Tiny Thief - 絵本のような世界観を楽しむパズルアドベンチャー
今日紹介する『Tiny Thief』は絵本のような世界を冒険するパズルアドベンチャー。
販売しているRovio Starsは、『Angry Birds』で有名なRovioが、高クオリティのゲームを販売する…そんなウリ文句で設立された新ブランドだ。
『Bad Piggies』や『Amazing Alex』といった誰でも親しめる雰囲気のゲームをリリースするRovioの姿勢は新ブランドでも変わらず、今作はまるで動く絵本といった世界観が丁寧に作られている。
主人公は正義の泥棒で、ステージ内からアイテムを盗んで人知れず脱出し、人々を救うのがゲームの目的だ。
▲各ステージで盗むものはスタート時に絵で表示される。
操作はタッチのみ。
なにもないところをタッチすればそこまで移動し、オレンジ色のボタンをタッチすればその物に近づいて使用する。
▲左のオレンジのマークが「使う」ボタン。
泥棒である主人公は見張りなどに見つからないよう、ステージに用意された様々な仕掛けを使って盗み、脱出を試みる。
例えばこのステージ。
盗むべきハンバーガーの前で見張りと犬が争っており、前に進めば見つかってしまう。
そこでまず、犬が狙っている肉の紐を切って落としてやると…。
犬が気づいて肉に食いつく!
そして逃げるように犬が去り、見張りはそれを追っていなくなる。
その間、主人公は樽に隠れてやり過ごす。
▲犬のあたりにある樽に主人公は隠れている。
このような形で、毎ステージ手を変え品を変え、コミカルな仕掛けが用意されている。
合理的な仕掛けよりも、思わず「えっ、そうなの!?」と言いたくなるような仕掛けが多いので、合理的な謎解きゲームが好きな方はちょっと合わないかもしれない。
が、画面をタッチするたびに、可愛いキャラクターたちの意外な反応を楽しむびっくり箱のようなゲームになっている。
▲寝ている人を起こすと、普通なら見つかりそうだが…このゲームだと違うことが起きる。
と、ここまでは普通の「可愛いアドベンチャーゲーム」なのだが…。
さすがRovioと思わせる丁寧なストーリーがこのゲームをより素晴らしいものにしている。
ステージの初めにはストーリーを語るコミックが用意され、プレイヤーはそれを受けて何をすればいいかという状況を理解した状態ステージに挑むことができる。
そして、時にはステージクリアのヒントになっていることも。
▲冒頭で説明した犬が肉を食べるステージのコミック。
ステージをクリアすると、ちょっとしたアニメーションとともに解決後の主人公の様子が描かれ、1ステージが1話といった感じで完結する演出も用意されている。
1ステージごとに話の区切りはありつつも、1つの大きな流れも別に用意されており、悪政に苦しめられている民衆を救う、悪い騎士に捕らえられている姫を救うなど、決着ステージではステージも話の流れも盛り上がる。
ステージクリアを通じて、自分の手で絵本を進めているような気分なれる。
▲人形劇のようなステージセレクト画面も世界観にピッタリ。
クリアした時の主人公の喜びのアクションや、失敗したときのアクションがステージによって変わったり、ちょっとした動きもユーモラスだったりと細部まで世界やキャラクターが作られていて、「ああ、Rovioだなぁ」というクオリティ。
▲失敗シーン。わかりづらいが、箱に隠れて失敗をごまかしている。
ボリュームも満点。
ステージ数が多いのはもちろん、隠し要素としてパートナーであるイタチを見つけたり、ステージ毎に用意された隠しアイテムを見つける「ウォーリーを探せ」的要素もある。
▲画面左の木箱に顔を出したり引っ込めたりするイタチがいる…。
ただし、iPhoneでは画面が小さくて見づらいのでiPadでここは遊びたい。
▲拡大。これでもまだわかりづらいか…。
論理的な謎だけでないので詰まることもあるが、4時間に1回だけヒントをもらう機能があるので、完全に詰まることはない。
ヒントはかなり細かく書かれており、手順はイラストで確認できて、見ればまずクリアできるようになっている。
▲というか、コミカルでヒントを見ること自体が楽しい!
難点を挙げるとすると、後半に進むに連れてステージが長く複雑になっていくこと。
このゲームはコミカルな演出を楽しむという側面が大きく、どうしても見ている時間が長い。
すると、ステージを動き回っているのを見ているだけの時間が増え、繰り返しが辛くなってきてしまうのだ。
また、これを言ってしまうのは野暮かもしれないが、あくまで可愛くコミカルな演出を楽しむものなので、ゲーマーが「すごい、面白い!」と仕掛けを楽しむようなものでは全くない。
なので、見た目や雰囲気が合わなければまず楽しめない。
そこさえ気にしないのであれば、丁寧につくられている世界観と演出は素晴らしく、絵本をめくりつつ遊んでいるような感覚は、誰でも親しめるもの。
コマ漫画からゲームへ、ゲームからまた漫画へ。
絵本の中の話を自分ですすめて完成させていくような感覚がある。
辛くなってくるのも中盤以降なので、そこまでで値段分の元は完全に取れる感じ。
安心してみていられる内容なので子供にも自身を持っておすすめできる。
雰囲気が気に入ったなら試してみる価値ありだ。
評価:7(要チェック)
おすすめポイント
コミックのような世界観
ストーリーとステージが連動している。
細部まで作られている演出
気になるポイント
後半のステージが長くてダレる。
動きや反応を楽しむゲームなので、ゲーマーには不向き
課金
なし(Google Play版は基本無料)
(バージョン1.0 GCドラゴン)
Tiny Thief (itunes 配信停止/ GooglePlay)
動画: