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災厄のシューティング『BLACK BIRD』はRPGのノウハウで作られた。『ロマサガ3』マスコンバットからRPGを作ってきた男、木村祥朗さんインタビュー

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先日紹介した、Steam / Nintendo Switch 向けのシューティングゲーム『BLACK BIRD』が面白い。
(RPGのように発見し上達するシューティング『Black Bird』レビュー)
シューティングが得意ではない私でもすごく熱中して遊べて、「あ、極められそう」って気分で遊べる。RPGでレベル上げをしているような上達感がプレイヤーにある、不思議な感覚。
遊んでいて「これをどうやって作ったんだろう?」と疑問に思ったが吉日。Onion Games の木村祥朗さんにお話を聞きにいってしまった。
で、本当にRPGにたとえて、分かりやすくシューティングゲームを説明してくださったので、ここにRPG思考シューティングの作り方として、記事にしてお伝えする。

nama
今日はお時間ありがとうございます。
いきなりですが、木村さんの新人の頃のゲーム『ロマンシング・サガ3』がリマスターされますね。
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▲ロマサガ3、2019年にリマスター版がスマホ・ゲーム機に登場する。

木村:
ちょっと見るのが怖い。あのゲームのマスコンバット部分の担当プランナーが僕だったから、どうなるのかすごく気になっている。若い頃の自分がダメだった記憶しかなくて(笑)
「ほんとうに未熟で申し訳ございませんでした〜」

nama
ですか(笑)
で、今日はその『ロマサガ2』のマップ設計や『ロマサガ3』のマスコンバットで業界デビューして、独立してからは『moon』とかアドベンチャー系のゲームやRPGを作っていた木村さんが。
なんで、シューティングを作ったのかって話を聞きにきました。
最初に、『Million Onion Hotel』を作ったあとで『BLACK BIRD』を企画するまでの流れを聞かせていただけますか?

木村:
これは結構前、なんだよね。
『BLACK BIRD』と前に出した『Million Onion Hotel』と『勇者ヤマダくん』は、ほぼ同時に考えついた。
最初に『Million Onion Hotel』を考えついて、モグラ叩きを作っていたのが2013年の春ぐらいで。スマホアプリゲームとしての仕組みで『勇者ヤマダくん』を考えて、DMMにペライチで企画を持ち込むタイミングが2013年冬だった。
『BLACK BIRD』はその頃から、パブリッシャーに話すこともなく、プログラマーと話すことなく、誰にも話すことなく、3案目としてあった。
作る動機というか、リビドーは一番強かったのに、誰にも話せなかった。

nama
案ができてからリリースまでも長かったですねぇ。

木村:
シューティング作りって、シューティングを作れそうなプログラマー、グラフィック、デザイナーがいないとできないし、(そんな人が)いなかったんだよね。

nama
では、これまで作ってきたゲーム開発の流れで、シューティングが作れるスタッフも獲得したということですか?

木村:
そう。そして僕も勉強した(笑)
今回、最大の苦労ポイントは、「なんとなく遊んでいた大好きなシューティング」を分解して、面白さを理解するところにあった。

nama
何もないところからシューティングを……その勉強手法が気になります。

木村:
まず、シューティングの面白さを分解しようとして、知ろうとした。
なんでシューティングゲームの世界は弾幕ばかりになったのか、1980年代や90年代にあった、『グラディウス』、『ファンタジーゾーン』、『セクションZ』、『スターソルジャー』などを下手なりに、僕というプレイヤーが楽しんでいたのはなぜなのか。
弾幕が流行ったのはなぜなのか。
昨今のシューティングゲームを作っている人とひたすらしゃべっていた。

nama
確かに、ゲームイベントでシューティングゲームを作っている人たちと木村さんが話していた記憶が。
で、結論は!?

木村:
結局、なんで面白いか、そういうことを分解してもゲームには役に立たないんだよね(笑)

nama
なんという結論(笑)

木村:
ボスってどうあるべきか、みたいな話があるじゃん。
(『グラディウス』の)ビッグコアが上下に動いて、弱点部分を狙い撃ちする遊びと、弾幕シューティングの隙間を電流イライラ棒みたいに避けているのは違うじゃない。
結局、商業シーンのなかで、前者が衰退して後者が生き延びている理由はわからないけど、とにかく僕は前者の方が好きだったんですよ。そして、今あまり見ないほうを作ろうと思いました。
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アーケードアーカイブス版グラディウスのビッグコア。外側は無敵だが、中央の青いコアを一気に攻撃すると瞬時に倒せた。

nama
結局好きだった面白さを再現する方向性に行く……ある意味「俺の作りたいゲーム」。インディーゲームの極みですね。
でも、シューティングを作る方法としては、やっぱりゲームを分解して理屈を通しているわけですよね。

木村:
そう。「戦いとは?」という話をするときに、RPGでは“攻撃”と“防御”と、“素早さ”みたいのがあるじゃん。
プレイヤーによる将棋みたいなもので、1手1手、攻撃するときと、回復するときを見極めてゆっくり計算して回答して、行動を選択する。
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▲RPGではHPや攻撃力、行動順をじっくり考えて各キャラクターの攻撃、防御コマンドを入力していく。

nama
そうですね。敵の攻撃が全滅につながるものでなければ、攻撃を加えたりする判断を毎ターンやります。

木村:
シューティングではこれを「すっごいリアルタイム」でやらないといけない。
しかも、攻撃と避けること(防御)を同時にやっている。
どの割合で攻撃して、どれだけ避けるか(ゲームが)リアルタイムに問いかけて、プレイヤーが回答し続けるわけ。「HUNTER☓HUNTER」の念能力の攻防力のバランスみたいなのをやる。瞬時に。

nama
確かに、シューティングゲームを遊ぶなかで、私たちは意識せず「次にどこに移動すれば安全か」と「どこで敵を撃てばいいか」考えて、「敵が弾を撃つ順番を考慮して優先順位をつけて倒す」を身につけていきますよね。

木村:
この問いかけ、“お題”を作るのが敵側の役割で。
縦シューや横シューの一方向強制スクロール方向でやるものは、(プレイヤーに)強制的に「お題」が流れてきて、その回答を求め続ける仕組み。
リアルタイム感なところに回答を出していくのが『シューティング』のつくり方なのだと思う。
でも、RPGばかり作っていた僕の心の中のテンポが遅いわけです。そして勘が悪い。
正直言いますと、2016年のプロト段階ではどんなリズムで、どんな雑魚がいればいいのか、左右に自由スクロールの「移動」に持たせる意味がいまいち自分自身でも理解できていないわけですよ。
そして、自分なりに「今のシューティングゲームをどうしていきたいのか?」みたいな課題が出てきて。

nama
来ましたね、哲学。

木村:
例えば「現代のボムってどうあるべきなのか」って考えるわけですよ。
ピンチのときに敵を巻き込んで弾を消す概念だったボムは、みんな卒業しているんだろうな、と思って。
縦シューでのボムは“お題”がクリアできないピンチなときに消費されていくけど、『BLACK BIRD』だと(左右の自由スクロールなので)右から敵が来たら左に、左から敵が来たら右に逃げられる。永遠に反対側に逃げればいいから、ボムをため込めるだろう、と。

nama
確かに、そういった設計ですね。
少し慣れれば、雑魚に対してボムを使って緊急回避する必要がない。

木村:
(ボムを使う必要がない)雑魚戦において、ボムがどうあるべきか。
『BLACK BIRD』の目的は人間を絶滅させることで、世界観とゲームを一致させるべきだと思って。
殺したら褒めるべきだと。
殺したら褒めまくってスコアが稼げてこそ、ボムだと。
ゲームをプレイして知識がたまれば、さらに右左に移動することがハイスコアを出すための装置としての意味も出ると。そういう文脈でゲームデザインを考えました。
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▲『BLACK BIRD』のボム。まさに災厄

nama
ボムの意味を決めることで自由スクロールの意味がでて、雑魚の存在が「スコアを稼ぐもの」と定義されて、ゲームの形ができる……そして、ゲームストーリーとのシンクロもすると。

木村:
そして、そこに雑魚の大量出現も音楽に合っている。
音楽を何となく覚えることで、あとどれくらいで敵が大量に出るかがわかるので、コンボに備えて自分なりのハイスコアコースができる。
(強制スクロールのシューティングは)お題である「敵の出現」がスクロールに対して存在するんだけど、『BLACK BIRD』では音楽が強制スクロールと同じ意味があって、音楽の流れに敵出現のタイミングを持たせてプレイヤーはそれをヒントにタイミングを合わせて戦ってもらうんだよね。
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▲音楽に合わせて敵が一気に出てくる。

nama
あー、それすごくわかります!
コンボマックスのときにボムを使うと一番スコアが稼げるから、だんだんと音楽のテンションに合わせて30体の雑魚を倒そうとする。そうすると音楽にあわせて気分が盛り上がっていくんですよね。
もっと言うと、ボムを隠しキャラが出るときにうちたくなって、コンボ途切れたりとか。実際は音楽にコントロールされているのに、すごく自分のペースで遊ぶシューティングって感じがある。

木村:
そうそう!
それでね、ボスについては、ビッグコア的に倒す(※弱点を狙って一気に倒す)ものにしたかったんですが、あれはあれで初心者には難易度が高い。
でも今回はボムがあるわけじゃないですか。
弾避けが下手な人でもボスでボムを使えばどうにか勝てて、上手い人はボムを使わなくても、さらにうまくなって「瞬殺」できるようになるべきだと。
そして、接射する美学、ボムを使わない美学、弾をギリギリで避けていく美学、すべてはいるようにゲームを作って。

nama
その要素だけで、懐かしい1990年代のシューティング感が伝わっていますね。画面に限られた弾数しか出ないから、ギリギリで弾を避けて弱点に近づいて敵を一気に倒すアレ。

木村:
これが(自分の)シューティングからみた必要条件だと気がついて、ゲームデザインにこめていく。そして、初心者も楽しいというゲームのやわらかさをのこしつつ、シューティングゲームコアユーザーが遊ぶと、「無限にお題と回答を考えてください!」という状態で提示しているんです。

nama
RPG的にシューティングを分解して理解して作って、最終的に自分の好きなシューティングに帰結しているんですね。
さらに、そこにRPGの街のように探索して楽しむ世界もある。

木村:
そう、世界を味わってほしいというのが最初から考えにあって、スクロールが一方通行ではないというのはどういうことかというと、移動して探索して、どこに隠れキャラがいるのか、マップ探索型のRPGっぽさを入れておこうと。しかも隠れキャラはスコア獲得に超関係あると。
それがこのゲーム、僕なりの世界の探索、僕なりのダークなアリスなんだよね。
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▲『BLACK BIRD』冒頭。少女が倒れて、災厄になって始まる。

不思議の国のアリスみたいな少女が、自分自身が呪いの鳥となって、かわいらしい世界を壊すとどうなるのかと。
短い物語とか、小さな起承転結がある物語を提示したいんですよ。

nama
だから、シューティング全体がRPG的に感じたんですね。ところで、もう1つ気になってることがあって。
シューティングで人々を破滅させるという発想はどこから?

木村:
まず、直接的なシューティングを作ろうという動機は東方シリーズからきていて、2012年に仲間とはじめた生放送配信のポリポリ★クラブ で「東方、知ってる?」って言われて、そこで(自分の)シューティングの歴史に東方の弾幕が入ってくる。
そして、その弾幕シューの圧倒的な弾の暴力みたいなイメージが、2011年に感じた3・11の震災での記憶とつながってしまって。災害によって空間が滅んでいく出来事、そのイメージと重なって。「自分が災害側だったら?」というゲームのテーマみたいなものがわいてきた。
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▲『BLACK BIRD』の公式サイトトップ画像。絶望のゲーム。

もしかしたら、あの災害が人の命を奪っていく光景を、自分なりに作品として記録してみたかったのかな?
消化してトラウマみたいなものを消し去りたかったのかな?
とにかくね、このゲームの全滅思想みたいなものは、人を殺したいから殺すんじゃないの。殺したいわけじゃなくて、災害だから殺すの。
そういうのを作って、みんなに見せてみたら、どうなのかなって思った。

nama
弾幕を見て「自然災害みたいだ」って人を殺し始めるのが木村さんっぽい。
前から思っていたんですけど、木村さんのインディーゲームには負の感情というか……闇のゲームという印象があるんですよね。

木村:
え、そう?
『勇者ヤマダくん』なんて僕の中で最大ハッピネスで、あれ以上ハッピーな物語はもう作れないかもしれないってぐらいなんだけど(笑)

nama
これを直接言っていいものか悩むんですけど、インディー開発者として独立してから出した3作の中で『勇者ヤマダくん』ではこう「社会が俺を必要としていない(会社が必要としていない)」と読める描写があって、裏に社会への絶望を感じたんですよ。
あれを遊んで「木村さん、人間社会に絶望しているのか?」と思いました。
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▲『勇者ヤマダくん』、大手会社勤務のエンジニアであるヤマダくんは、冒頭で大勢に囲まれて解雇される。


木村:
人間社会に絶望していないですよ。自分のふがいなさを社会のせいにするのはカッコ悪いと思っているし。ただ、さかのぼって考えるとやはり何か黒いものがあるのかなとも思う。
それの根本原因は、やっぱり2011年の地震の前後の自分の状態なのかな。
あの時って、どうやって人生をゲーム開発と共に生きていくのかって問いが自分の中にあって。
ゲーム作ってても全然人のためにならない感じがして、あの災害の中でゲームを作る僕はは無力で、そもそもゲーム自体が人に必要とされているのかって疑問がわいてて、しかもその頃から家庭用ゲーム機の業界に陰りがはしり、家庭用ゲーム機の文化の隅っこにいる僕の出るまくもなくなっていきました。

あの頃「切羽詰まっている」と「切羽詰まっていない」のあいだを揺れ動いてた。
人間がなんで存在できるかというと、人は誰かに必要とされると生きていける。そこに立っていられる。ゲームを作る僕の場合、お客さんにでもパブリッシャーにでも、誰かに必要とされないと生きていけないってことなのだと思います。あの頃、世の中から必要とされてない感じがして切羽詰まってたということでしょう。

nama
『Million Onion Hotel』のインタビューで「ゲーム作りは諦めていた」と語って いましたね。
ファンに必要とされて生きていけるかって。

木村:
『ファームビル』みたいなソシャゲを学ばないといけない(家庭用ゲーム機の
開発者としてはパブリッシャーに必要とされない)時代がきて、(それを作るなら)ゲーム作りを辞めようかと考えていた時代があった。
実際その後、2012年のIGFというアメリカのインディーゲームのイベントに感化されて、やる気は出るるわけですが、心が上を向くのにすごく時間がかかってた。
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▲ファームビル。農園系のアイテム課金ゲームの走りで、2009年にリリースされ、2011年頃はこの手のゲームが世界で流行った

nama
そうなってから最初に出たゲームが『勇者ヤマダくん』でしたよね。
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木村:
そう。(主人公の)ヤマダくんには「大手ゲーム会社を辞めて、1人で夜な夜なゲームを作っているのだー」ってセリフがある。
そこは最初は大手じゃなくて「大手ソシャゲー会社」っていうセリフにしていたと思っていたけど。どうだったっけな。
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ただ、作りながら「ソシャゲが悪でもねぇな」って思ってね。人間との結びつきも、課金も発明だし。まぁ大手ゲーム会社に勤めるサラリーマンが、ドロップアウトするっていう話で面白いし、それは善とか悪じゃない。
それで十分かなと。もっとソシャゲ批判とかしそうな物語になる可能性もあったんだけど、ぐっと愚痴をこらえて(笑)、ああいう形でまとまりました。

nama
『勇者ヤマダくん』が、ある意味では木村さんがインディーゲームを作り始めるきっかけになった、2011年あたりの閉塞感へのストレートな回答になっているわけですか。変な裏を読みすぎていた(笑)
でも、そうするともっと面白いですね。
次に出る『Million Onion Hotel』で世界が破滅する終末思想があって、『BLACK BIRD』は崩壊する地震災害のゲーム的記録になって……。
ゲームを出すたびに2011年の木村さんの心というか、インディーゲームを志す前の原風景に戻っているから、災害=闇なイメージになっているとか?

木村:
そんなにいつもディストピアなものを作ろうとは思っていないんです(笑)
『moon』、『チュウリップ』、『王様物語』、『Rule of Rose』あたりはしっかり僕の世界観が出ているんだけど。ダークとハッピーが表裏一体で両方存在するというのが好きなんだと思う。

nama
考え方によって2つの見方ができる、ってやつですね。

木村:
ホラー映画の視点を変えるとギャグみたいに見えてくるやつね。
例えば、絶体絶命のところで細い隙間に人間が挟まっていたら、ギャグなんだかホラーなんだかって(笑)
『Million Onion Hotel』もギャグっぽいけど、ストーリーが変化していって。
「怖いの裏は面白い」、「面白いの裏は怖い」、みたいな話を一生懸命に考えて。

nama
確かに『Million Onion Hotel』はギャグだけど、その裏にある木村さんの破滅思想を見た気がしていた(笑)
『ヤマダくん』はひねくれたクリエイター木村さんの投影ではなく、ギャグに見えて実はゲーム作りに希望を見出した木村さんの姿が裏で。
『BLACK BIRD』も裏と表がみられるんですね、きっと。

木村:
『BLACK BIRD』のステージにいろいろと情報を入れていて、敵を倒すと緑の宝石が出てきて、社会を支えるエネルギーもなんだか緑の物体で、あれは何だと。
世界観、社会の構造を眺めてもらうのも楽しいかも。力はいってます!
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nama
裏と表があって、プレイする人の状態でメッセージ性も変わってしまう。というか、プレイヤーが見たいものを見てしまうんでしょうね。
作者に答え合わせを聞くって、なんか恥ずかしいですけど(笑)
改めて過去作もやりたくなってきますね。希望をもって見ると、何か違うのかな。
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▲『Million Onion Hotel』ではギャグっぽいところから兵士が出てきて人々が戦争を始めてしまうが……肩の力を抜けば単なるコメディ。

話として前後しますけど『勇者ヤマダくん』から『BLACK BIRD』までで2011年の木村さんの心の風景に近づく「昔への旅」があって、それとは逆に『BLACK BIRD』はゲームとしては最新というか、木村さんの全力が入っている気がしたんですね。

木村:
というと?

nama
僭越ながら自分の紹介記事でも書かせていただいたんですけど、ものすごく段階を踏ませてプレイヤーを上達させて、楽しみを途切れさせないように作っている気がしていて。
そこにRPG的な作りがあり、同時に『勇者ヤマダくん』のような基本無料ゲームにある丁寧なガイドを感じました。

木村:
どうかな、基本無料のゲームにあるチュートリアルの親切さってあまり好きじゃないですけどね。やりすぎっていうか。
僕のチュートリアルの理想は、くどくど説明せずにいつのまにか感じてもらって、わかってもらうという考えで、チュートリアルという特別なモードをつくりたくないんですね。ゲームを流れで遊んでいると、プレイヤーがいつのまにか気がついちゃうみたいなのが好きです。

『ヤマダくん』も『Million Onion Hotel』も『BLACK BIRD』もどうにか、いろいろくどく説明せずに感じてもらえないかな〜?と、常々努力してます。
そういう意味では『BLACK BIRD』が一番調整できてるんじゃないかなとは思います。
だが、わからない。お客さんが決めることだから(汗

nama
最初から最後まで、私が裏を読みすぎというか……深読みして遊ぼうとすると、開発者が考えてないメッセージを受け取ってしまうんですかね。これはなんだか恥ずかしい(笑)
でも、これだけは深読みじゃないと思うんですけど。『BLACK BIRD』は震災から思いついたインディーゲーム開発者の木村さんの区切りというか、総決算とは言えませんか?

木村:
震災から思いついたか……そういうことなのかな?どうなのかな。わからないな。
ふりかると、チームも最高の仲間達だし、ゲームデザインもディレクションも演出も自分の中では最大限にやりました。物語もやってみたかった「言葉なし」での語りにも挑戦できた。たしかに総決算といえば総決算か。
震災の時の無力感と2012年のIGFに出会って心が回復するのと、その両方でゆさぶられて、それでもゲームを作るぞってなって、2013年に『BLACK BIRD』を思いついて、『Million Onion Hotel』も、『勇者ヤマダくん』も構想が生まれて、2018年『BLACK BIRD』を出して、今が2011年から続く区切りというのはあるかな。

nama
やっと震災から解放されて、次はどうします?
ゲームが文句なく面白かったので、今日は本当はそこを知りたくてきました(笑)

木村:
解放!(笑)
次はRPGとか作りたいよね。そろそろ。できるかわからないけど(笑)
『BLACK BIRD』が売れなきゃこれで終わりだけど、売れれば始められます!
売れなきゃ終わりっていうのはほんとに洒落じゃないから、みんな応援して!
たぶん滅亡する時はそーっと沈みます。

nama
ゲームが良くて、ファンが応援してくれれば作り続ける。『Million Onion Hotel』のインタビューから一貫していますね。
私としても、震災から解放された新しい木村さんのゲームが今から楽しみにしています。
長くなりましたが、そろそろ最後に一言、『BLACK BIRD』の後も木村さんが続くように人アピールして終わりますか!

木村:
『BLACK BIRD』 ただいま好評配信中!Nintendo SwitchとSteamで遊べます!
あそんでね〜!そしてもし気に入ったら友達に紹介して。
ツイッターでもいいし、ツイッターやってない人は隣の家までいってノックして教えてあげてくださーい!

nama
じゃあ、僕も便乗しておこう(笑)
『BLACK BIRD』は、ちょっと短いゲームだと思っていたんですけど。
遊べば遊ぶほど次の目標が見えてきて楽しいシューティングになっていて、ほんとRPG的なモチベーションの維持をシューティングに持ち込んだ意欲作で、面白い。
ぜひ、多くの人にやってもらいたいので、ちょっとショップを覗いてみてください
貴重なゲーム作りのテクニックの話も含め、木村さん、今日はありがとうございました!

以上。
『BLACK BIRD』が面白かったので、急遽始まったインタビュー。
話が脱線したところもあるが、RPGのコマンドバトルから、シューティングに行く思考は非常に興味深かったし、実際にプレイしてそれを意識して『BLACK BIRD』を遊んでみると、また興味深く遊べると思う。
面白い(突然、話を聞きに行くほど)ので、気になったらぜひ購入を検討してみて欲しい。
『BLACK BIRD』は下記のリンクから購入可能だ。

ゲームダウンロード:
BLACK BIRD (Steam / Switch)

記事中に出たアプリ:
Million Onion Hotel (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
勇者ヤマダくん (itunes 無料 / GooglePlay)