2010年iPhoneゲーム大賞候補を語る9【Infinity Blade】
こちらでノミネートされている大賞候補を全て語ろうという無茶な企画第9回。
非常に個人的な感想を垂れ流していくレビューとは違った企画。
今回は混沌のiPhoneBlog -AppBank_Fan-さん推薦のInfinityBlade。
当サイトでのはレビュー記事は「レビュー:圧倒的グラフィックのアクションRPG Infinity Blade」していないが、近々予定されている大型アップデート後にレビューを行う予定。
ゲームエンジンの王様登場
このゲームは汎用ゲームエンジン、Unreal Engine3で作られている。
ゲームエンジンとはゲーム作りを容易にしてくれる枠組みのようなもので、日本で有名なものだとエンターブレインのRPGツクールがそれに当たる。
Unreal Engine3は世界的に有名なものの1つで、XBOX360のGears of Warやスクエアエニックスのラストレムナントなど、実に多くのゲームがこれで作られている。
このゲームエンジンのウリは「移植性」。
ラストレムナントならばXBOXとPCで出ているし、PS3/XBOX/PCのゲームもある。
iOSで出ているDungeon Defenderに至ってはPS/XBOX/PC/Android/iOSとほぼ全ハード制覇。
そんなゲームエンジン最大手がiOSに対応したというのがまずこのゲームの登場意義なのだ。
「やってきた」ゲーム
ようやくInfinity Bladeの話に移る。
そんなUnreal Engineを開発したEPIC GAMESが特に力を注いで作ったのがこのInfinity Bladeだ。
誰もが認める圧倒的グラフィック。
タッチパネルに最適化されたゲーム性。
年末はこの完成度に圧倒された方が多いのではないだろうか。
実はこのゲーム、相当な最適化が施されている。
「自由移動できない分、見える部分は力をいれている」どころの話ではない。
鎧の金属光沢から床の影まで徹底的に職人芸で書きこみ、iPhoneでも動くようにテクスチャ(ポリゴンを綺麗に見せるための絵)の再利用をひたすら行っている。
全身鎧というのもまた制約の中で綺麗に見せるための選択である。
EPIC GAMESは変態的とも言える作り込みで、このグラフィックを実現したのだ。
そして、この意味するところは1つ。
「EPIC GAMESはiOS開発に本気だから、Unreal Engineを使ってください」
ということ。
ゲームエンジン最大手が「iPhone/iPod touch/iPadはゲーム機になりますよ」と認めた結果がこのゲームなのだ。
「やってきた」ゲーム
このゲームに先立ってCHAOS RINGSの紹介記事で、CHAOS RINGSはiPhoneのゲーム機としての未来を切り開いたと書いた。
こちらはその切り開かれた未来に対して、iPhoneをゲーム機として認めたので戦略に組み込むために出された、言わば「やってきたゲーム」である。
Infinity BladeがiOSに来たということは、Unreal Engineがもたらすマルチプラットフォーム戦略にiPhone/iPod touchが組み込まれた、ということ。
上の動画はソニーが発表した最新携帯ゲーム機、NGPとiPhoneの比較動画だ。
どちらもUnreal Engine上で作られた同じアプリで、性能の差がそのまま映像に出ている。
逆に言うと、Dungeon Defendersのようにグラフィックを落とせばiPhoneでもNGPのゲームが動くことになる。
しばらくはNGP向けゲームがiPhoneにダウングレード移植され、そのうちに同時発売、5年後はNGPへ最新iPhone向けのゲームがダウングレード移植される未来がそこにはあるはずだ。
Infinity Bladeが来た瞬間にこれらの未来がAppStoreにもたらされ、CHAOS RINGSが切り開いた未来を一気に押し広げた。
これもまた、2010年のAppStoreを象徴する作品と言えるだろう。
Infinity BladeのDLはこちら(itunes)