ゆけ!勇者って?
ゆけ!勇者は放置型RPG。
プレイヤーがやることは、勇者に装備を渡して、「財宝の洞窟の5階まで探索してね」と冒険する
場所を指示するだけ。
それだけでリアルタイムに探検し、モンスターと戦い、財宝を手に入れて帰ってきてくれる。
プレイヤーは装備を渡す以外なにも勇者の手助けをできないのに、リアルタイムに更新される勇者の姿を覗いてしまう不思議な魅力がある。
このゲームはそのアップデートの早さも魅力。
初期は荒いところも多く見受けられたが、バージョンアップを繰り返して改良されてかなり快適なゲームになっている。
難易度の高いダンジョンも実装され、「簡単すぎた」という人でも攻略しがいのある内容になっているし、本日リリースの最新バージョンでは持ち帰った宝を売ってショップにしかないアイテムを購入できるようになった。
(当ブログ内の紹介記事はこちら)
AppStoreの無料ゲームランキングでも上位20位以内に入るなど、人気はかなりのもの。
当ブログが主催している個人ブロガーが選ぶiPhone2010年ゲーム大賞でも、大賞からアイデア賞まで様々な賞に推薦されている。
今回はそんなゆけ!勇者のthachiさんにお話を伺った。
==== thachiさんに聞く
まず、thachiさんの経歴をお聞きしてもよろしいでしょうか。 もともと何かを開発するお仕事をされていたのでしょうか? |
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大学院で情報工学を専攻していました。 その後、システム会社やシステム部門で業務向けのシステム開発、今はフリーランスでシステム開発を行っています。 |
ゆけ!勇者をつくるきっかけ、企画の経緯など教えてください。 | |
iPhone4を買ったのがきっかけでiOSアプリに興味を持ちました。 当初iPhoneにはゲームを求めていなかったのですが、無料ゲームも多くあり意外とゲームをする自分に驚きました。 しかし、自分のライフスタイルにあったゲームというのがないことに気づき、それなら作ってみようと思い企画をしました。 iPhoneらしい操作でプレイできるゲーム、時間がなくてもプレイできるゲームをコンセプトにゆけ!勇者は生まれました。 |
なぜ、iOSというプラットフォームを選んだのでしょうか? また、AppStoreという場所はthachiさんにとってどんな場所でしたか? |
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私がiPhoneユーザになったことが一番大きな理由です。 毎日肌身離さず持ち歩く存在ということで、手軽にできるゲームにはぴったりだと思いました。 AppStoreはそんな少しのアイディアを実現するだけで多くの人にプレイいただけるありがたい場所だと思います。 |
ゆけ!勇者の開発で苦労された点やエピソードなど教えてください。 | |
一番苦労していることはゲームバランスについてです。 難しすぎても簡単すぎてもだめですし、ずっと前からプレイしている方にも、最近プレイを始めた方にも 楽しんで頂けるバランスを考えるのがとても難しいです。 テストプレイのためにiPod touchを買い増したり友人に手伝ってもらったりして実際にプレイしてテストしています。 |
開発の中で役に立ったものやサイトなどあれば教えてください。 | |
「売れるアプリにするための101のヒント」というiOSアプリがあります。 このヒントには様々な影響を受けました。 一つ一つは当たり前のことなのですが、それを読むことでアプリ開発に対する信念を持てたと思います。 また、役に立った書籍は、「詳解Objective-C2.0」「UIKit詳解リファレンス」「iPhone SDK アプリケーション開発ガイド」です。 Objective-Cは初めてだったのですが、これらの助けを借りて開発することが出来ました。 |
ゆけ!勇者のアップデート予定について教えてください。 合わせて、今後こんな機能を追加していきたい、など展望や野望などあればお願いします。 |
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今後は、武器や防具に対して強化をはかれる機能を追加していきます。 基本的にゲームがシンプルなので、アイテムのバリエーションが重要になります。 そこに柔軟さを付け加えることができればと思います。 また、Android版の開発も検討しています。 |
ゆけ!勇者とはthachiさんにとってどんなゲームですか? こだわりなど、教えてください。 |
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プレーヤーの皆さんの中には勇者を子どものようにかわいがってくれてる人がいるようです。 私にとってはゆけ!勇者が可愛い子どものような存在です。 みなさんにゆけ!勇者をプレイして頂けてとても嬉しいです。 そして、システム開発が本当に楽しく魅力的なものであると、本当の意味で初めて感じさせてくれたソフトウェアです。 開発もサポートも本業とは比べ物にならないくらい楽しいです。 そういう意味では、「ゆけ!勇者」には感謝もしています。 こだわりとしては、「自分がプレイしたいゲームを作る」ことです。 自分が一番やりたいゲームを自分で作り、プレイすることが何よりの楽しみです。 |
ゆけ!勇者といえば早いアップデートと、すごい丁寧なtwitterサポートが評判です。 どうやって時間を捻出しているのでしょうか。 ゲームキャストを運営している身として、個人的にお聞きしたいです。 |
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最初はサポートの時間はお昼休みと帰宅後にしていました。 1月からは本業の仕事量を減らしていただき、開発・サポートを行っています。 |
気が早いですが、次回作はありえますか? | ||
次回作は考えています。 魔法、職業、仲間、、、など、当初のゆけ!勇者に組み込む予定だったものを今回は実装しませんでした。 しかし、そのシンプルさから多くの方に遊んで頂けているのだと思います。 そのため今はこのシンプルなゆけ!勇者をシンプルなまま発展させることが出来ないかと考えています。 コンセプトは変えずに正統な進化形としての続編を作りたいと思います。 |
thachiさんの好きなゲーム、注目アプリを教えてください。 | ||
RPGが好きです。 特に「ドラクエ3」が好きです。 小学生の頃に初めてやったRPGということもあり、冒険の書が消えてしまうことにもめげずに何度も何度もプレイしました。 アプリで言うと「Akinator」ですね。 オンラインならではの、非常に楽しみやすいアプリだと思います。 そういう発想のアプリを私も作ってみたいと思います。 |
個人系の開発者の方になにか一言。 | ||
iOSでは個人でアプリを作ることが簡単に出来ます。 そこでは、中規模以上の開発ではできない「個人ならではのフットワークの軽さ」が大きな武器になると思っています。 私はたまたま最初のアプリを多くの方に遊んで頂けました。 しかし、初心を忘れずにこれからも何度もチャレンジしていくつもりです。 一緒にiOSアプリ、そしてスマートフォン時代を盛り上げていけたら嬉しいです。 |
ゆけ!勇者のプレイヤーの皆さんにコメントを。 | |
まず、ゆけ!勇者をプレイしてくださっている皆さま、本当にありがとうございます。 ゆけ!勇者はプレイヤーの皆さんはもちろん、TwitterやBlogなどによる皆さんからの意見でここまで成長することができました。 私一人がゆけ!勇者を作ったのではなく、皆さんと一緒に作り上げてきたゲームだと思っています。 これからも皆さんと力を合わせてゆけ!勇者を完結させていくことができれば嬉しいです。 |
インタビューを終えて
話をお聞きして思ったのは、thachiさんが「普通のゲーム好き」なんだな、ということ。
普通にドラクエ3が好きで、はやりのアプリで遊ぶ。
プログラムの出来るゲーム好きがAppStoreと出会って、自分向けのゲームを作る。
そして、thachiさんが自分用に作ったゲームが、thachiさんのように普通にゲームが好きな人に受け入れられていく。
実際にWEBを見ても、仕事で忙しいサラリーマンに人気があるようだ。
個人が自分の生活や環境に合ったゲームを作り、AppStoreというプロも素人も関係ない流通に乗って同じ環境の人にゆけ!勇者が広まった。
その結果、本業を縮小して開発・サポートに回る、AppStoreの開発者としてthachiさんの新しい道がひらけた。
thachiさんはAppStoreの特性を活かすことができた1人で、AppStoreドリーム実現の可能性を秘めた1人であるのは間違いない。
AppStoreの出現で、流通に関して素人とプロの差は確実に縮まっている。
ゆけ!勇者は、そんな土壌が産み出した新時代の象徴と言えるだろう。
この記事を見て、興味を持った方は是非ダウンロードしてゲームとどんどん変わっていくゆけ!勇者の熱気を味わってみていただきたい。
前にやめた方もこの機会に再度始めて見ると新たな楽しさが見いだせるかもしれない。
thachiさんのような開発者が増え、大手企業の採算ベースでは生み出せないゲームがどんどん生み出されることを期待したい。
ゲームキャストでは今後も個人の開発者に注目し、紹介していくつもりだ。
ゆけ!勇者のDLはこちら(itunes)