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鉛筆画風の世界が目を引くシューティングRPG『Original Journey』レビュー。母星を救うために他の惑星を略奪する兵士の物語

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寿命が尽きかけた母星の寿命を延ばすため、他の惑星に乗り込んで略奪を行う兵士となって戦うシューティングRPGが『Original Journey』だ。
作りの粗い部分は見受けられるものの、セピア調の手描きの風景に緑色で強調を行う独特のグラフィックが目を引くだけでなく、射撃の手応えも上手く作られており、生物を破壊している感が気持ちいいインディーゲームである。

本作の主人公は黒い球体型生命体の文明、アトマの兵士である。
アトマの母星は寿命が近いが、さまざまな惑星に採掘団を派遣し、母星の寿命を延ばす“水晶”を採取することで社会を維持している。
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そんな中で、採取部隊の兵士としてある惑星に到着するところからゲームは始まる。
イラストで導入されるオープニングから、セピア調の鉛筆画風のグラフィックが惑星描写に違和感なく遷るため、導入のワクワク感はかなりのものがある。
日本語訳がもう少し良ければなお良かったが、意味は通じるのでまあ良し。
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ゲームの進行としては、クエストをクリアしてストーリーを進めるシューティングRPGになっている。
プレイヤーは「消えた仲間を救出しろ」とか、「○○にある巨大な反応の正体を突き止めろ」などのクエストを受け、惑星は“ジャイアント・フォレスト”や“前線基地”など、それぞれに異なる特徴の地形と敵が出現するエリアに挑むこととなる。
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▲地中から出てくる甲虫とか、芋虫とか、いい感じの生物が敵。

エリアは1画面で収まるステージに区切られており、「ステージ内のすべての敵を倒す」ことで次のステージに進める仕組みとなっている。
ステージはランダム生成を採用しており、敵や地形が変化するだけでなく、ときには友軍の兵士や砲台が戦っている中に割り込んで共闘するステージがあったり、『メタルスラッグ』よろしく乗り捨てられているパワードスーツに乗り込んで敵を蹴散らしたりと、多少のイベントもある。
しかし、基本的には「飽きないためにちょっと違うステージが毎回生成される程度」と思ったほうがいい。
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▲画面左下の丸鋸を装備している機体がパワードスーツ。クリアまでに1回しか出てこなかったけど

そして、そんなステージで敵を倒す方法はもちろん射撃。
主人公を左右移動+ジャンプボタンで移動させつつ、画面右の射撃ボタンで敵を撃つアクションシューティングを楽しめる。
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▲射角は射撃ボタンをドラッグすることで調整可能。ただ、銃口の角度の変更に少し時間がかかるため、最初は少し癖を感じる。

射撃武器は同時に2種類まで携帯でき、近距離に強いショットガンから貫通弾を撃つライフルまでその種類は多様(レイピアのような接近戦武器もある)。
手応えの演出もよく作られており、単に敵を粉砕しているだけで気持ちいい作りになっている。この点は素直に素晴らしいと言える。

さらに、本作にはタワーディフェンス要素もある。主人公は軍人としての権限を持って自動砲台を呼び出し、好きな場所に配置できるのだ。
砲台は強力で、上手い位置に置けば雑魚敵を全滅させるほどの働きをする。しかも、破壊されなければずっと使える優れもの。
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▲砲台は、破壊されなければ次回のステージで体力全回復。強い。

砲台が到着するまで時間がかかるので、それまでの時間を生き延びる必要はあるが、基本は砲台で陣地を築いて一緒に戦う形になる。
プレイヤーの腕もそこそこ重要だし、砲台の配置も重要だしで、このシステムもなかなか面白い。
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1ステージクリアするたびに基地に戻るか、先に進むか選択可能で、基地に戻った場合はまた最初からやり直しになるが、冒険中に手に入れたアイテムで装備を強化して再度ゲームに挑める。
先に進むときは単に次のステージに移動するだけでなく、寄り道コースが示されることもあり、ときには意外なサブクエストに遭遇することもある。
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▲なお、途中で倒れた場合は資源を失うが次の1プレイに限り同じ場所に行けば取り返せる。例外としてボスで倒れた場合は基地に資源を持ったまま強制帰還となる。

そして、クエストを攻略して基地に帰還するとストーリーが進み、また新しいクエストが課される。
クエストを攻略できない場合は、敵を倒して得た資源で新しい武器や防具を開発してパワーアップし、際出撃することになる。
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表示バグや操作の詰めの甘さは散見されるが、出撃して成長しての繰り返しサイクルはそこそこ楽しめるし、世界観も良い。
多少の変化があるステージも楽しめる。掘り出し物とは言えないが、確実に好きな人はいるインディゲームと言えよう。
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ただ、買う前に注意するべき点もある。本作では最大6門の砲台と大量の敵が1画面に収まり、かつ画面の色使いが地味なので主人公を見失ってしまうことも多い。大きい端末がなければ、このゲームを遊ぶことは厳しいと断言する。
また、銃器の反動を見据えて撃ちながら移動するのはタッチパネルでは少し難しい(オプションで操作その1を採用すると結構解消されるが、そこにまた慣れが必要)。
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▲砲台が密集し、敵もそれなりにいる画面。どこに主人公がいるかとても分かりづらい。

総合してみるとPC版が最も楽しめるのは否定できない。
開発側もそれは理解しているのか、アプリは360円なのに対してPC版は1,160円と大きな価格差を付けている。
購入するときは、このあたりのメリット・デメリットを秤にかけて買うようにして欲しい。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
射撃武器の手応えは気持ちいい
手描きが映える世界

気になるポイント
日本語の意味は通るが、良いとは言えない(下の上程度か)
画面が見づらく自機を見失いやすい(タブレット必須)
世界観は良いが、物語は日本語品質の問題もあって平凡

アプリリンク:
Original Journey (itunes 360円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)

開発:Bonfire Entertainment 中国
販売:ZPlay(中国)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
公式ページ:http://anotherindie.com/game/original-journey/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: