レビュー:勇現会社ブレイブカンパニー
タイトル:勇現会社ブレイブカンパニー
ジャンル:シミュレーション
価格:基本無料(買い切り課金型)
日本語対応:あり
Retina 対応:あり
販売元:バンダイナムコゲームス | Version:1.1 | GameCenter:ランキング対応 | 対応機種:iPhone / iPod touch / iPad
総合評価:1.5(ひどい)
+音楽・イラストは気合が入っている。
+コミカルで個性的な演出とキャラ
−バグが多い
−画面の切替・操作全てにタメがあってストレスが貯まる。
−課金への誘導が激しく、鼻につく
−理不尽に辞めていく勇者たち
−基本無料の体験版部分に課金を要求する作り
魔王もいなくなって世界が平和になり、軍備も縮小…そんな中で勇者が考えた仕事はなんと勇者派遣業。
勇者をスカウト、派遣してモンスターを討伐したり、困った人々を助ける仕事をする勇者派遣会社経営シミュレーションゲームが『勇現会社ブレイブカンパニー』だ。
「勇者派遣会社経営」と書いた通り、まず会社で働く勇者候補を面接して雇い、世界各地から届く「お仕事」の依頼をこなして会社を大きくするのが目的。
面接にやってくる勇者は「ファイター」や「ナイト」のような職業の他にも必殺技や特殊能力を持っていて個性豊か。
ゲーム内で勇者を募集する他にも Twitter のアカウントを登録すると24時間に1回だけフォローしている人、フォローしてくれている人から「名刺」をもらって勇者を雇うことができ、友達で会社を固めたりできるのは嬉しい要素。
勇者を雇ったら「世界地図」から行き先とお仕事を選び、最大4人までチームで派遣(会社というだけあり、勇者に払う給料がないと立ちゆかないので赤字にならないように注意!)。
仕事の進行は現実時間と同期しており、派遣した勇者はお仕事ごとに決められた時間だけ現実時間で経過すると帰ってきて報告書を提出し、プレイヤーはそれを見て冒険内容を知る、という仕組みになっている。
報告書はコミカルな読み物になっており、場面によっては(報告書なのになぜか)勇者に指示を出すことも可能。
基本的には派遣した勇者の能力が重要だが、指示によっては戦闘や仕事の成否が変わり、読むだけにならないのも面白い。
無事仕事が解決すれば報酬やアイテムが手に入り、徐々に資金が溜まって会社が大きくなってゆく。
帰ってきた後に勇者のプライベートが少しだけ覗けるのだが、そこでパワーアップイベントがあったり、恋愛イベントがあるのもまたちょっとした面白要素。
何回も仕事に派遣して、プライベートをずっと見ていると少しずつ勇者に愛着が湧いてくるから不思議だ。
さて、上記のような説明をすると面白そうに見えるが、ゲームの仕組みとして気になる点が非常に多い。
勇者が行って帰ってくるまでは10分かかるのに、命令を出したらやることはなくなる。
1章をクリアすれば1仕事で45分、後半になれば数時間が普通なのに何もやることはない。
同じようなゲームの『ゆけ!勇者』であれば途中で見ても経過を見て楽しめるのに、そういった工夫もなし。
また、いちいち確認しようにも起動にロード時間があって、タイトル画面が出てからゲーム開始までロードがあって…見るだけがストレス。
導入部分から待つだけの時間が長く、はっきり言ってゲームの面白さがわかるより先に投げ出してしまいたくなる。
ただ、やることが少なくても3チームぐらいを派遣できるようになればローテーションでそこそこ楽しめると思うが、そこに至るまでに派遣チーム数増加のために課金で255円、社員最大数増加のために85円であわせて340円。
基本無料のゲームというのは無料で楽しませて、「もっと楽しみたい!」という客に有料でいろいろ購入してもらうものだがこのゲームは無料でDLさせておいて「金を払えば楽しめるから、金払え」と言っているような構図。
2章まで無料と謳っているが、そもそも2章までプレイするのに課金しないと面白みが理解しづらいというのは基本無料のゲームとしておかしい。
その他にも勇者の寿命を伸ばしたければ課金、アイテム上限を増やしたければ課金…どの画面でも課金アイテムへの誘導が目立つ位置にあり、「とにかく金払え」と言われている気分にしかならならず、気分は良くない。
なかでも一番きついのが、勇者が辞めるシステム。
仕事に失敗すると「向いていないと思います…」などとすぐ辞表を提出してくるのだが、この時引き止めるのに金が必要で、金を払っても結構辞めてしまう。
特にゲームの仕組みがわからないうちは仕事に失敗しがちで、「仕事失敗→主要メンバーがやめる→やる気が無くなる」という状態になりがち。
中盤以降のボス戦などで主力チームが全員辞表を提出してきた時など、振り出しに戻されるような恐怖がある。
実時間と連動しているゲームで、キャラクターがポコポコやめていくというのは重すぎる。
ちゃんと金を出せば(体感では)半分ぐらいは辞めないが、この瞬間に「85円で確実に引き止められます!」という課金が表示されるのは殺意すら覚える。
また、すべての操作、画面が切り替わるときに全て微妙なタメがあってストレスが貯まる。
城の設備を増強していくとアイテムを合成したりできるのだが、「○○というアイテムを10個作れ」というお題に対して1個作るのに1回合成操作が必要。
1つの合成アイテムを作るために、同じアイテムを10個合成する面倒くささ…しかも全ての場面において操作への反応が悪い。
なんというか、発売前に調整していないアプリがそのまま出てきたかのような感覚だ。
そんな散々な状態でバグの多さが追い打ちをかける。
公開された初期版では、最大のウリ「 Twitter から勇者を生成」システムを使用すると確実に落ちるバグやら、勇者が帰ってこなくなるバグ、どの画面からでも落ちることのある不安定さなど、ひどい要素がてんこ盛り。
そこで応急処置的に修正が入った修正版がリリースされたわけだが… Twitter 勇者を生成したのにセーブされていない(もちろん、それから24時間新しい勇者を Twitter から生成できない)、城にモンスターが攻めこんでくるイベントがいつまでたっても終わらない(起動するたびにモンスターが攻めてくるため、勇者を仕事に出せない)など、筆者が体験したかなりひどいものだけでも2つ。
また、オンライン時間と同期する仕組みになったため、3Gかwifiで通信できないとゲームが進行できないという欠点もついてしまった。
他にも「会社」という設定なのに、用語を会社風にしただけで王様になるのと何も変わらないのでコンセプトを生かせていないとか、iPad初代ではQRイベントができないとか、言いたいことはいろいろあるものの、一言でまとめると「ひどい」アプリ。
初期バージョンはプレイすればすぐわかる不具合があるのに、誰も気づかなかったとは思えない。
こんな状態でゲームをリリースしてしまうナムコこそがまさに「ブレイブカンパニー」。
800円程度課金する前提であればそこそこ楽しめて他にあまりないタイプのゲームなのは確かなので、バグが修正されて動作がキビキビになった頃にまた紹介しようと思う。
今までの実績から言うと1年後か。
あと、バンダイナムコには「発売日を延期する勇気」を是非持っていただきたい。
勇現会社ブレイブカンパニーの詳細・DLはこちら(itunes)