時間が溶けるほどはまるゲームとして、記録的なヒットを飛ばしている『ダンジョンメーカー』。
上記の記事の後も人気は上昇し、セールスランキング50位台にすでに3日間登場という前人未踏の域に入ろうとしている。そんな『ダンジョンメーカー』の作者さんに、今後のアップデート予定や、中毒性の高さの秘密、ドット絵の秘密などを聞いてみた。
GameCoasterという会社について教えてください。
どういった何人ぐらいの、どういった背景の会社なのでしょうか。
GukHwan Kim:
GameCoaster の GukHwan Kim と申します。私はゲーム会社でゲームデザインとプログラムなどをしていましたが、自分が作りたいゲームを作るためにやめて、1人の開発者として『ダンジョン守り : 勇者の侵攻』を作り、その成功をうけて5人のチームになっています。
なお、過去に働いていた会社で実際に発売までこぎ着けたゲームは1つもありません。
モンスターを城門に配置し、日々激しくなる勇者達を迎撃するインフレ系(の要素がある)ディフェンスゲーム。GameCoasterの出世作で、世界的に高い人気を誇る。
Google Playでは『ダンジョン守る』という名前でリリースされている。
『ダンジョンメーカー』を作るきっかけと、ゲーム製作で重視した点などがあれば教えてください。
GukHwan Kim:
実は、『ダンジョンメーカー』を開発する前に、同じようなコンセプトのゲームを8本つくり、8つとも失敗したために会社は危機にありました。
その中で、最後に我々が作りたいと思ったプロジェクトが『ダンジョンメーカー』でした。『ダンジョンメーカー』では“ダンジョンの作成”、“選択の繰り返し”、“繰り返しプレイ”というコアコンセプトに焦点を当てて開発しました。
複数人で開発することは1人での開発よりも難しく、困難がありました。しかし、リリースできて本当に良かったと思っています。
崖っぷちの作品だったのですね。ちなみに、これほど売れることは想定されていましたか?
GukHwan Kim:
「どうせインディー・ゲームだから、ヒットしなければ次のプロジェクトに備えよう」というマインドでした。
もちろん、自分の新しいゲームの発売には期待していましたが、この数字はまったく予想外でした。「どうせインディー・ゲームだから、ヒットしなければ次のプロジェクトに備えよう」というマインドでした。
ゲーム内容について質問させてください。影響を受けたゲームなどはありますか?
GukHwan Kim:
『巣作りドラゴン』、『Slay the spire』、そして『ダンジョン守り : 勇者の侵攻』に影響を受けています。
『巣作りドラゴン』
Windows 向けのダンジョン作成&防衛のディフェンスゲーム。ドラゴンが巣を作って財宝を貯め他のドラゴンに求婚するという物語。ダンジョンを作って、財宝を狙う人間の侵攻を退けるシーンは『ダンジョンメーカー』のバトルに近い。
2004年発売ながら『ダンジョンメーカー』に近いシステムを持っており、その面白さからプレミアがついて価格高騰していた。成人向けゲームで、現在はDMMでDL販売されている。
『Slay the Spire』
ランダムに配られるカードを集めて、デッキを構築してモンスターと戦い、ダンジョンを攻略するローグライク・デッキビルディング系ゲーム。ダンジョンを作るか、戦うためのデッキを作るかという違いはあれどプレイ感は近いと言われる。Steamで早期アクセス販売中。
私も、実はプレイ中にそれらのゲームを想像していました。もちろん、『ダンジョンメーカー』もオリジナリティがあって素晴らしいゲームだと思います。
そのオリジナリティというか、日本では非常に中毒性が高くて、何度も繰り返しプレイできることが注目されています。そういった面白さを生み出すために心がけていることがあれば教えて下さい。
GukHwan Kim:
どんなビルド(ダンジョンの作り)でもクリアできるように、バランスを取ることを心がけています。与えられた選択肢の中で最良の選択肢を選ぶことで、厳しい状況にあってもゲームが続けられるよう感じられる、というのが我々のゴールです。
もちろん、ゲームが簡単すぎると思っているプレイヤーに向けてさらに難しい“何か”も計画していますよ。
プレイの多様性を確保して、どの戦術をとっているプレイヤーでもギリギリのバランスで戦えるバランスを守っていると。確かに「ギリギリいけてる!」と感じるのは中毒性を生んでますね。
さて、次はちょっと嫌な質問かもしれません。
周回で回すガチャは最後まで引けませんよね。また、プレイヤーの中には有料ゲームなのに運が悪いと課金が必要と考える人もいます。どういった意図でそのような設定にしましたか?
GukHwan Kim:
あのカードパックには仕掛けがあります。
実は、必要なアイテムが出るようになっていて、仮にカードパックを半分解放できなかったとしても、重要なアイテムはすべて出て、プレイヤーが楽しめるようになっています。
運まかせに見えて重要なアイテムは強制的に出る、と。確かに確率を考えると良いアイテムが出すぎると思っていました。
次はグラフィックいついて。ゲームでドット絵を採用した理由や、モンスター女子を採用した理由、みんな胸が揺れる理由を教えてください。
GukHwan Kim:
前回の作品ではドット絵の人気が高かったので、新しいプロジェクトでもドット絵を採用しました。個人的にもドット絵はとても好きですし。女子の胸が大きく揺れるのはドットデザイナーの趣味です。
その趣味は、おそらく日本でのセールスにすごく貢献したと思います(笑)
あと、ドット絵と言えばキャラクターのアニメーション……勇士が倒れるときの姿とかも図鑑で見たいという要望があります。そういった計画はありますか?GukHwan Kim:
時間がかかりますが、可能ですね。辞典だけでなく、他の場所でもキャラクターの動かせないか検討してみます。
ありがとうございます。
今後のアップデート予定などあれば教えてください。GukHwan Kim:
6月には新しいコンテンツと新しい難易度が追加され、魔王のレベル上限が上がる予定です。
新しいコンテンツでは、より周回が有意義に感じられるようになり、パンチの効いたプレイが楽しめるでしょう。さらに、魔王向けの特別なアバター(スキン)機能も考えています。
操作性や、画面が見づらい問題などの改善はされますか?
GukHwan Kim:
インターフェースの不便さは段階的に解決する予定です。
ありがとうございました。最後に、日本のファン向けに一言お願いします。
GukHwan Kim:
予想もしないほどの興味を持っていただき、またゲームを愛していただいて感謝します。
私は日本語はよく分かりませんが、いただいた意見をできるだけ見て反映します。
また、日本向けのキャラクターやアバター、日本だけの特別なキャラクターも開発することを考えているので楽しみにしていてください。
ありがとうございました!
以上。
まさか、GameCoaster が8本連続でゲームに失敗して危機に瀕し、『ダンジョンメーカー』が起死回生の一手になっていたとは。
実のところ、ゲームキャストは韓国語が分からずに英語でコンタクトしたが、GameCoaster側も英語が苦手だったため、メールでのやりとりはやや混乱した。
そのため深く聞ききることができない部分もあったが、いずれ韓国語のできる方を挟んできっちり聞く機会を設けたいとは思っている。
なんにせよ、今は6月の新コンテンツアップデートまで、魔王のレベルを上げて待っていよう。
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