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懐かしきSFC風アート、懐かしきゲームテンポのRPG『リバーシクエスト2』レビュー。良作の可能性は大いにある未完成作品

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『タクティクスオウガ』に憧れてゲーム業界に入ったアーティストが、り、3年以上を費やして憧れのアートテイストを引き継いで作り上げた『リバーシクエスト2』。
そのドット絵アートの魅力については目指したのは「記憶の中で美化された」SFC風ドット再現『リバーシクエスト2』で紹介したし、多くの読者の方はもうこのゲームの存在をご存知とは思う。
ただ、先に出たインタビュー記事ではゲーム内容について説明していなかったので、システム説明、そしてゲームとしての私の印象をこの記事でお伝えしていく。


すでに書いたことだが、本作の魅力は『タクティクスオウガ』を意識したスーパーファミコン(SFC)風アートを、スマホで表現した点にある。
現代のハードにおいて「SFC風」で見栄えするドット絵表現は、思ったよりも難しいのだ。
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▲キャラクター名はシェイクスピア作品からとられているが、主人公名のチョイスにはオウガを感じる。

『クロノトリガー』の移植でも語られたが、SFC そのままのゲームをスマホのような高解像度かつ手元で見るハードに移植すると、そのままではショボく見える。
当時のテレビのようなにじみ、思い出などを加味した「現代に通じるきれいさ」と、「ある程度の古さ」を同時に出さなければ、納得して見られる SFC 風は難しい。
その点、『リバーシクエスト2』のアートはよくできていると言えるだろう。
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とくに物語が語られる各シーンは、それ単体でドット絵のジオラマとして鑑賞できるクオリティ。
ゲーム序盤はスクリーンショットを撮る手が止まらない。
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そしてシステムに目を向けると、今度は『タクティクスオウガ』とは異なる分岐のないRPG仕立てになっている。
ゲームはステージ方式を採用しており、新しいステージ・難易度をクリアするたびに“クラウン”が手に入り、一定数のクラウンを手に入れると新しい章が解放される仕組みだ。rvcrcrc-1

ステージはボードとして表現されており、プレイヤーは進む方向を指定して1マスずつ移動し、マスでは宝を見つけたり、敵と遭遇したりとイベントが発生する。
また、開始と終了時、イベントマスでは会話も発生してストーリーが進む。
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▲ボード上はゴールに近づく方向にしか進めない。

で、このボード上でメインとなるのが、ゲームタイトルにもなっている敵とのリバーシ風バトル。
バトルの開始前には、キャラクターに対してユニットを割り当てて部隊編成する必要がある。
ユニットには属性があり、赤(HPダメージ)・緑(HP回復)・黄(MP回復)・青(MPダメージ)の4色どれかの属性を持っている。
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▲1章以降、複数の属性を持つユニットも手に入るが、それらはコストが高めに設定されている。

各ユニットには1つだけ装備をつけられ、装備によって基礎能力が高くなったり、そのユニットが魔法を使えるようになったりする。これらの組み合わせは複雑だが、一度設定したら大きく変える必要はないので安心して欲しい。
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部隊編成が終わると、いよいよバトル本番だ。
バトルはターン制で進み、1ターンに1ユニットを交互に配置するリバーシのルールに則って行われる。
足元が白いプレイヤーのユニットで、足元が黒い敵のユニットを挟み込むと間にあったユニットの足下が白色に変わる。
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ここまではリバーシのルールそのままだが、このゲームでは敵ユニットの色を変更したとき、置いたユニットの持つ効果が「はさんで色を変えたユニットの数」だけ発揮される。
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▲画面下に表示されているのが出せるユニット。3体がランダムに配られる。

例えば、下の図では次に置こうとするユニットの間に2体の敵ユニットがある。
この位置に赤属性のHPダメージユニットを置いて、2体のユニットの色を変更すると……。
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▲ユニットをおくとき、効果を発揮する属性の色と同じサークルが出る。

赤(HPダメージ)の効果が2回発揮され、敵に大きめのダメージを与えられるわけだ。
リバーシはコマを挟み込んで、多くのコマを自軍の色に染めたプレイヤーが勝利するゲームだ。
しかし、『リバーシクエスト2』はコマ数の優劣を競うのではなく、相手にダメージを与えてHPを0にした側が勝つバトルゲームなので、これを繰り返してお互い殴り合うのが基本となる。
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各ユニットには属性があるのだが、同じ属性のユニットで挟み込まないと、ユニットは何の効果も発揮しない。
例えば、下の図では赤属性と黄属性のユニットで斜めに敵を挟み込んでいるが……。
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▲効果を発揮しないときは灰色のサークルが出る。

挟み込んだ敵ユニットの足下は白くなるが、黄属性ユニットと赤属性ユニット、異なる属性のユニットで挟み込んだため、ユニットの効果は発揮されない。
ただ、敵ユニットの足下が白くなり、ノーダメージで敵の手番が始まるだけである。
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この属性のルールによって、読みの要素は『リバーシ』と変わってくる。
なんせ、普通の『リバーシ』では大量にコマをとられたら良くないが、敵の持つユニット属性と、場の状態がかみ合わなければ、大量に挟み込まれてもノーダメージ。
相手の動きをコントロールできれば、戦力が低くても後半ステージを攻略できる戦術の深さがある。
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▲AIのパターンはシンプル。上手くプレイすれば、敵が場にコマを出せない状態を作って一方的に勝つ戦術もとれる。

しぶい戦術が好みなら、魔法が使えるユニットをいれまくってMPを回復し、直接ダメージを与えずに魔法で戦うなんてこともできる。
敵ユニットを挟み込んで画面左上のコンボゲージをためると“キャラクターフィギュア”が登場し、すでにユニットが置かれている場所に配置して上書きも可能。
様々なシステムが用意され、プレイヤーの創意工夫も試される。
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見た目はいいし、物語も(まだ完結していないが)見られるし、バトルルールも楽しめる。しかし、良いところばかりではない。大きな難点として「ゲーム進行のテンポ」が立ちはだかる。
物語を見たくても、ゲーム的に同じステージの高難易度版をいくつかクリアしてクラウンを集めなければ先の章に進めない。
ゲームの難易度も結構高めで、ルールをうまく活用できないとボス戦で倒れてしまう。そうなると、最初からやり直し。
また、多くのステージには“プルーフ”と呼ばれる入場チケットが必要で、何度か倒れるとこれが足りなくなる。これを手に入れる作業も余計な手間だと感じてしまった。1つ1つは小さいが、これらが積み重なると「いらない周回をしている」印象が強くなる。
周回してレアな装備を意識的に集める作業は楽しいのだが……テンポも含めてスーファミ風を求めていればいいが、そうでなければ意図していない周回はやはりつらい。
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▲クリスタルでプルーフや雑魚戦スキップチケットを買えるが、そもそもとしてプルーフ、ボード状でのランダムイベント(雑魚戦が始まるとストレス)は必要なのか……?

とはいえ、ゲームに関して購入前に心配しすぎる必要はない。本作は序章を試してから、追加購入でフルバージョンを購入できるからだ。
フルバージョン(全9章で、現在は4章分が配信されている)840円、早送り+クリスタルパック(クリスタルショップが半額になり、無駄遣いしなければ貯まる一方になる)が840円で、それらのセットが1,200円。
早送り機能はボード移動やバトルのスピードアップで、これがなくてもSFC程度で遊べるが、早送りがあれば現代スマホ風のテンポで遊べるもの。

私としては、「昔懐かしい RPG をじっくり遊びたい(じっくり周回でてきめんに強くなる)」か「ゲームの腕には自信がある(無駄な周回を避けられる)」いずれかの素養があれば楽しめると思う。
現時点で評価は6とするが、将来的にシステムが改善されたり、集めた強力な装備を試すボスラッシュ(死者の宮殿?)などが実装されるようなことがあれば、どんどん面白くなるとも思っている。
序章より後半は楽しくなってくるので、序章を試して、そこで楽しめれば購入を検討していいだろう。

概要:
SFC 風のドット絵が楽しめるRPG。バトルルールやレア装備集めは楽しいが、テンポに難がある。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
タクティクスオウガ・SFC風のドット絵
バトルシステムは楽しい

気になるポイント
無駄な周回要素が気になる
まだ未完結
ボードのテンポが悪い

アプリDL:
リバーシクエスト2 (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:Yokogosystems(日本)
HP:http://yokogosystems.com/reversiquest2/
レビュー時バージョン:1.0.6
課金:
序章以降プレイのフルバージョン が600円、早送り+クリスタル消費量半分パック が600円 上記2つセット960円(現代人の感覚的に早送りは必須だと思う)

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: