7年前に作られた驚異のゲーム。今だ色あせぬガンシュー『RAGE HD』 - 消えゆく32bit遺産第2回
まだ、スマホのゲームは「見た目がしょぼい」と言われた時代。
天才プログラマーのジョン・カーマックが、PC向けゲーム製作ツール“id tech 5”の目玉機能である“メガテクスチャ”を移植し、『RAGE HD』は当時最高峰のゲームとして突如生まれた。
ミュータントたちを豪快に撃ちまくるこのガンシューティングとして、今になっても色あせない名作である。
が、その『RAGE HD』もまた32bit時代の遺産として消えゆこうとしている。
ここで、皆さんに2010年までタイムスリップしていただこう。
2010年8月に出た『Hero of Sparta2』。これでグラフィックが「結構いい」と言われていた。
同じく2010年8月リリースの『ケイオスリングス』。
今やスマホではブランドとなったRPGだが、背景は2D。これはこれで良いのだが、3Dゲームとしては旧世代ゲームの印象が残った。これが、最新のゲーム映像だと思われていた時代に……。
2010年11月に出た『RAGE HD』がフル3Dでこれである。当時の興奮たるや。
しかも、id softwareの新作『RAGE』が期待される中で、その世界で行われている“ミュータント狩りショー”……つまり、世界観の先取り体験という要素まであったので、特に欧米では熱烈に受け入れられた。
▲補足しておくと、2010年10月に出た『モダンコンバット2』は同クラスの見た目だったが『RAGE HD』は圧倒的に滑らかに動いた。
素晴らしいことに、『RAGE HD』は面白さでも当時の先端を行っていた。
ゲーム内容こそ『House of the Dead』のように決まったコースを歩くガンシューティングで、ショット・武器持ち替え・リロード・避けの操作しかないが、とにかく撃つ気持ちよさが飛び抜けていた。
血しぶきが飛び散る表現は残虐だが、効果音や手応えはピカイチ。
しかも、ミュータントたちは壁をよじ登ってきたり、急に飛びかかってきたり、地の底から這い出てきたりと出現パターンも豊富でエンターテイメント性も豊か。
プレイヤーたちは一級品に美しいゲーム世界を堪能しつつ、3種類の武器を使い分け、爽快にミュータントを狩るエンターテイメントを楽しんだのである。
▲難易度もEASYからNIGHTMAREまで4段階プレイヤーが自由に選べた。
そして、『RAGE HD』やり込もうとすると今度は奥が深かった。ステージ内にあるアイテムやターゲットをいかに倒していくかという覚えゲー要素もあるのだが、パターン作りとテクニックがかなり深かったのだ。
一番難しかったのは、死体を破壊ボーナスを行うパターン構築だろうか。
死体破壊は、難易度が低い間は適当に撃って死体が爆散して爽快なのだけのエンターテイメントだ。しかし、難易度が高くなると1発の弾も貴重になってくる。安全に死体を破壊するためには
テクニックとして重要だったのは、銃の弾をリロードするとき、リロードゲージが黄色い箇所でもう1度リロードボタンを押すと弾の威力が2倍になるテクニックだ。
これらを上手く使いこなす上で、操作方法も重要になってくる。
最初はタッチ操作でも間に合うが、ティルトやジャイロなどの傾け系操作と併用することでより急速に照準を合わせて戦えるようになるのだ。
ステージ構成を覚え、操作方法を選び取り、死体破壊やリロードのパターンを構築していくと目に見えてスコアが上がっていく。見事スコアを上げ、ゴールで番組スタッフに迎えられるときの気持ちよさは格別だった。
もはや7年前のアプリだが、ゲームセンターのガンシューティングがいつプレイしても楽しいように、『RAGE HD』の面白さは今でも通用する。見た目についても、同様だ。
32bitアプリが動かなくなる前に、ガンシューティング好きのプレイヤーは試してみて欲しいと思う。
さて、このアプリを出したid softwareがどうなったかというと、残念なことに旧作を出すのみになってしまった。
本作が好評を得たあとで、id softwareはレースゲームなどiOSでさらに2本のゲームを開発中であることを明かしたが、続報は途絶えて現在に至るまで情報はない。
またいつの日か、スマホのグラフィックを1段飛ばしで向上させる姿を見てみたいが……。
評価:7(要チェック)
おすすめポイント
滑らかに動くグラフィック
爽快なシューティング
気になるポイント
操作に癖がある
アプリDL:RAGE HD (itunes 240円 iPhone/iPad対応)
開発:id software
レビュー時バージョン:2.9
課金:追加ステージ2つで120円
ライター:ゲームキャスト トシ