かつて、麻雀で何でも決めるゲームが一世を風靡していた時代があった。
麻雀で日本を支配する(どうやったんだ?)悪と戦う『マージャンCOP竜』、なぜか麻雀に負けると少女が脱いでいく『スーパーリアル麻雀』などなど、よく分からないが「みんなが知っている麻雀のルールを使えばオッケー」とばかりにたくさんのゲームが登場した。
しかし、ときは流れてそういったゲームは少なくなり……2018年になっては Apple によって削除される始末。そんな麻雀ゲーム暗黒時代の中、1990年代の麻雀ゲームのノリを受け継ぎ、Apple の削除に対しても「麻雀はギャンブルではない!」と熱く抗議して不死鳥のように蘇った良作『麻雀少女2 熱闘編』を今日は紹介したい。一応、脱ぐぞ!
『麻雀少女2』が麻雀パズルとして面白いのはもちろんなのだが、このゲームの魅力は古い麻雀ゲームのノリをとことん追求している点にある。
起動してすぐ黒バックに文字とキャラクター、勢いのあるBGMで容量を節約してタイトルに持っていくノリ。
そして、コミカルで強引なシナリオ。
「村を出てプロ雀士になり、CS番組に出演して有名になってパチンコ番組に出たりして、フロアイベントでがっつり稼ぎます!」主人公の萌はある日、師匠に村を出ることを告げる。
▲プロ雀士の最終地点ってパチンコでいいのか……?
「お前みたいなのが都会に出たら、変なスカウトに捕まってホテルに連れ込まれてAV行きぢゃ!」
と、止める師匠。なんてひどいシナリオだ……。
しかし、このゲームで通用するのは理屈ではない。麻雀の強さだ。麻雀で勝った者の言い分が正義ッ!村を出て行きたいなら、麻雀で勝負だッ!
この展開の圧倒的懐かしさ。
さて、本作のバトル部分は特殊なルールで麻雀の役をそろえるパズルとなっている。
プレイヤーは、5×5のマスに配置された麻雀牌から、画面下で指定された数だけ、一筆書きで画面をなぞって牌を取らなければならない。
指定の数が1牌なら好きな牌をとれるし、2牌なら繋がった2牌を取る。最大の4牌ともなると一筆書きで取ろうとすると、必要でない牌まで巻き込むことも多い。
3手先までは何牌取得するか表示されるので、先々のことを考えて牌を取っていく思考性がある。
プレイヤーが牌を取得するたび、対戦相手も1牌を場に捨てる。もちろん、ここで牌を泣くことも可能だ。
1回鳴くと、次回に取得する牌が1牌少なくなるので、単に役を作るだけでなく、パズルの制御でも鳴くことは重要になる。
また、牌を引くたびにたまる“気合いゲージ”を消費して、イカサマ技も使用可能。
このあたりもお約束だが有効に機能していて、場を見て牌を引く数をコントロールする立ち回りをして、奥義でリスクを軽減する知的パズルになっている。馬鹿ゲーだと思っていたのに、きっちり遊べる。
そして、合計12牌を引いて聴牌(上がりの直前)まで持って行ければ“圧倒的聴牌”……つまり、最後のツモの権利を得る。
麻雀少女にヌルいツモはない……!この演出だけでもうお腹いっぱい。最高。
圧倒的聴牌のあとは、隠された8牌から規定の回数だけ牌を表返し、1牌でも当たり牌を引ければ即ツモとなるミニゲームが待っている。
このとき場に当たり牌が残っていたり、当たり牌が多い“広い待ち”だと引ける回数が増え、最大で8回も牌を表にできる(つまり必ず和上がれる)。麻雀と違うルールなのに、どこまでも麻雀の知識は有効だ。
▲天国か地獄か……カイジ的な演出が光る。
なお、このとき役なしで上がると気合いゲージがなくなるペナルティをうけ、聴牌できなければ聴牌から遠いだけダメージを受けてしまうので注意。萌のHPが無くなれば、ステージの最初からやり直しとなる。
無事、和上がることができれば点数がそのまま敵のHPへのダメージとなり、敵HPが無くなると勝利して物語が進む。
▲役によってAppleが許すレベルで麻雀少女のサービスカットも。役満になると、色々すごいのでぜひ四暗刻(システム上狙いやすい)を狙って欲しい!
麻雀のルールを知らないと遊べないのは欠点だが、麻雀世代に懐かしいおバカな麻雀ゲームのノリをとことん追求しており、麻雀ゲーム全盛期の世代なら10分プレイするだけで満足間違いなし。
気に入れば暇な時間にいくらでもできる楽しさもある。
萌の旅はどのような終着点を迎えるのか、ぜひ最後までみて欲しい(ただし、役満を複数回直撃しないと倒せない凶悪な敵が出る)。
改めてプレイしてみて、そのお馬鹿っぷりに「本当にこのアプリが Apple の削除から蘇ってきてくれて良かった」と思う。
しかし、タイトル画面に出てくる他の関連アプリ(スロット系など)をタッチすると App Store は依然つながらない。
現役なら『King Cashing 2』、かつては『ソード&ポーカー』など、カジノ系ゲーム+RPGというのはかなり面白いジャンルで人気作も出ているので、個人でこういったゲームを出しづらくなるのは本当に残念だ。
このアプリについても、アップデートのたびに Apple から指摘が入ることもあっていつまで残るか分からないので、気になったら早めに試してみて欲しい。
評価:7(要チェック)
ゲーム概要
独特なお手軽麻雀パズル+コミカルなストーリー、アーケード麻雀ゲームのような演出が楽しめる
おすすめポイント
コミカルなストーリー
アーケードを思い出す懐かしの演出
お手軽麻雀ゲームが楽しめる
注意点
麻雀ルールは別途覚えてね
チュートリアルが少し分かりづらい
アプリリンク:
麻雀少女2 (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
開発:STUDIO RISSEN(日本)
レビュー時バージョン:1.9
課金:なし
公式ページ:http://rissen.chu.jp/sp/iosindex.html
ライター:ゲームキャスト トシ
動画: