すでに3本のノベルアプリを作成している超水道さんと、ゲームキャストの共同企画。
超水道さんは「iPhoneのノベルアプリを1週間で作る!」ことに挑戦し、ゲームキャストが出来るまでの様子をレポート。
1日目の企画会議の様子をお伝えしよう。
最初に、今回企画に関わる超水道のメンバーを紹介。
ミタヒツヒト
サークル超水道代表。
シナリオ・全体の統括を行う。
山本すずめ
超水道のイラスト担当。
佐々木ケイ
超水道のメインライター。
たまに絵も描く。
2月28日10:00、某所のファミレスにて企画は始まった。
- 今回の目標は1週間でノベルを作ること。
時間は2/28の10:00から3/6の10:00まで。
- 納期に間に合わせるというよりも、短期間でアウトプットする限界に挑戦したい。
投げやりではなく、これまで培ってきた自分の能力を出し尽くしたいね。
- 一週間だから仕方ないというのはできるだけなくしたい。
早速会議が始まる。
- 今回、折角の機会なのでここで伸びるために今回壁を超えたいと思います。
1つが時間の壁。 - 1週間でここで頑張れば確実に今後の作業が早くなるはず。
次に1週間だからといって精神的な余裕がなくなるのではなく、落ち着いてやりたい。
精神的な壁。
最後に20MBの壁。
- それをやっちゃう!?
- ノベルアプリの悪いところは音楽とかでどうしても20MBを超えてwifiがないと落とせないところ。
手軽さがないから、今回はこれを克服したい。
20MBの壁。
それは開発者を悩ませる課題。
20MBを超えるアプリは3G回線でダウンロードできないため、気軽にアプリをダウンロードすることができない。
対策として『パズル&ドラゴンズ』のように20MB以下の本体アプリを作成し、データは初回起動時にサーバーからダウンロードするなどの手段もあるが、自前のサーバーを用意できる企業にしか使えない。
今回はなんと、ノベルアプリなのに20MB以下でつくろうという驚きの提案である。
- 僕らが使っているアルテミスエンジンは何も無い状態で11MB。
つまり僕らは9MBでノベルを作ります。
アルテミスエンジン。
超水道がノベル制作に使っているのは「Artemis Engine」というノベルアドベンチャー作成ツール。
なんと、iPhoneの開発に使われるObjective Cを知らなくてもノベルアプリを作れてしまう優れもの。
もちろん、これを使うために別に学習が必要だが「やろうと思えばすぐできますよ」というのが超水道の方の意見。
- 立ち絵とかイラストが5枚ぐらいかな…。
- 音楽は短くループで作ってくれる人を探しましょう
ループ曲。
ゲーム音楽は「ループ」と呼ばれて同じ音楽を1つの曲に聞こえるように延々とリピートする手法が存在する。
この技法を使えば30秒の曲でも数分間違和感なく流し続けることが出来る。
容量と戦っていた頃に使われた伝統的な手法である。
1曲4分のMP3ファイルが約4MBというとどれだけ音楽を入れ込むのが大変かわかるだろう。
- シナリオはいくら詰めても容量を食わないから、今回はシナリオで勝負しよう。
・立ち絵は4キャラで8表情で1キャラ300KB程度行けるはず。
・音楽はループ中心で全部で5MB程度(普通のポップスが1曲5MB程度)
・文字数は5万字程度(森川空のルールと同程度)
・イラストは5枚程度
どれだけのものを作って、どれだけのものをできるのか、という見積もりをすませる。
その上で
「背景を動かすとか、部分的なアニメーションで表現を広げたい」
「グルーヴコースターがおもしろすぎてさぁ…音とタップを同期させる楽しさとか出せないかな?ノベルのインターフェースにそれを合わせられないかな?」
「画像の動きと操作を動機させるのは?」
などなど、限られた中で新しい要素を取り入れられないかの会議が続く。
およそノベルアプリを作っているとは思えないアイデアも飛び出す。
アイデアが一回りした後、シナリオの大枠を決める会議が始まる。
超水道は佐々木ケイさんがメインのシナリオライターだが、メンバー全員がシナリオのアイデアを出し、全員で話しを決めていく。
全員、持っているPCで一斉にシナリオ原案を製作し始めた。
最初にできたのは「記憶を失った主人公が記憶を探す話」。
- どうにも話が弱いし…ヒロインをうまくつけようか
- 主人公が記憶の片隅にあるヒロインを探している設定で、案内役としてヒロインの妹を出すのはどう?
- もっと、主人公に目的を持たせてあげたほうが…。
変わっているのは各人が考えたストーリーに対して全員で「こうすれば面白くなる」というアイデアを付け足していき、面白いと思えるようになるまで修正していくこと。
1つの話が十分面白くなると、次の話を作っていく。
こうして大量に話を作った上で、一番良いものを選ぶのが超水道流。
しかし、当然ながら簡単にストーリーが浮かぶものではない。
最初の話以降アイデアが出ず、超水道は煮詰まり続けていた。
突然、ドリンクバーのポットの蓋を使って突如ベイブレードごっこを始めるミタヒツヒトさん。
「煮詰まると30分でもこれを続けますよ」とは佐々木ケイさんの言葉。
さすがクリエイター、違いすぎる…!
20時頃になってようやく「魔法の便利屋さんが事件を解決するハートフルストーリー」が出来上がる。
すでに1日目が終わりかけているが、議論白熱して終わる気配がない。
- あと1つはシナリオを考えたい。
- シナリオで足を取られすぎじゃない?
超水道はシナリオを生み出すサークルじゃないし、ビジュアルとか総合で工夫して面白くするから、形にしていこうよ。
- 違う、今回はイラストも音楽も限られているから工夫できるのはシナリオだけ。
ここで工夫しなければ引っ張られてアプリ自体が死んでしまう!
- でも、時間がさ…!
シナリオが決まらなければイラストも、音楽も作れない。
だが、1週間という期間では一度決めたら後戻りもできない。
21時すぎになんとか「何かと戦う」というシナリオを考えだすが、
- ヒロシでもヴァンパイアと戦ったし、展開が似ているなぁ。
ゾンビとか、ヴァンパイアとか、秘密結社とかと戦うのはもうありふれすぎているよね。
内容を面白くする肉付け作業が進まない。
そして22時ごろ。
- そうだ、宇宙人だ!!
- 宇宙人ならあまりいないし、変なシチュエーションで面白くできる!
宇宙人と戦おう!
宇宙人だ!
あまりに画期的だったのか、「宇宙人だ!」と店の中で2分ぐらい叫び続けてそこから一気に作業が進む。
- 弱い主人公がヒロインに引っ張られるんだよ!
- 宇宙人は果物とか野菜に顔が付いている感じがいいんじゃない?
意表をついていて。
- 宇宙人にはいい宇宙人と悪い宇宙人がいて…主人公は悪い宇宙人の味方だ!
そして、出てきたのがこのラフ案。
弱い主人公と強いヒロイン、らしい。
そして、30分かけて会議して出てきた野菜型宇宙人がこれ。
どうみてもなめこです。
ありがとうございました。
できた段階で終電の時間となり、本日は解散。
しかし、これリリースできるのか。
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