ソーシャルゲームを見る5:ソーシャルゲームがゲーマーにとって面白くない理由と批判される理由2
- 特集記事
- 2012年01月05日
- タグ
- その他|

前回「ソーシャルゲームを見る4:ソーシャルゲームがゲーマーにとって面白くない理由と批判される理由」でソーシャルゲームがゲーマーにとって面白くない理由を考えてみたが、今回は批判される理由について踏み込んでいきたい。
繰り返しになるが、ここでいうソーシャルゲームとは『ドリランド』に代表される射幸心を煽るタイプの集金性の強いソーシャルゲームとなる。
が、それ以上にソーシャルゲームは問題を抱えているように思える。
ソーシャルゲームの作りの基本は「プレイすることに依存させ、やめられなくする」という所にある。
そして、その上で「射幸心を煽り、最大限に集金する」というもの。
この仕組みの基本はパチンコと同じで、そこに「他のプレイヤーとからむことでやめられなくなる」「他のプレイヤーと比較することで自尊心が満たされる」という効果を考えると、それ以上にヤバい。
しかも、携帯からいつでも誰でもアクセスできてしまう点ではパチンコをはるかに上回る危険な物体である。
パチンコ中毒者に、いつでもどこでもプレイできるパチンコを渡したらどうなってしまうか想像してみるといい。
何かしら、規制があってしかるべきと思う。
さらに、その収益形態もいかがなものかと思う。
ソーシャルゲームは全体の10%が課金し、その中でも1%がほとんどの稼ぎを担うと言われる。
その1%は生活に余裕のある一部の金持ちならいいのだが、ほとんどの場合は生活に対して分不相応な課金をしていると予想される。
正常な判断が出来れば課金しないか適度に課金するぐらいだろう。
だが、大人だからといって必ず自制心があるとは限らないし、そもそもこのゲームは煽って自制心を飛ばして課金させるところに力を注いでいる。
「基本無料」というのは過剰な資金を注ぎこんでしまうプレイヤーを探す餌であり、「無料だから課金せずとも楽しめる」というのは建前でしかない。
以前から基本無料のPCのオンラインゲームはこの方式で利益をあげていた。
PCというマニアックな市場だからこそ目をつぶれてきた部分もあるかもしれないが、こちらも含めて見直す時がきているのだろう。
また、既存のゲームに対して悪影響を与えそうな点も見逃せない。
長年、ゲーム業界は批判にさらされながら社会の中で認められるために努力していた。
表現にも気を使い、レーティング機関「CERO」を発足させてゲームの自主規制に努めている。
時に『GTA III』の自主規制のようにゲーマーの批判にさらされることもあるが、自主規制することでゲーム業界を守るために努力しているのだ。

対してソーシャルゲームは残念ながらそう言った努力に関しては全く足りていない。
例えば、人気作『キャバ嬢ライフ』。
内容も表現もストレートに水商売で、ゲーム内では客にプレゼントをねだってはそのまま売って自分の小遣いにすることが肯定されている。
自分が親であれば絶対に子供には触れさせたくないが、誰でもプレイできてしまう。
ゆるい。
あまりにも緩すぎる。
これが槍玉にあがれば「ゲーム」というくくりで批判される。
世論が許せば法律で具体的な規制が入ってしまうかもしれず、そうなるともうそれに触れるゲームは一切作れなくなってしまう可能性もある。
私としては、一部のメーカーはソーシャルバブルで荒稼ぎし、次の事業に投資するためのチャンスとして利用しているだけに見える。
そういったメーカーは荒稼ぎしたら次の事業に旅立つが、規制が入った後に泣きをみるのは残る「ゲーム」全体である。
これもまたゲーム好きとしては受け入れがたい。
このように現在のソーシャルゲームは「パチンコのような射幸心を煽る性格を持ち、ユーザーの分不相応なほどの課金を期待して運営されている」、「ゲームを文化として考えたとき、それを発展させようとする一員として振る舞っていない」という2点で批判されてしかるべきだと思う。
ということで、2回に分けてゲーマーにとって面白くない理由と批判される理由を考えてみた。
ではどうすればいいのか、そしてどうなってほしいのか。
長くなったが次はそれを考えてみたい。
関連記事:
ソーシャルゲームを見る1:ソーシャルゲームはゲームの仲間入りをするか
ソーシャルゲームを見る2:ソーシャルゲームは社会の一員になるか
ソーシャルゲームを見る3:GREEやモバゲーの宣伝力はファミ通・TVに勝るのか
ソーシャルゲームを見る4:ソーシャルゲームがゲーマーにとって面白くない理由と批判される理由1
コメント一覧 (16)
-
- 2012年01月05日 22:27
- 百害あって一利なしでしょう。明らかですよ。
-
- 2012年01月06日 01:36
- 相対する人間がいて、ゲームというシステムの中で競争した時、今の自分のスキルでは絶対に勝てないと力で証明されるのはゲーマーとしては納得がいく結果なんですよね。
「KingdomConquest」は私も多大な時間と少しのお金を消費しましたが、結局は驚く様な金額の課金者に一瞬で滅ぼされるという結末を迎えました。
一昔前にRPGの経験値稼ぎのみを委託する業者がニュースで流れていましたが、これが「ゲームという文化の多様性」だとは、私個人は認めたくありませんね。
長文失礼致しました。
-
- 2012年01月06日 16:10
- ▼ゲイモスさん
こう言っては難ですが、競争したい場合は月額式のゲームでもやるべきかと思います。
結局、基本無料の無限課金型のゲームは金でどうにかなるので…。
kingdom conquestもゲーム的な駆け引きをもってはいますが、「かねかけて強い人がほめられる」というのが基本構造です。
「競争させて無制限に課金できる」というのが是か非かというと私は賛成できませんが、MMORPGが抱えている「時間を無制限に注いだほうが勝てる」という商売もなかなかひどい。
でも「商業ゲーム」としてそういうものが存在するのは避けられないと思っています。
ただ、それが私達にとって面白いかどうかは全く別の話で、「こんなのよりもっといいものがある」と言い続けるのが重要だと思っています。
結局、ゲーマーが金ださないからこういうゲームが出てきてしまうわけで。
コメントありがとうございます。
▼?さん
集金装置型はそうだと思います。
間違いない。
-
- 2012年01月06日 16:10
- ▼?さん
結局のところ、娯楽産業というのはほとんどが似た構造を持っていると思います。
例えば家庭用ゲーム機が安全かというと、結局は楽しすぎてゲームを全部コレクションしてしまえば生活に支障をきたすし、やりすぎれば時間がなくなって社会的におかしくなってしまう。
ディズニーもはまると湯水のようにグッズに金を注いでしまう。
だから、程度の問題になってくると思っています。
今回の場合、射幸心をみだりに煽るというのがまず大きいと思っています。
また、生活必需品として手元にあって、それを通じて基本無料と称してプレイさせ、招待を通じて無制限に広げられる規模も問題です。
過去にビックリマンシール(1つ30円!)ですら規制されているので、この規模になっては規制も当然と思うのですが…。
キャラクターデザインや操作性などは、やはりかけている金額が違うから仕方ないのかもしれません。
とは言え、見習っては欲しいです。
表現規制についてはCEROの規制が適当かどうかなど、追求しだすときりがないのですが「自主規制しようとしている」動きもない方が私は嫌ですね。
金のかかるゲーム機と違って、携帯で基本無料だと何をプレイするか制御しづらいというのもありますし(CEROのレーティングは親が子供に与えるときの基準として発信されています)。
コメントありがとうございます。
-
- 2012年01月07日 05:39
- ソーシャルゲームというものを幾つかプレイした上での感想ですが、
だいたい、トシさんの書かれている通りの感想を持ちました。
特に、これが槍玉に~以下の文章にはかなりの同意見です。
個人的には天空のスカイガレオン位作りこまれたゲームがあればソーシャルというジャンルを娯楽として大目に見たい気もします。
でも、世に蔓延る多くのソーシャルゲームは粗雑なものが多いというのが現状何とも腹立たしい点がだと思うのですが。
(酷いメーカーだと屋台骨だけそのままにイラスト変えて別ゲームとして配信してたりしますし)
天空のスカイガレオンについて宣伝するつもりはありませんが
mixiで5000以上のイイネ!評価、またwikiの充実ぶりでゲームと成り立っていると判断していただければ幸いです。
http://www44.atwiki.jp/skygaleon/pages/178.html
昨年、年間を通じてプレイしたiPhoneのゲームも幾つかありましたが
同様に無課金で8ヶ月遊び続けられているゲームなんですよね。
shadouw eraを簡潔に日本人向けへソーシャル化したゲームといえば伝わりやすいかもしれません。
ちょっと暗黒面に落ちかけているので説得力は皆無かもしれませんが
社会悪の温床となるような怪しいマーケットの片隅でも探せば美味しいスープとパンを提供してくれるお店が見つかるかもしれません、ということで。
批判は当然、そうあるべきと考えますが全部が全部そうではない、というスタンスを取りたいと思います。
ソーシャルもまたゲームなら行く末を見守りたいかなと。
集中連載のようなので続きの記事を楽しみにしています。
-
- 2012年01月08日 07:04
- たくさんお金を稼いで、たくさんの雇用を生むのが一番の社会貢献だと思うので、買い切りゲームを無料同然で配る企業よりずっと社会の役には立ってると思うんですけどね。キャバ嬢やホストを美化したマンガやドラマやゲームなんて過去にいくらでもありましたし、、。
結局”楽して金儲けてるのが許せない”っていう感情的なもんじゃないかなと思います。
時間が経てば駄目なソーシャルゲームは廃れて秩序も生まれるだろうし、自分としては、今はどんどんソーシャルゲームが好きな人からお金を巻きあげて経済を廻して欲しいと思います。
-
- 2012年01月09日 13:30
- ▼?さん
結局のところ、キャバ嬢やホストを美化したマンガやドラマも規制されろと思っていますよ。
レディコミも、地上波の放送でも下品なものは時間帯を規制して欲しいし、何かしらの表示をして欲しい。
AV女優がセクシータレントとか言われるのもやめて欲しいという方向です。
まあ、どうしようもないでしょうが。
ゲームというのはどうしても叩かれやすいので、TVなどのように自由すぎるとまたTVや新聞で叩かれると感じています。
もう十分社会的にメジャーになったので、ソーシャルゲームにも秩序がなければゲームに迷惑をかけてしまうし、詐欺まがいの商法はやめて欲しい。
金の巻き上げ方については出会い系詐欺やペニーオークションと似ているものがあり、社会を動かしているといっても「詐欺に近い集金で雇用を産んでもなぁ…」というのが感想です。
コメントありがとうございます。
-
- 2012年01月09日 22:45
- トシさんに賛成ですね。
私はソーシャルゲームはゲーム業界の一員ではなく、マルチ商法、ペニーオークション、催眠商法、資格商法等の詐欺ビジネス業界の一員と認識しています。よって東京ゲームショウ等にもブースを構えて欲しくないですし、ゲーム関連のマスコミにもゲーム作品のひとつとして取り扱って欲しくないですね。
既存のゲームメーカーにも、これからソーシャルゲーム業界にコミットする所が増えてくるのかもしれませんが、短期的には利益をあげられても、いずれ全うなゲーム業界の破たんを招くことになると思います。かつてのアタリショックの様に。
ソーシャルゲーム屋はゲームなんかに愛着のカケラも持っていないでしょうから、儲からなくなったら、
サッサとゲーム作りなど辞めて、新しい金づる探しを始めるでしょう。彼等の通った後のゲーム業界はぺんぺん草も生えてない、荒れ果てた道になっているかもしれません。
-
- 2012年01月10日 03:51
- 他の詐欺と違う所は利用してる客は”騙された!”と苦情を言ってるわけじゃなく、利用してない人間が批判してるところだと思います。
だから”好きで騙されてるんだから別に良いんじゃないかな”と思ったんです。
そもそも元々需要が違うのだから、ソーシャルゲームがあってもなくても従来のゲームが先細りになるのは変わらなかっただろうし。
-
- 2012年01月10日 15:10
- ▼TMS9918さん
まあ、ソーシャルゲームメーカーがゲームに愛着を持っていないのは間違い無いですね。
特にGreeは。
彼らは恐らくソーシャルゲームに限らないプラットフォームへ変化しようとしています。
モバゲーはソーシャルゲームに集中している印象。
アタリショックとはまた別と考えていますが、ゲームメーカーが参入するなら「儲かるから」ではなく「面白いから」でソーシャルに参入して欲しいですね。
まあ、そんなことはないのでしょうが…。
コメントありがとうございます。
-
- 2012年01月10日 15:30
- ▼?さん
最初のコメントから訂正させて頂きます。
ここで言うソーシャルゲームというのは集金に特化して、コンコルド錯誤で人間の心を持ち上げて依存させるように作られた「デジタルパチンコ」のようなもの。
ある種の麻薬的な症状ではめられているというのが私の考えです。
好きでやっているわけではなく、やめられなくなっているという感じ。
パチンコ中毒者がめったにパチンコを批判しないのと同じ性格を持っていると思います。
従来のゲームが先細りになるのはもう避けられませんね。
ゲームの単価が下がりすぎた。
個人的には、旧来のゲーマーが満足するものは商業ラインに乗らなくなっていくのだろうと思います。
しかし、商業にのるようなゲーム、そしてソーシャルゲームは少なくなっていっても今回取り上げたような集金装置型だけではありません。
そこに変な影響が出るのは避けてもらいたいと思います。
コメントありがとうございます。
-
- 2012年01月10日 21:06
- ▼@@さん
スカイガレオンは結構面白いですよね、あとは伝説のまもりびとなども好きです。
最近は戦国vs三國志などもちょくちょくやっていたり。
決してすべてが悪いとは思っていません。
むしろ、私はソーシャルゲームは好きな方に属すると思います。
全体として、楽しめるゲームの提供者は課金より面白さに向いている気がします。
「課金率がどうこうだから、こうなんです!」というインタビューしないような(笑)
コメントありがとうございます。
-
- 2012年01月11日 03:09
- うーん、、。今までのゲームも大なり小なりデジタルパチンコのようなものだったんですが、ここまで批判されるってことは、やり過ぎちゃったんですかね。
個人的にはビックリマンチョコとかトレーディングカードの要素にミニゲームに入れて課金制度にしたのは上手いなと思ったんですけどね。 自分じゃ絶対やらないし、身内でやってる人がいたら罵倒すると思いますけどね。
でも確かに、子供はああいうちょっと小綺麗で単純なゲームにのめり込むだろうし、尚且つ投資額も青天井なので危険だなとは思います。大人が引っかかるのは自業自得という考え方は変わりませんが。
-
- 2012年01月11日 07:15
- ▼?さん
おっしゃるとおり、ゲームはデジタルパチンコのようなものだと思います。
なんで、結局線引きの問題だと思いますね。
「このデジタルパチンコは無料ですよ!(はまると無制限に金がかかるけどね…)」
「このデジタルパチンコは生活を崩すほど金はかからず5000円ぽっきり!」
だと明らかに前者が悪質で…というのは私がゲーム好きだから言えることなんだとは思いますけども。
大人についてはやっぱり人それぞれだとは思います。
私としては射幸心を煽ったり、はまらせる仕組みがなければやってしまう人が悪いと思いますが。
騙されるのが悪いのか、納得しているからいいのか…。
永遠の課題ですね。
コメントありがとうございます。
一連のコメントは色々考えさせられました。
-
- 2017年08月07日 21:57
- >先の記事で書いたように批判の中には勘違いや嫉妬めいたものも少し混ざっている。
いや、お前もだぞ
娯楽と中毒性を与えて徐々に金を払わせるって言う点では、ディズニーランドと同じなんだけど、ディズニーランドより圧倒的に下品に”金払え、金払え”って言ってるから批判されてるだけな気がします。
個人的にはソーシャルゲームの、一瞬で特徴が解るキャラクターデザインとかまともな操作性とかは、従来のゲームメーカーも勉強したほうが良いと思います。
、、特にケムコとか。