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基本無料だったインフレRPG『Clicker Heroes』新作、倫理的問題とシステムの問題からアイテム課金をやめる

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スマートフォンとPCの基本無料インフレRPG『Clicker Heroes』を開発したPlaysaurusは、続編『Clicker Heroes 2』を基本無料のアイテム課金式から完全な29.99ドル(発売後1年間は払い戻し可能)の有料ゲームとして販売することを発表した。
Why Clicker Heroes 2 is abandoning free-to-play
有料ゲームにすることで無料プレイを期待するファンに背くことになるが、“倫理的な問題”と“ゲームデザインの問題”からこの決断をしたという。

倫理的な問題とは、ゲームを利用して人を搾取しているのではないか、という問題である。
初代『Clicker Heroes』は課金をほぼ念頭に置かずにデザインしたため、基本無料だが普通に遊べるように設計されている。にもかかわらず、数千ドルもの課金を行って生活に影響を及ぼしてしまったプレイヤーがいる。
ゲームには本質的に中毒性があって、それ自体は悪いことではない。しかし、裕福なプレイヤーが応援のために課金するのは良いが、中毒性が人々の生活に影響を与えるほど金を使わせるのは本意ではないとしている。

ゲーム業界はユーザー側に選択の自由と責任があることを言い訳にして、この問題を無視しようとしていると指摘しつつ、Playsaurusは基本無料ゲームをリリースし、少数のプレイヤーからしか苦情がこなかった今になっても良心に呵責を感じるため、基本無料を止めたとしている。
なお、合わせて初代の『Clicker Heroes』も無期限の払い戻しを行うことも告知されている。

ゲームデザイン的な理由では、プレイヤーの体験とアップデートの問題が挙げられた。
課金があるとプレイヤーは「少し払えばゲームが良いバランスになるかもしれない」などと考えながらプレイすることになり、ゲーム体験が落ちてしまう。
また、基本無料ゲームではバランス変更を行った場合、課金者が課金した分の効果を担保しないといけないため、大きく直すことをしづらい。課金者に配慮したアップデートを行った結果、『Clicker Heores』はつぎはぎのフランケンシュタインのようになってしまったという。

Playsaurusは、『Clicker Heroes 2』を29.99ドルで販売することによって前作ほどの儲けは出ないが、どんな状態でもアップデート可能に(セーブデータが無効になることもあるが、前バージョンを遊び続ける選択肢が与えられる)なり、Modも許可してより面白い新作を良心の呵責なく提供できるとのこと。
『Clicker Heroes 2』の予約は始まっており、これを予約することで「ゲームをより良くする応援ができる」ほか、下記が得られる。
・WindowsとMac向けの『Clicker Heroes 2』と全てのアップデート
・初代『Cliker Heroes』において20ドル分のルビーを即座に(ブラウザ/PC/スマホ向け)
・予約特典キャラクタースキン
・βテスト参加権
応援したい方は、ぜひ下記のページから予約を行って欲しい。
Clicker Heroes 2予約販売ページ

さて、海外では今課金の話題がホットだ。先日も家庭用ゲーム『スターウォーズ バトルフロント II』において採用されたガチャ要素などの課金についてユーザーから非難の声が上がり、ディズニーの差し止めによって課金要素が停止されて話題となった。
Star Wars Battlefront IIの課金停止アップデートについて公式告知
SWBFII-openbeta

海外のゲームのトレンドは日本から5年程度遅れると言われているが、ついに家庭用でも「ガチャ、基本無料」などの導入が始まり、そこに対する問題提起が始まったのだろう。
課金の形態はゲーム内容と予算を決める強力な力を持つ。
アーケードゲームでは回転率が求められ、100円3分でプレイを終わらせるために2面のボスには即死攻撃が多く導入されたし、脱衣麻雀では100円を入れた瞬間に天和でゲームが終わる悲しい事態もあった。しかし、短時間に命をかける数々の名作が生まれた。
続いて主力になった家庭用、買い切りゲームは決まった枠の中で最大限に面白く作れば良いので完結する作品に適している。反面一定価格で一定ボリュームを求める制約があり、短くまとまった作品は作りづらかった(現在はDL販売の普及で改善されている)。
最後、月額やアイテム課金は長期的に儲けられるためオンラインゲームに適しているのだが…………他の形態にアドオンで載せてリスク回避にも使える。しかし、載せた瞬間に販売形態がゲーム内容に強烈に影響を及ぼす。要は使い方次第ではあるのだが……とくにガチャ形式や無限に変えるものは従来の家庭用ゲームの形態から離れて紛争が生まれる。

日本ではプレイヤーコミュニティとメーカーが対話する文化が根付かなかったこともあり、アイテム課金はトップダウンで一気に導入されていったように思える。
対して、プレイヤーコミュニティも力を持つ海外でどのような経緯を辿るのか興味深い。

アプリリンク:
Clicker Heroes (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)