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AppStoreの創作活動で金を得る新たな挑戦、広告なし、基本無料ノベルはマネタイズできるのか:超水道×ゲームキャスト

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かなり長い間ご無沙汰していた[1週間でゲームを作る実験]。
アプリを短期間で作るだけではなく、アマチュア作家が、アプリを出して同人活動をすることは可能なのか。アプリを出すことで商売していくことは可能なのか、という実験も兼ねていた。
無料のアプリを出せば数が出て知名度は上がるけれども儲からない。
85円のアプリは全然数が売れない。
そこで挑戦したのが、「応援してくれるファンに向けて特別なファングッズを購入してもらい、活動費を応援してもらう」プチパトロンのようなシステム。

特別なファングッズや、スタッフロールにのれる権利などをAmeroad(Twitterアカウントだけでデジタルデータが売買できるサービス)を販売してみることにした。
プラチナ5000円コース:高音質mp3、サウンドトラック、設定資料、制作秘話、スタッフロール掲載権
アドバンスド3000円コース:高音質mp3、サウンドトラック、スタッフロール掲載権
ベーシック2000円コース:高音質mp3、サウンドトラック
(詳細・購入はこちらから)

また、小説の全ての内容を無料で読めるようにし、有料で画質・音質を高めるためにお金を払ってもらう「基本無料」を導入してみた。
同人作品がこのような形を、ノベルで導入することでいわゆる[マネタイズ]をすることはできるのか。
結果は以下のとおり。

プラチナ:16名
アドバンスド:1名
ベーシック:2名

最初1ヶ月のダウンロード数は7336件、有料版購入が207件。

Ameroad:87000円
アプリ:207×85×0.7 = 12316円

計99316円。
これがアプリ1つの収益として大きいのか、小さいのかというと人が食べていくには辛く、しかし、同人としてはそれなりとも言える。
実際、アプリを作った超水道はどう考えているのだろうか。


__________reasonably_small
今回、ファングッズを売ってみるというチャレンジをしたわけだけども。
super
そもそも、5000円のコースなんて買ってくれる人がいるのか疑問でした。
85円のアプリに対して「85円を返してください!」という世の中で、本当に2000円のものを買うのか?と思っていました。
それに、2000円のCDは売れたとしても、スタッフロールで1000円というのはどうかと思っていました。 同人や、アプリ開発者の人からどう言われるだろう、と。
__________reasonably_small
ある意味、あやしい人にそそのかされてやっちゃった感もあったよね。
super
買った人が損した気分にならないように、できる限り手間はかけました。
豪華にしすぎるとお金がかかるのでアプリ制作費にあてられないので、できる限りで手間をかけました。
アルバムジャケットは新しく絵を起こして、印刷所に頼んで作ってがっかりされないように頑張りましたし、曲もフルバージョンを作ってもらったので、作曲家さんにもお金を出すのもあって、赤字になるか不安でした。実際は大丈夫だったんですけども。
__________reasonably_small
DL数とアプリ内課金をしてくれた人の人数についてはどうおもう?
super
ダウンロード数はいつも通りの速度ですね。
ヴァンパイアハンターHIROSHI〜Around the Clock Show!〜』の外伝は有料アプリなんですけど、本編をプレイした人の1%程度しかDLしてくれませんでした。
そう考えると有料版の課金率は2%以上で、アプリ内課金は手軽なんだな、とは思いました。
個人的にアイコンを集めていくのが嬉しいので、今後も外伝は別アプリにすると思います。
でも、豪華版アンロックもやっていくかもしれません。
__________reasonably_small
豪華版は有料外伝より課金率はあるけど超水道が課金方式を変化させるほどは違わなかったということだね。
では、Ameroadはどうだった?
驚いたことに若い人が買ってくれたよね。最初は超水道を応援する社会人が買ってくれると思っていたのに。
super
Ameroadでこんなに行くとは思いませんでした。
僕らが知っている売り方はコミックマーケットとitunes storeでしたが、これはどっちでもない感覚。
コミックマーケットは本当に全然売れないんです。いわゆる萌え系ではないですし。
itunes Storeは最初にバーンと売れてしぼんでいく。
Ameroadは高くも低くもなく、自分たちが活動を続けて応援してくれる人が入ればちょこちょこ買ってくれている人がいるんですね。
__________reasonably_small
ちょこちょこってのは、後から買った人がまたAmeroadで買ってくれることがある、ということ?
super
始めてやったときはお金がなかった学生さんが「お金出来たから買いました!」ってことが結構あるんです。
しかもプラチナを。
__________reasonably_small
アニメとかは旬が過ぎたら店頭からグッズが消えるけど、データ販売はソフトもファングッズもずっと売れるのがいいのかもね。 そして、そのAmeroadだけど、やってみたら本当に楽にできたよね。
super
Ameroadで出品するのは思ったよりも簡単でしたね。やってみたら案外できてしまった。
ただ単にものを買ってもらえるのではなく、メッセージなどをもらえるのも嬉しい、読者と作家が近い距離にある買い方だと思いました。
__________reasonably_small
約10万円というと、大きいような小さいような金額だけども…。 このお金で変わったことはある?
super
かなり違いますね。 手始めに飯を食いに行けるようになりました。
その前後に会議をするとモチベーションが違います。
Appleのライセンスが切れて、いつもはそれを払うのが大変なんですけどそれをポン、と払うことができました。
今度はPaintやPhotoshopなどのソフトを購入するか、パソコンのないメンバーにパソコンを買うか考えています。
今まではそういったモノが必要になるたびにみんなでバイトをしたり、お昼ごはんを食べずに節約したりして必至に工面していました。心理的な負担はだいぶ違いますね。
アルバイトとかをあまりいれないでものづくりができる、そういう意味で創作に当てる時間が格段に増えたとも言えます。
__________reasonably_small
これで食べていくことはできないけども、創作の助けにはなっているという感じだね。
super
hiroshi外伝が売れていってちょっとマシになっていたんですけど、今回Ameroadで黒字に転じたんです。 アルバイトなどをすると創作のペースが落ちる。 特にイラストのすずめくんにバイトをさせるのは心苦しいので、革命的に助かっています。
__________reasonably_small
では、Ameroadは確実に役立っている?
super
このシステムのおかげで同人サークルがもうかって、食べられるかというとそんなことはないと思うけども、創作の助けになるぐらいのお金は手に入ります。
姿の見えなかったファンが目に見えてわかるし、AppStoreで無料アプリをただ漫然と作るだけよりもはるかに良い。
さらにノベルアプリなどは広告を入れると目に見えて雰囲気を壊すので、純度の高い作品を届けることができる。品質と収益を両立できるんです。
正直、大学生の趣味の域は超えつつある気がします。文だけのノベルなら1人でできるけども、デンシノベルはイラストも音楽もつくし、プログラムも必要。
音楽は人にお願いしたのですけど、ボランティアではなくて少しでもお金を払って頼めるので心理的にも楽になりました。
__________reasonably_small
では、Ameroadの導入はソフト開発者を助けてくれると思った?
super
Ameroadは続けます。商業と比べると金額的には小さいけども、超水道的には大きな一歩。
大学を出て、プロになるなら下積み期間があってニートになる可能性もあるわけです。
そういう時でも収入があるようになっていくのはでかいと思います。
家で小説を書いている穀潰しは、今までお金を生み出さなかったけども、この仕組みで少しましになるかもしれない。
コンビニのバイトを週に5回するのか、週3回でよくなるのか、これは大きな違い。
そして、Ameroadのようなサービスがあるおかげで今回はそれができました。
お客さんのリスト作りや振込確認は、面倒だけどバイトよりはマシだと思うんです。

今回、そこそこ人気のあるサークル[超水道]が挑戦して10万円。商業にするには額が小さいが、創作活動でプロを目指す人を助けてくれるのは間違いない。
日本でいわゆる「投げ銭」的なものが成り立つか、という今回の実験だったが、今回の結果から言えば「ある程度役立つ」と言えるだろう。
もう少し人気のあるサークルが同じことをやったらもしかしたら生活できるぐらい収入が手に入るかもしれない。

プレイする前から高額を払って欲しい、というビジネスモデルは消えつつあるが、「欲しい物には金を払う」という仕組みを実現することは商業レベルでなければ実現できるのではないだろうか。
そして、間違いなくAmeroadはその助けになった。

同人創作活動もまた、デジタル化できる。
そして、ネットを介して作品のファンを作りやすい今は、新しい創作活動が始まる時代の幕開けなのではないだろうか。


関連サイト
超水道公式
ameroad【アメロード】

超水道の無料アプリたち
森川空のルール
学生時代の青春モノ。
爽やかでさっと読めます。

ヴァンパイアハンターHIROSHI〜Around the Clock Show!〜
多分、超水道的には出世作。
ドタバタ現代ヴァンパイアもの。
こちらは普通のアドベンチャー的な構図。

'99〜恐怖の大王と放課後の女神〜
今作。1週間とはいえ、今までの超水道の集大成的アプリ。
気に入ってます。


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