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ソーシャル・基本無料ゲーム時代に対応していくということ〜ミリオンアーサー運営批判記事を書いた理由〜

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先日「メディア・業界の方へ『拡散性ミリオンアーサー』の不誠実な運営に私は怒っています。」という記事を書きました。
これはスクウェア・エニックスが提供するソーシャルゲーム『拡散性ミリオンアーサー』でフェアとは思えない運営の対応があったので書き記し、ソーシャルゲーム全体に対する議論を呼ぶために取り上げたつもりであります。
ですが、プレイヤーが得をした、損をした、スクエニが憎い、など本意ではない捉え方をされてしまうことがあったため、私の真意を伝えるべくもう1度記事を書かせて頂きます。
ソーシャルゲームの利用条件にはほぼ例外なく「運営が何をしても文句は言わない」という意味の条項が盛り込まれています。
デジタルデータを貸与しているから、キャラクターもカードもプレイヤーのものではない。だから、ゲーム運営側が自由にいじっても文句は言えない。
そういった建前を作るための条文です。

しかし、これはほとんどのサービスに言えることで、この条文があることで何もかもが許されるということではありません。
データ保管サービスも「データが消えても補償はしない」などという条項はありますが、だからといってデータが消えしまっていては信頼がなくなってしまいます。

つまり、どんなサービスでもユーザーの信頼のもとに成り立っている部分があるのです。
ソーシャルゲームは、ゲーム会社への信頼のもとにその条項をOKしてゲームが開始するわけです。

しかしながら、「確率操作のわかりづらさ」や「プレイヤーのリテラシーの低さ」などグレーゾーンとも言える部分を逆手に取って、現状は課金させるために好き放題にやっているソーシャルゲームが多いのが現状です。
先日の『ミリオンアーサー』の件はまだ優しい方で、『真・戦国バスター』でイベント中に突然「終了間際、この時間だけポイント◯倍!」と実施される夢幻城イベント、『アイドルマスターシンデレラガールズ』で突如ポイント3倍のアイテムが有料で売りだされ、イベント前半のポイント稼ぎが一気に陳腐化したバレンタインイベントなどよりあくどい手口も多くあります。

そこでそれを受け入れて残るプレイヤーもいますが、当然そのあくどい手口に閉口してやめていくプレイヤーもいます。
そして彼らは言うのです。
「ゲームはハマると怖いからもうやらない、金は出さない」と。

そこで信用を失っているのは、あくどい手口を使った特定のゲームではありません。
ソーシャルゲームというくくりでもありません。
そういったものに打撃を受けるプレイヤーはマニア層ではないので、ゲームとソーシャルゲームの区別もありません。だから、ゲーム自体が信用を失うのです。

例えば、ミリオンアーサーは数万の課金をするプレイヤーが打撃を受けました。
そういった方々の中でゲーム自体をやめてしまう方もいるでしょう。
しかしながら、ゲームがプレイヤーを大切にしてずっと楽しんでくれたら、月数万でなくとも5000円でも、長期間にわたってゲームをしてくれていたはずです。
もしかしたら、その方が「ゲームって面白いよ」と友人に伝えることで、新しいプレイヤーがまた増えたかもしれません。
だからゲームメーカーの象徴であり、信用があるはずのスクウェア・エニックスがやらかしたことは私には見過ごせませんでした。

ソーシャルゲームのあくどい手口は、ゲーム業界全体を焼き畑し、将来を奪っていると私は考えます。
このままでは一時的には儲かるでしょうが、長いこと続けられない商売となるでしょう。
基本無料ゲームが進化して、多くの人にとって対価を払っても遜色ないと思えるゲームと認められても、支払ってくれる人がいなくなってしまうかもしれません。

「ソーシャルゲームのプレイヤーはゲーマーとは違うから問題ない」という方もいらっしゃいます。
しかしながら、ゲーム業界を支えるにはコアゲーマーとライトゲーマー両方が必要です。
DSの大ヒットも「脳トレ」をやるようなプレイヤーに支えられたものです。
しかし、今やiPhoneなどのスマホでライトなゲームや暇つぶしが事足りてしまうため、ライトユーザーはスマホにシフトしています。
そういったプレイヤーを切り捨てては、業界の未来はありません。

「ソーシャルゲームに課金する方が悪い」という方もいらっしゃいます。
コアゲーマーの方は、ソーシャルゲームのやり口について情報を得ており、避ける事ができるでしょう。
しかしながら、ライトユーザーにはソーシャルゲームで何が起きればフェアではないのかという認識までたどり着けないプレイヤーもいます。
ソーシャルゲームから始めたら、汚いやり口にあっても「ゲームってそういうもの」という認識になってしまうのです。
その結果、「ゲームって金を出すとしっぺ返しを食らうからあまり課金しないほうがいいよ」という認識になっては、やはり業界全体の損失となります。

恐ろしいもので、課金し続けると「◯円今月は課金したぜ」「◯◯はほんと絞るのが得意だよなー」などと課金自慢が始まったりします。
そういったユーザーがゲームに残る裏で、同時にゲーム離脱者を大量に出しており、ゲーム業界全体のパイが減っているということは無視されています。

本当に、私が伝えたいのは「ゲームっていいものですよ」ということです。
そして世界の多くの人に胸を張ってそう言いたいし、多くの人にプレイしてもらいたい。

ソーシャルゲームの出現でゲーマー人口と呼ばれるものは今大きくなっています。
今が、ゲーム業界にとってチャンスなのは間違いありません。
しかし、チャンスに群がってゲームの名を借りた集金装置を運営しているどうしようもないメーカーもまた蔓延しています。

現在は黎明期の混沌とした状態で、メディアは対応しきれていません。
ゲームの面白さに「ゲームの質」に加えて「運営の質」というものが加算され、その「運営」についてまったく判定を下せないでいます。
プレイヤーも基本無料という新しい常識に対応しきれていません(買い切りゲームは日本だけでなく欧米でも死につつあり、将来ニッチ市場になるでしょう)。
メディアもプレイヤーも、メーカーも新しい時代に向けて協力して対応していかなければならないと思っています。

ゲームキャストは小さなメディアですが、その時代にあって最初に声を上げたと思っています。
何が良くて、なにが悪いのか。
自分が絶対正しい訳ではなく、抜けている部分もあるかもしれません。
しかし、今の状態がおかしいことはわかります。
メディアの皆さんも、プレイヤーの皆さんも、メーカーの皆さんも、ゲーム業界の未来と向い合ってあるべき姿、許してはいけないことを考えてみて欲しいと思っています。

ゲームキャストの連絡先はgamecastblog@gmail.comです。

「うちが面白くてフェアなゲームサービスをする!」
という個人の方、メーカーの方、ぜひご連絡下さい。

「うちのメディアは信頼できるゲームを紹介する!」
というメディアの方、リンクを貼らせて頂きます。

「酷いゲームにうんざり」
というプレイヤーの方、ぜひゲームキャストを見て新しいゲームを始めて下さい。
ツイッターで相談していただければ合うゲームを探します。

「俺が面白いゲーム知ってるぜ!」
というプレイヤーの方、ぜひコメントで教えて下さい。
オンラインゲームは多すぎて1人では試せないので。

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(ゲームキャスト トシ)

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