チェインクロニクル(itunes 基本無料 iPhone/iPadの両方に対応 / GooglePlay 基本無料)
開発:セガ
評価:3.5(かなり面白い)
+ ノーマルカードでもキャラクターにストーリーが用意されている丁寧な作り
+ ちゃんとゲームしているバトルシステム。
+ 基本無料ゲームなのに正統派RPGをプレイしているRPG感がある。
- せっかくキャラクターに感情移入できるのに、能力が弱いと使えない。
- バトルのバランスは大味。
皆さんはRPGと聞いて何を連想するだろうか。
おそらく、それはドラクエやFFのような家庭用RPGのはずだ。
が、ソーシャルゲーム業界ではどのゲームも◯◯RPGと名乗っているわりに、プレイしてみると家庭用RPGをプレイしている気分になれるゲームは皆無だった。
が、今日紹介する『チェインクロニクル』のプレイ感覚はなんとRPGそのものなのだ。
RPGが好きでソーシャルもやるようなプレイヤーは間違いなくこのゲームにハマることだろう。
もしかしたら家庭用のRPGしかやらない人もこのゲームは楽しめるかもしれない。
それだけのクオリティに達していると感じた初めてのソーシャルゲームだ。
ストーリーのクオリティ、そして進み方は完全にRPG。
プレイヤーが所属する義勇軍と大陸を侵攻する黒の軍団との戦いを中心にした王道ストーリーは、体力を消費して先に進めていくとどんどん先の話が気になるレベルのもの。
また、ソーシャルゲームでは基本的にプレイヤーキャラクターの存在自体が空気になっている事が多いが、『チェインクロニクル』ではプレイヤーのキャラクターが世界に存在し、ストーリーの中で選択する場面もある。
▲選択を求められる場面もある。結果は変わらないが、雰囲気としてはいい。
そして、一番驚いたのがキャラクターの扱い。
キャラクターがガチャから入手できるカードであるのはこれまでのソーシャルゲームと変わらない。
が、手に入れてからの扱いが圧倒的に違う。
キャラクターが絵と攻撃力・HPだけの存在ではなく、ちゃんとゲーム世界に生きている。
全てのキャラクターにストーリーが用意されており、始めて仲間になった(ガチャで手に入れた)キャラクターは出会いの挨拶から始まり、レアリティノーマルのキャラクターですら最低1つはサイドストーリーが用意されている。
▲キャラクターが仲間になると、街にキャラクターのサイドクエストが出現する。
そのクオリティも萌えや間に合わせの「とりあえず先に進もう!」ばかりで適当に作られた中身がスカスカのものではない。
キャラクターの性格がわかり好きになれるほどのクオリティで、シリアスな話からコミカルなノリまで様々だ。
サイドストーリーをこなすことでキャラクターが特殊能力に目覚めたり、複数の仲間キャラクターが揃うことで始まる大きなサイドストーリー“チェインストーリー”が始まるなど、キャラクターの実質的な扱いは「カード」というよりカードでイラストが表示されるRPGのキャラクター。
だんだんと仲間が集まっていく様子は『幻想水滸伝』を思い出させられた。
▲女子キャラだけじゃないのもポイント。
もちろん、RPGというからにはバトルもある。
これもカードが飛び出していくだけのソーシャルゲーム的なバトルではなく、3×3のマスにプレイヤーキャラクター4人+フレンドのキャラクター1人を配置し、襲い掛かってくる敵を迎撃するリアルタイム戦術バトル。
▲キャラクターはカードではなく3Dのちびキャラで動く!
敵を全滅させれば勝利、キャラクター背後のラインに敵が到達すると敗北という形式で、基本ルール的にはタワーディフェンスっぽい作り。
ただし、プレイヤーは任意でキャラクターをドラッグして移動させることができ、プレイヤーの操作で効率良く戦える「成長させたキャラが勝手に戦って終わり」ではないゲーム的な作りになっている。
▲分かる人には『百鬼大戦絵巻』をすごく簡略化したものいえばわかりやすいか
各キャラクターはランダム配られる必殺技オーブを消費して必殺技を使うことも可能だが、ここがまたポイント。
オーブは各職業ごと専用のもので、毎ターンパーティーにいる職業のオーブがランダムに配られる。
で、5種類の職業でパーティーを組むとバランスよく様々な状況に対応できる反面、必殺技オーブが5種類からランダムに出現するのでどうしても必殺技が使えないキャラクターが出てくる。
逆にパーティーに編成している職業が1種類だと、バランスは偏るが特定のオーブしか配られないので必殺技が安定して使えるなど、プレイヤーの戦術が試されるようになっている。
乱戦になるとキャラが選択しづらいなど細かい部分で粗があるが、自分は普通のゲーム機のRPGでこれに近いシステムのバトルをしたことがある。
つまり、ストーリーだけでなくバトルシステムもゲーム機のRPGに寄せてあるのだ。
特に序盤はかなり難易度が低いので歯ごたえがあるRPGを求めているプレイヤーは肩すかしかも知れないが、バトル終了時にはかかった時間など戦闘内容に応じてボーナスがあるため、完璧を目指すと中盤から少し苦戦するようにはなってくるはずだ。
ただ、キャラクターの成長方法だけは合成形式のいつものソーシャルゲーム。
バトルに出たキャラクターに経験値が入るだけでなく、カードをレベルアップ合成・限界突破(同じキャラクターを合成することでより強くなる合成)することでレベルアップしていく。
▲各キャラクターは最大4回限界突破可能。SSRの限界突破とか気が遠くなる…。
また、武器を合成することで装備を強化・持ちかえる要素もある。
限界突破に武器合成と聞くと「キャラクターを揃えて武器も、となると通常のソーシャルよりも課金がきついのではないか」と思うかもしれないが、少なくとも序盤はかなり簡単で課金は必要ない。
むしろ、SSRなどを手に入れてもキャラクターに設定されているコストが高いため、レベルが低いうちは「1キャラクター強いけど、そのコストが高いから残りが弱くなって厳しい」という状況になる。
サイドストーリーをこなしていけば魔法石はたまる、いわゆる無課金でも十分楽しめるセガらしくない良心的な設定なので、安心して試して欲しい。
▲武器合成、武器はキャラクター間で渡すことができない…。
課金要素はガチャと体力回復だが、プレイヤー同士の対戦などはなく、完全に1人でプレイできる事も含めて(一応、レイドボスは考えているとのこと)課金圧力は低い。
加えてゲームしている戦闘と、それをこなすことでストーリーが進む図式は完全に家庭用RPGと同じ。
今までのソーシャルゲームを「RPGです!」と言い張って家庭用RPGのイメージを借りていた感じだが、『チェインクロニクル』は完全に「RPGにソーシャル要素を足してみた」というゲーム。
そして、はっきりとRPGとして面白い。
▲ちゃんとボスもいるよ!
今までのセガは「他のメーカーより新しいゲームを出すが、未来を先取りしすぎて売れない」と言われていた。
今回もこれは他のメーカーが出していない「これまでになく普通のRPGっぽいソーシャルゲーム」だが、時間の流れの早いソーシャルゲーム業界ではセガの先進性にようやく時代のほうが追いついたように思える。
パズドラが半年未来を先取りした素晴らしゲームだったのと同様、このゲームもまた半年ぐらいは未来を先取りした唯一の、エポックメイキングなゲームだ。
プレイすればこれまでにないソーシャルゲームを肌で感じられると思う。
ソーシャルゲームの未来を見たい方、そしてもちろん新しいゲームを探している方にぜひ試して欲しい。
ゲームキャストとしては久々に全力でおすすめしたいソーシャルゲームだ。
唯一気になるのは、いろいろとやらかした経歴のあるセガの運営ということだが…こちらも『百鬼大戦絵巻』などで問題なくゲームを運営してきた新小田氏がゲーム開発に関わっているようなので、他のセガゲームよりは期待できるようにに思う。
これについてはまた、しばらく流れを見て書いて行きたいと思っているが、現時点では素晴らしい内容なのは間違いない。
今回の評価は、ゲーム内容で3.0、さらにその先進性を評価して3.5としたい。
(Ver1.0.2 ゲームキャストトシ)
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