ワクワクを楽しむお化け屋敷アドベンチャー『Til Morning's Light』レビュー。
ディズニーの『ホーンテッドマンション』を意識した「お化け屋敷アドベンチャー」が登場した。
この『Til Morning's Light』は、「タッチ端末でも最高品質のゲームを提供する」というAmazon Game Studiosの第2弾作品。
お化け屋敷と言っても、『Lost Within』のように怖くはない。
不思議な洋館を探索するワクワク感を前面に出した楽しいアドベンチャーゲームだ。
主人公のエリカはいじめられっ子。
ゲームの冒頭で、学校の悪友に古い屋敷に閉じ込められてしまう。
いつもなら黙って泣き崩れるしかないエリカだが、今回は違う。
この屋敷には凶悪な住人たちが住み着いていて、迷い込んだ者を皆殺しにしていたのだ!
彼らによって殺されるか、朝まで屋敷に閉じ込められた人間は幽霊となり、永遠に苦しむことになる。
プレイヤーはエリカを操作し、屋敷で過去に殺された人々の幽霊と話し、謎を解き、屋敷から脱出しなくてはならない。
と、ストーリーは少し深刻だが、このゲームは、主人公のエリカを操作してお化け屋敷を歩いて回るアドベンチャーだ。
ディズニーを意識したコミカルなグラフィックは「ホラー」というよりも「楽しいお化け屋敷アトラクション」の空気感。
不思議な洋館を探索するワクワク系のアドベンチャーと言えるだろう。
屋敷の至る所にパズルや謎が用意されているが、謎解きはいずれも簡単。少し複雑なパズルシーンでも、回答をゲーム内通貨で購入できるので迷わない。
「決まったコースを歩いて楽しむ」の性格が強くなっており、雰囲気を楽しませるアトラクションを徹底している。
屋敷をうろつくモンスターとの戦いもまたアトラクションの一部だ。
バトルはリズムゲーム風で、難易度は控えめ。あくまでモンスターとの戦いの雰囲気を楽しむ範囲に抑えられている。
▲バトルでは指示に合わせて画面をタップし、タイミングが良くタップすれば攻撃が成功し、タイミングが悪ければダメージを受ける。
とくにボス戦は戦いながら簡単な謎を解く特別なアトラクションとなっており、このゲームの目玉のひとつだ。
ボスの背景に根ざした演出は、見ていて楽しい。
とくに深刻に考え込まなくても、謎を解き、バトルし、ひたすら進めばエンディングまでたどり着けるアトラクションアドベンチャーとして楽しめるはずだ。
だが、プレイヤーが自発的に楽しむ遊びも用意されている。
その1つは武器の選択。
屋敷にはさまざまな武器が隠されており、あるときは鉄パイプ、あるときはアンティークの剣など、より強い武器に持ち替えて進める。
ただし、この武器の性能は攻撃力だけではない。
スレッジハンマーを使えば板を破壊して扉を開けられるし、シャベルを使えば地面を掘って探し物ができる。
武器を持ち替え、隠し部屋を見つけるのは結構楽しい。
また、特殊なカメラを使って「迷える魂」を探すコレクションもクリアには必要ない遊びだ。
屋敷の中に存在する魂をすべて救うと、何か特別なアイテムが手に入るという。
アトラクションの本筋を進んで楽しむことできるし、ゲーム好きならアグレッシブに隠し要素を探しながら探索することもできる。
細かい部分も丁寧に作られており、グラフィックや雰囲気はもちろん、親切なマップ機能や画面の明るさ調整、日本語翻訳の品質の高さ、痒いところに手の届く高品質ゲームである。
ただ、1つ欲を言うなら雰囲気がいいのでもう少しストーリーを掘り下げていたらもっと楽しかったように思う。
そうすれば、もっとアトラクションに浸りきれた気がする。
▲キャラクターや見た目は印象的なので、バックグラウンドがもっと欲しかった。
しかし、それでも本作は高品質で誰でも楽しめる1作だ。
Amazon Game Studiosは今回もまたいい仕事をした。
コアなゲーマーには物足りないかもしれないが、グラフィックを見て「雰囲気を楽しめそう」と思ったなら買って損はないだろう。
これほどの品質のゲームを出し続けるなら毎回指名買いしてもいいのだが……もともとがFire Phone(Amazonの自社スマートフォン)用のゲームを作るためのスタジオだったので現在発表されているゲームが出なくなっても新作が遊べるのか、それだけが気になる。
評価:3.0(面白い)
課金について
なし
おすすめポイント
ディズニーアトラクションのようなお化け屋敷を楽しめる
簡単で誰でも楽しめる
日本語訳の品質が高い
気になるポイント
簡単過ぎて退屈になる人もいるかも
もう少しストーリーを掘り下げて欲しかった
(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Til Morning's Light (itunes 840円 iPhone/iPad対応)
動画: