
粒子の軌道を操作し、パズルを解いているだけで光のアートが作られるパズルゲームが登場した。
プレイヤーが意図しなくても、普通にプレイしているだけで光の粒子が踊るように動き魅せられる。
そして、パズルを解くと規則正しく動く粒子から目が離せない。そんなゲームが『FROST』である。
ヘッドホンで外の音を遮断し、光の粒子を操っているだけで何かが目覚めてしまいそうになるほどの美しさと没入感。アートパズルが好きなら、これは見逃せない。
画面には粒子が生まれるたまり場と、薄く円に囲まれたゴールが存在する。
粒子が動く美しさには様子はそれ単体でも幻想的な美しさを持っており、プレイヤーをゲームに引き込む。

▲スマホ初期の名作『Auditorium』を思い出すビジュアルだが、音はシンプル。
プレイヤーの目的はステージ中に気流を発生させて粒子を導き、ゴールの円を粒子で満たすこと。
画面を指でなぞると、なぞった方向に沿って気流が発生し、粒子が移動する。このとき、束になって粒子が流れるさまがまた美しい。

▲操作をミスしたときは、画面をタッチすればすぐに気流がリセットされるのでストレスフリー。
そして、粒子がゴールに到達するとゴール周囲が白くフチどられていき、フチが完全な円形になるとステージクリア。

これだけの簡単なルールではあるが、プレイヤーの操作に応じて次々に姿を変える粒子の様子がそのままプレイの楽しさにつながっている。

また、普通のパズルゲームでは先に進むにしたがってゲームが難しくなっていくだけ(だけ、というのも乱暴だが)だが、本作は先に進んでパズルの内容が複雑になると、その複雑さが新しい美しさを生み出す点も魅力だ。
たとえば、下図のステージでは黄色と青の粒子を、別々のゴールに導かなければならないが……。

手間が増えた分複数の色で画面が彩られ、解いたときには美しい姿を見せてくれる。

▲時間とともにゴールに保持されている粒子は減っていくので注意。
さらに先に進めば、複数の粒子を掛け合わせて別の色の粒子を作る仕組みや、他の粒子にまざって動かすような仕組みも登場し、また新しい姿を見せる。

弾幕シューティングのように幾何学模様を作るステージなど、ステージ模様自体が美しいものもある。

物理パズルのようにプレイヤーの創意工夫で強引に解ける面白さもあるし、単なる正解にとどまらずで解くだけでなく、解いたときの美しさを優先してプレイしたくなるすることもできる。

実際、私はすべてのステージをクリアしてしまったが、いまだに美しい解き方を求めてプレイしている。
クリアまでのプレイを保存して図鑑のように記録を眺める仕組みが欲しかったが、このゲームに対する個人的な要望はその程度である。
書道をパズルにしてしまった『Blek』、立体パズル『Educationland』といい、kunabi brotherのゲームは常に独創的で素晴らしい。
ぜひ、ヘッドホンで外の音を遮断してプレイしてほしい。
序盤のステージはやや退屈だが、じきにやめられなくなることだろう。
評価:7(要チェック)
おすすめポイント
+美しい粒子のパズル
+解法の美しさを競いたくなる
気になるポイント
-序盤のパズルは少し退屈
アプリDL:
FROST (itunes 600円 iPhone/iPad対応)
開発:kunabi brother GmbH(オーストリア)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ
動画:
