料ゲーム!」というタイトルをつけてアクセス数をお稼ぐのはメディアの常套手段だ。
しかし、基本無料時代のゲーマーにとって無料ゲームとは体験無料ではなく、基本無料か完全無料。
メディアの露出が大きく、期待値が上がった上でゲーマーに目をつけられたために『乙女ぶれいく!』は評価が低くなってしまったように思える。
無料で体験版ができ、一部のコンテンツや機能を体験するためにお金が必要になるフリーミアム。
無料で基本的に全てが体験でき、追加の課金で強力なアイテムなどが手に入るフリートゥープレイ。
最初から有料で体験するプレミアムゲーム。
この3種類を区別して、誤解がないように情報を出すのがこれからのゲームメーカー・ゲームメディアには必要とされる。
ダウンロード販売の普及によってソフトウェアの消費方法が変化していく中で、人の意識も変化する。
ゲームメディア・ゲームメーカーともこれに対応していかなければいけない。
そして、これが情報としてわからないAppStoreの価格表示は、もう時代遅れなのかもしれない。
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