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ソーシャルゲームを見る3:GREEやモバゲーの宣伝力はファミ通・TVに勝るのか

先週のGameBusiness.jpの『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』2機種合計で21万本・・・週間売上ランキング(11月14日~20日) / GameBusiness.jpという記事を見て驚いた。
PS3『二ノ国 白き聖灰の女王』が6万7千本しか売れていない。


二ノ国はレイトン教授のレベル5が全力を上げて作った新作家庭用ゲームで、スタジオジブリの協力の下、ムービーだけでなくゲーム画面もジブリアニメのような映像を動かすという離れ業をやってのけていた。
実際に見てみるとなかなかインパクトもあって購買欲をそそるし、ちょっとゲームを触ってみた感じも悪くない。
このゲームが10万本以下とは一体何が起きているのだろうか。

大量の広告を展開し、少なく見積もっても50万本か100万本程度の販売を見込んでいたことは想像に難くないが、この結果。
昔であれば「一般にも訴えかけそうな映像」+「内容が悪くないゲーム」+「すっごい広告」があれば数十万本は堅かったように思えるが、その方程式は崩れ去った。

昔なら「凄そうなゲームだし買っておくか」というように買ってくれたライト層を、どうして取り込めなくなってしまったのだろうか。
そう考えたとき、GREE と モバゲーの存在を思い出した。

GREEとモバゲーのメインの客は二ノ国がアピールしたかったライト層とも被ると予想される。
二ノ国はこの層を獲得しなければならなかったが、この層はなんとなくゲームを購入するのであり、積極的にゲームの情報を集めるわけではない。
これらのソーシャルゲームプラットフォームが優秀なのは、常に新しいゲーム情報を発信し続け、「もし、今やっているゲームに飽きたとしても、こちらがありますよ」と案内し続けることができる点。
一度捕まえたプレイヤーを逃さないし、情報集めに積極的でないプレイヤーにも強制的に情報を送り続ける。

常にアピールし続けるソーシャルゲームに対し、「すっごい広告」はライト層を奪ってくることができなかったのだ。
GREE やモバゲーがユーザーを囲い込むほどに、ライト層向けのゲームは売れなくなっていく。
すでにそれはファミ通やテレビCMに勝る強力な城となっており、二ノ国は宣伝の時点で負けてしまっていたのではないだろうか。

この予想が正しければ、今後も知名度のないシリーズや、新規タイトルは余程のことがない限りソーシャルゲームからライト層を取り込めないことになる。
専用のゲーム機はますますコア層だけのものになっていくのだろう。
100万本も売れるゲームは子供向けか、FFなどすでに知名度とファンを掴んでいるものだけになるのだろう。
すでに、ソーシャル系プラットフォームの力はファミ通やTVの宣伝力よりもはるかに強いのだ。
時代の転換期を見た気がした。

「二ノ国は子供向けなのになぜ売れない!?」と疑問に思われるかもしれないが、 Wii や DS で発売しなかった時点で子供は切り捨てられている(事実 DS で出た前作は50万本を超えている)。
いろいろな意味で潮目が変わってしまったと思わずにいられない。

それでも、二ノ国のゲーム自体はやっぱりよくできているので近所で見かけたら是非どうぞ。