クトゥルフ神話を下敷きとし、邪心が眠る洞窟に迷い込んだ男の冒険を描いたアドベンチャー。
それが『Lovecraft Quest - A Comix Game』である。
コミックゲーム(漫画ゲーム)の名の通り、洋風コミックイラストが多用されたゲーム演出は情感たっぷり。
H・P・ラヴクラフト先生も、緑色の顔でプレイヤーを案内してくれる。クトゥルフファンの創作として楽しむには、ちょうどいい1作だ。
ゲームに登場する哀れな犠牲者は、スーツに身を包んださわやかな男。
風に吹かれ、新たな船旅に出かけ……。
嵐によって遭難し、浜辺に打ち上げられる。
最初のコマから、きわめてスムーズに死んだ魚のような目になる男。
そして、目の前には洞窟。
完全にパターンにはめられた男は、洞窟に向かう。
展開自体は普通だが、この時点でコミック風の演出、イラスト、どちらも素晴らしくてゲームの印象は最高。
クトゥルフ系ゲームの隠れた名作を引き当てたかもしれない……そんな予感があった。
ゲームを始めて洞窟に入ると目の前には複数の通路があり、イラストから行き先を選ぶアドベンチャーになっていた。
いわゆるゲームブックスタイル。
イラストはオープニングのテイストのまま豪華で、ワクワク感は維持されている。この先に、素晴らしい恐怖が待っているに違いない。
まずは右へ。
……と、暗闇の中に落とし穴があって即死。
このクトゥルフ感あふれる理不尽。男の恐怖の表情も良い。まあ、これはこれでOK。
タイトル画面に戻って……。
よし、今度は正面の道を選ぶぜ!
正面の道を選んでも落とし穴で即死。
でも、3つ目の道に行けば……!
▲画像はあえて使いまわしています。
今度はショゴスに遭遇して死ぬ。この洞窟、だいたい2~3歩で死ぬ。
しかも、ほぼノーヒント。
▲ショゴスは近いと音でわかる。
どうやら、
・このゲームの洞窟には即死トラップがいっぱい
・マップを覚えようにも、イベント(即死含む)がランダム配置なので無駄
というシステムらしい。
なんだ、ただのクソゲーか。
でも、ゲーム終了しようとするとラブクラフト先生が「やめんのか、ん?」って感じで迫ってくるので、悔しくて続行を決める。
▲なんだかんだ言って雰囲気はいい。あと、ヒントを見逃している可能性もあるので続行
で、しばらく続けていると……道に、何か落ちている。
これは、地図!?
▲あなたは古い地図を手に入れた。
で、地図を見るとこれまで通ってきた道と部屋番号がわかるだけでなく、即死トラップのヒントが描きこまれていた。
青は隣接する部屋の1つに落とし穴、灰色は隣接する部屋の1つにショゴスの巣。なるほど、これを見てマインスイーパーの要領でトラップを推察して進めばいいんだな!
わかってみると簡単で、いろいろな障害を乗り越えつつ、おどろおどろしいイラストを堪能して洞窟を進めるようになった。
ただし、地図はランダム配置なので1手ミスするとフロアの最初からやり直しで、地図を見つけるまで即死し続けることになるが……まあ、ルールがわかってみればこの死亡具合もクトゥルフか。
▲あと、ショゴスからは慣れれば逃げられる。逃げるときは正しい道のヒントが左上に出る。同じルートを使いまわしているので、回数を重ねると捕まらなくなる。また、地図があれば完全にショゴスを避けることも可能。
すらすらと洞窟を進み、およそ30分後には最終フロアへ……え、最終フロアだけゲームが違うんだけど!?
そして、さらに30分後。
私はこのゲームを完全に乗り越えた(クリア)。クリアしたというか、ねじ伏せた。
終わってみると120円なのにイラストは多いし、ランダムイベント配置が手探りで洞窟を探検している感を出していて結構好みだった。最後の最後でゲームジャンルが変わったけど。
クトゥルフ系のアドベンチャーで過ごしたいなら、これは結構いいと思う。
概要:
クトゥルフ神話をモチーフとした洋風コミックの演出のアドベンチャー
評価:6(面白い)
おすすめポイント
洋風コミックのイラストと演出
先の見えない洞窟を進む感覚が面白い
気になるポイント
全編英語(絵で雰囲気はつかめるが、多少読めた方がいい)
短め
アプリDL:
Lovecraft Quest - A Comix Game (itunes 120円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)
開発:OGUREC APPS(ロシア)
HP:http://ogurecapps.blogspot.com/
レビュー時バージョン:1.4
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ