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ガチャ課金しない方が楽しいRPG『D×2 真・女神転生 リベレーション』レビュー。これは実質『デビルサマナー2018』

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ついにスマホにも気合の入った『女神転生シリーズ』が登場した。
ゲーム機のように3D悪魔がぐりぐり動き、同じくゲーム機版と同じ“プレスターンシステム”のバトルを導入し、悪魔合体で好きな悪魔を作れるという『D×2 真・女神転生 リベレーション』(以下、D2メガテン)である。
正直、プレイ前は期待度は高い反面で怖さも感じていた。
というのも、本作を統括する山田プロデューサーの前作『デーモントライブ』は、「スマホ向けにMOBAを作る」と言いつつガチャ課金によって面白さが台無しにされていたからだ。
しかし、そのときの経験を生かしてか今回はいい仕事をしている。海外でヒットしているゲームにメガテン要素を加え、面白さの核に妥協せず仕上げてきたのだ。

本作の内容をざっくり言ってしまうと『サマナーズウォー』や『陰陽師』の中韓系バトルRPGをそのまま『女神転生』に当てはめた形になっている。
キャラを集めて、戦って、報酬を得てキャラを育成してまた強くなる……そんなサイクルのスタミナ式基本無料RPGなのだが、ゲーム機ライクな面白さを感じるほどに『女神転生』を優先して作られている。
少なくとも、「あの〇〇シリーズのスマホソシャゲ版が……」と標榜する多くのゲームの中でも、一番ゲーム機版に近い遊び方ができるのではないだろうか。
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▲簡易化されていてこちらからは話せないが、トークシステムもある。

まず、物語で言うと『ソウルハッカーズ』と『ペルソナ』の中間的な位置づけを感じた。
今回の主人公は秋葉原を根城にするオタク集団で、リーダーであり動画配信サイトMegatubeの人気者“メガキン”を筆頭にガンマニアや地下アイドルなど濃いメンツ。最初は戸惑ったが、章が進んでくると女神転生の外伝作『ソウルハッカーズ』の匂いがしてきて、「ああ、これは2018年版のデビルサマナーなんだな」と思えてきた。
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▲左から貧乏コスプレイヤー(髪型が衝撃的)、ミリオタ、地下アイドル、元自衛隊の活動的デブ。濃い。

選択肢によって主人公の性格はロウ・ニュートラル・カオスに変化するが、ゲーム上の影響はない。
しかし、キャラ豹変で定評のある『逆転裁判』の岩元辰郎さんがキャラクターデザインをしているので、今から主要キャラが敵に回ったときの展開が楽しみではある。
個人的には内に強い正義感を秘めているメガキンには絶望してキャラが崩壊して欲しい。
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▲最初はいまいちだと思ったが、今はそこそこ好き。見事に荒んで“ロウヒーロー”か“神人・メガキン”になってほしい。

RPGの肝であるバトル・育成の楽しさもメガテン風である。
バトルには『真・女神転生III』と同じく“プレスターンシステム”を採用しており、これがバトルにゲーム機RPGっぽい戦術性をもたらしつつ、その戦術性をにらんだキャラクター育成の面白さも生み出している。

通常のRPGでのターンシステムでは、パーティーのキャラクターが1ターンに1度ずつ行動していく。
しかし、“プレスターンシステム”では敵の弱点属性で攻撃したり、クリティカル攻撃を当てたりすると敵に対して優位に立ったと判定され、1回の行動が0.5ターン分と判定されて余分に行動できるようになる。
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▲相性の良い攻撃を仕掛ければ0.5ターンのアドバンテージ“ボーナスターン”が得られる。

逆に敵に攻撃を回避されたり、相性の悪い攻撃をして無効化されると敵に対して隙を見せたことになり、通常の2倍ターンを消費してしまう。
つまり、4人パーティーで戦ったとき相手との相性が悪いと1ターンに2回しか行動できず、愛称が良ければ最大が8回も行動できるという格差が生まれる。
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これにより、相性さえよければレベルが1.5倍以上離れている敵を倒すような芸当も可能だ。
万能で戦える仲魔も必要だが、様々な敵やクエストとの相性を考えた攻略用の仲魔も必要になってきて、多くの仲魔を育てるのがゲームの面白みになっている。
そして、その仕組みをうまく具体化しているのが『女神転生』シリーズおなじみの合体・継承システムと独自の育成システム、ゲームバランスだ。

原作と同じく、本作では“悪魔合体”で2体以上の悪魔を合成して好きな悪魔を作り、パーティーを強化できる。
これは普通のソーシャルゲームの“合体”とは全く異なり、特定の法則に従って合成すれば絶対に同じ悪魔ができるというもの。しかも、結構簡単に好きな悪魔を作るための素材も集まってしまう。
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▲現在は一部の悪魔がガチャ専用だが、アップデートですべての悪魔が合体で作成できるようになることがアナウンスされている。

「え、それならみんな好きな悪魔でパーティー組み放題じゃん!」
とは問屋が卸さなくて、レア度★4以上の悪魔を合成にしようとするとマグネタイトが大量に必要(※緩和することは宣言されているが、程度は不明)で、現状では★4は1月に1回作れる程度。おそらく★5は(イベントを見込んでも)半年~1年に1回程度しか作れないだろう。
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▲★4合成のマグネタイト311,340(開始して3日で稼げたのは約5万)。1月に1度、必ず欲しい★4を作れると思うと優しいかもしれないが……。

だが、安心してほしい。『D2メガテン』では★4以上の悪魔が入手困難な代わりに★3以下の悪魔を育てれば下手な★4……ときには★5以上に活躍する。
しかも、先ほど書いた通り悪魔合体で簡単に望みの悪魔を作れるので、有望な★3悪魔は全て合体で意図的に入手して、ガチャ運に左右されずに計画を立てて地道に遊べるのだ。

序盤は合体で★3までの悪魔をどんどん作り出していくインフレの楽しさが味わえる。
そして、中盤になるにつれ悪魔のレア度を増やす“転生”(どんな悪魔も最高レアまで育てられる。★3を★5にするのは純粋な★5入手よりかなり簡単)、好きなスキルを覚えさせられる“継承”などを駆使して、ランダム要素が控えめで、プレイヤーの計画をもとに地道に強くなれる。
このため、ゲーム機RPGに通じる面白さを感じられるのだ。
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▲序盤は悪魔を育て、中盤はタルカジャや耐性などを継承する。5章を攻略するには時間がかかるが、3章まではペースもゲーム機っぽくすすむ。

個人的にはガチャシステムは好きではないが、本作に限ってはかなりマシなガチャシステムが導入されていることも書いておきたい。本作において、ガチャは引いただけ意味がある。
多くのゲームでは最高レア以外は使用機会が少なく、低レアに至っては存在意義がほぼないゴミだ(せいぜい、売り払って特別なコインになる程度)。
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しかし、本作ではガチャから出た悪魔は(廃課金者はいざしらず)ほぼゴミにならない。★3悪魔に好きなスキルを継承させたり、育てて★5悪魔を作るための餌になる。
プレイを始めてから30回ほどガチャを引いてすべて★3しか当たっていないが、序盤当たりの“防魔”アーキタイプは合成して耐性の強い悪魔の合成に使えて(使いたい悪魔は当たらなかったが、悪魔を素材に合体して使いたい悪魔に変えられる)、使わない悪魔は攻撃力を上げる“タルカジャ”などの重要スキルの継承に使ったり、★3悪魔を★4に転生させるための餌としてすべて役立っている。
確かに強キャラが出る確率は渋いが、ガチャすると必ずパーティーが強くなっているというのが嬉しい。
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▲先に★3は下手な★5より強くなると書いたが、将来的には下手な★5も条件がそろえば合体で欲しい★5に変化する……はず。

そんな『D2メガテン』だが、誰にでもお勧めできるかというと……結構きついかもしれない。システムを盛りすぎて理解しづらいのだ。
育成だけ見ても悪魔合体、継承、ポイント合体、烙印(付け替え可能な装備)に転生と山盛り。
モードも通常のストーリーに加え、塔(ジゴクパーク)、対人、旧来のメガテンのように3Dダンジョンを移動するアウラゲートなどなど、2年ぐらいアップデートを重ねたゲームかのよう。
UIも整理しきれていないし、説明においても育成の肝を理解しづらい。ここまでマニアックにするならストーリーをもっと濃くして、ギルドを導入して、もっとマニア方面に寄せて良かったようにも思う。
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▲1つ1つの要素は良いが……整理されていない気が。

あと、課金セットアイテムの広告がさしはさまれて印象が悪いし、課金セットアイテムも多すぎて何を買えばいいのかわかりづらい。最初に安くて超お得なアイテムが出て、以後は段階を経て買うたびに高くなる方式でもよかった気がする。
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わかりづらい。ごちゃごちゃしている。しかし、システムを理解できれば楽しいのは確かだ。
低レアをしっかり育てれば下手な高レアより活躍するバランスは、あまり日本のガチャゲーでは見られない面白さを提供している。低レアを強くできることで無課金・微課金者でもプレイに目的ができるし、地味に強くできるから育成RPG的な楽しさも大きい。
むしろ、下手にガチャ課金しまくるとこの面白さが実感できないので、初期はスタミナ回復程度にとどめて欲しいほどだ。

日本ではガチャで最高レアを手に入れてゲームを始めるガチャ中心プレイの文化があって、プレイヤーもそれに慣らされている。だから、海外系RPGでも日本でサービスするときはガチャキャラを強化して低レアを弱くし、ガチャを中心にプレイさせる仕組みになってしまうことが多い。
しかし、『D2メガテン』はそういった「ガチャが渋いので★1です」的な文化に臆することなく、バランス面まで海外RPGを基準にして、ガチャだけに頼らない面白さも提供しているように思える。
これを「育成RPGっぽさを取り戻したソシャゲ」と見るか、「育成に時間がかかる女神転生」と見るかでプレイヤーの評価は変わるだろうが、現時点での最終章であるストーリー5章までを育成・攻略するRPGとして楽しい。
少なくとも基本無料ゲーム界では『女神転生シリーズ』の名に恥じない光を放っていると言えるだろう。スタートとしてこれは、かなり良い。
後はもう運営バランスとギルドバトルの導入しだいだ。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
計画的なパーティづくりが楽しめる
プレイした分、課金した分強くなる楽しさ
ハイクオリティな悪魔のグラフィック

気になるポイント
弱点のある悪魔にメリットを感じないことが多い
システム盛りすぎ&UIもイマイチ使いづらい
4章あたりからは長期の育成必須
ギルドがなく、ストーリー後のモチベーションがない

アプリリンク:
D×2 真・女神転生 リベレーション (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:SEGA CORPORATION(日本)
レビュー時バージョン:1.0.0
課金:
ガチャや育成アイテムなど。なお、最初はガチャ控えめでスタミナ回復した方が楽しいしゲームも進む。

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: