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『Threes!』と『2048』の間にある問題。早すぎるパクり系の登場がゲームに与える影響。

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人気ゲーム『Threes』、DL数でパクリゲーに抜かれる。異常事態に本家開発者が苦言を呈す。が思った以上に反響があったので、補足する意味で少し書き足していく。
今回は、『2048』というゲームの何が問題だったのか、という点について書きたい。

そもそもパクるのが悪いことなのか。
一概にそうは言い切れない。
このような「派生系」ゲームは昔からゲーム業界で出続けていたし、それがあるからゲームが磨かれてきていた。
ドラクエがヒットすれば、ヘラクレスの栄光が出る。スト2が出れば、餓狼伝説が出る。
では、『2048』はどうだろうか?

ゲームは不思議なもので、小さい箇所を変えただけで爆発的に面白くなることもある。
例えば、難易度が高すぎるRPGは、キャラの成長速度を2倍にしただけで適正バランスになって面白くなるかもしれない。
カードゲームならば、1枚バランスの悪いカードを取り除いただけで面白くなるかもしれない。
システムがほぼ同じでも、上に乗っている数値が異なれば変われば新しい面白さが出現し、オリジナルになり得るのがゲームだ。

そう思って『2048』を見ていくと、確かに「派生系ゲーム」と言える。
4×4マスの中で数字パネルをスワイプで移動させ、倍数を作っていく基本ルールは同じだ。
しかし、『Threes!』がパネルを1マスずつ移動させるのに対して、『2048』はスワイプと同時に全部のパネルがスワイプした方向に移動できる限り移動する。
また、『Threes!』が1と2という特殊パネルを用意しているのに対し、『2048』はすべて2の倍数となっている。
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結果として、『2048』は『Threes!』よりあまり考えなくてもプレイできるカジュアルゲームになっている。
サクサクプレイできるので、『2048』が好きな人もいるだろう。
つまり、遊びのルールや画面構成などはコピーしていても、面白さは違うゲームとは言える。
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▲より簡単でサクサク遊べる。

悪く言えば「パクり系」だが、『2048』のゲーム内容は問題ないと思う。
(そもそも、そこは難しすぎて永遠に線引きできないところだが…)

では、何が問題かというと『2048』の売り方だ。
『Threes!』の制作者は、フラットデザインのマス目で数字を合体させるだけで楽しいパズルになることを7ヶ月かけて証明した。
そして、その7ヶ月分の開発費を数ヶ月かけて回収し、利益を上げるはずだった。

しかし、模倣しやすいのを良いことに『1024』という2の倍数を足していくパクりゲームが登場し、それを元に『2048』ができあがった。
さらに悪いことに、『2048』がソースコードを公開したためか、ストアには一気に『2048』クローンがあふれてしまった。

ここまでたった2ヶ月。
似ていて質も高めのものが無料であると、潜在的顧客を多く奪ってしまうことになる。
また、『1024』に至っては『Threes!』がGoogle Playに登場するよりも早く登場していた。
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▲1024はゲームは面白くなかったが、デザインのコピー度は高かった。

では、『Threes!』が最初から広告付き無料のビジネスモデルにすれば話は解決していたのだろうか?
それも解決にはならないだろう。
『Flappy Bird』のような奇跡がなければ、広告付き無料は複数人の7ヶ月分の開発費など稼ぎ出さないと聞く(海外は人口が多いが、広告単価も日本と比べてはるかに安い)。
広告付き無料前提で開発するならば、『Threes!』を生むほどの開発期間がとれず、『Threes!』がでてこなかった可能性が高い。当然、その派生系の『2048』も生まれなかった。

オリジナルの作者はまた『Threes!』のような面白いゲームを生み出すかもしれない。
しかし、儲けられなければ市場から去る。また、今回儲かったところで、「赤字のリスクが高く、ヒットしたらコピーされるのでリターンの天井も低い」市場にいつまでいてくれるだろうか。

「2048があれば良いじゃん」という考え方は「今後、2048みたいなゲームが出なくてもいい」と意味は近くなる。『2048』ユーザーにとっても関係がある話なのだ。

手間をかけて作られた、シンプルなアイデア系の面白いゲームをプレイしたいならばオリジナル作者を大事にするしかない。
それは、確かに開発者の都合だ。
しかし、同じ立場の開発者がそれを考えず、ゲームを公開してしまったから『2048』などの派生アプリは問題だ。

そして、面白いゲームが減ることはゲーム好きにとっても問題でもある。
開発者が「シンプルで模倣しやすく、面白いゲームは出さない」となったら、プレイできるゲームの幅が狭くなる。

ではこれを解決するにはどうするべきなのだろうか?
Appleが審査するべきなのだろうか?
それとも、ユーザーが立ち上がるのか、法律でガチガチに縛って守るべきなのだろうか。

それについては次回の記事で書きたい。

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アプリリンク:
Threes! (itunes 200円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay 205円)

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