ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

企業ゲーム攻略サイトが、ゲームに悪影響を与える。記事盗用だけでない企業攻略サイトの課題

率直に言おう。いちゲームプレイヤーとして、オンラインゲームの企業系攻略サイトが邪魔だと思っている。
そして、企業系攻略サイトがマイナーゲームに悪影響を与えているのではないか、と常々考えている。
今、GameWithの『北斗がごとく』攻略を他社から盗用して問題になったり(ねとらぼの記事へ)、サイバーエージェント系列の『ポケモンGO』攻略サイト(同じくねとらぼの記事へ)が有志攻略サイトから画像を盗用して話題になっているので、この機会に「企業攻略サイトがゲームに悪影響を与えているであろうケース」について、問題提起しておきたいと思ってこの記事を書いた。

この問題は、企業系攻略サイトのSEO(検索で上位にクルテクニック)に端を発している。
昨今の攻略サイトでは、ゲームが発表されたら“○○情報”とか基本的なページを作ってしまう。検索は早く書いたものを優先するからだ。
“リセマラランキング”とか“基本情報”なども内容が判明しないうちから「分かり次第、書きます」などとページを埋め、検索上位に食い込もうとする。
これを見込みのありそうな全てのゲームに対して行うわけだ。オンラインゲームが大ヒットするかどうかは、出るまで分からない。ならば、良さそうなもの全てに張っておけば他社に乗り遅れない。
WS000008
▲未リリースDBBMのページだが、有名企業攻略サイトにはリセマラランキングページが設置されている(GameWithより

そうしてゲームが出て、無事に大ヒットした場合はあまり問題はない。
PVが期待でき、商業ベースに乗ったヒットゲームに関しては、ライターに高い報酬も出せるし、競争も激しいので品質の高い記事が生まれやすい。
また、名物プレイヤーをヘッドハンティングしてトップに据えるなんてケースもあり、好きなプレイヤーが攻略するという旧来からの形を商業にのせる幸せなケースも見られる。

一方で、ヒットしなかったゲームに関しては悲惨(半分以上のゲームがこれに該当するだろう)だ。
最初の1ヶ月(下手すると数日)は更新されても、商業ベースに乗らないのでライターに金を出せない。金が出ないから更新されない状況になる。
しかし、最初に書いた通り基本的なページは作っておき、SEOもバッチリなので検索順位としては上に表示されてしまう。悪質なケースでは、公式サイトにすらno-followでリンク(検索結果で上げない対策)するなどの対策で、公式サイトより上位に来ることもある。
WS000007
▲企業間でのSEOにも差がある。我が愛すべきマイナー(失礼!)ゲーム『プロジェクト東京ドールズ』は、開始から1ヶ月で更新をやめたAppMediaが1位、まともに更新している公認サイトのboom-appが3位という結果……。10年昔のLivedoor Wikiなど時代は乱立しても使われないwikiはいずれ検索順位を落としていたし、更新停止時に他サイトにリンクを張ったり、「データ使って別wiki作って良いよ」などの対処もとられることもあったが、企業サイトでそれはない。

また、最初の1ヶ月はやるというのがまたタチが悪くて、序盤はそこそこ情報があつまるので、よほど熱意のあるプレイヤーがいなければ「とりあえず、企業攻略サイトでいいか」という状況を生み出す(昔は企業攻略サイトがない前提だったので、とりあえず有志攻略wikiが作られた)。
そして、そのままやる気があるプレイヤーが登場するまでまともなゲーム情報がない状態が続いてしまうのだ。

攻略サイトはゲームプレイヤーのコミュニティの1つであり、ゲームをより理解したいやる気あるプレイヤーのための入り口なのだが、企業攻略サイトの進出がマイナーゲームに関してコミュニティも入り口も壊してしまう結果になることがあるわけだ。

長くなったのでまとめると、私は企業攻略サイトが商業ベースに乗らないゲームに関して下記の問題を抱えていると考えている。
・古い情報が検索上位に居座るため、新規プレイヤーの参入を妨げる
・記事は質が低く、役に立たないことがある
・プレイヤーによる情報のたまり場の形成を阻害することがある

その昔の売り切りゲームの攻略サイトは、作れば終わりだからいつまで残っていても良かったが、オンラインゲームサイトは違う。
昨今の攻略記事パクリ問題は当然対処すべきだが、マイナーゲームをただ(PV収益は出る形で)捨てていく問題に対しても、企業攻略サイトは今後課題としていくべきだと思っている。

最後に、こういった企業攻略サイトの問題を防ぐために有効と感じた体験があったので紹介したい。
私が1つの対策になると感じたのは、ゲームを運営する企業側が公式に攻略情報を出すというものだ。これは、私が『メギド72』というゲームでその恩恵を受けたときの話だ。
WS000009

私は2017年末に『メギド72』というゲームをダウンロードしたが、ちょっと複雑な部分のチュートリアルを飛ばしてしまって、上手くプレイできないでいた。
しかも、企業攻略サイトを見ても記事の質が低く、イマイチ理解しづらくて結局ゲームはやめてしまった。『メギド72』は年末のゲームラッシュに埋もれて人気を獲得できなかったので、競争が発生せず、記事の品質が低いままだったのだ。

しかし、2018年に入ってゲームキャストに『メギド72』を勧める熱烈なメールが届いたり、お勧めゲームアンケートで1/3が『メギド72』を推薦するという状況でゲームを再開し、改めて基本情報を確認したところ……公式サイト自らが丁寧な攻略情報を発信していることに気づいた。
5a263d6b4f11d8164e000005
【公式】メギド72ポータルサイトより

これが分かりやすくて、途中から再開した私でも容易にゲームを理解することができた(企業攻略サイトではちょっと見ない丁寧さだった)。
また、ちょっと外れてしまうが、企業wikiがないことが功を奏してか有志wikiも精力的に更新されており、通り一遍の情報ではなく、細かい理屈まで書かれた丁寧な解説がまとまっていたのも良かった。
結果として、ゲームの面白さを理解して記事を書くに至った。
バトルが楽しい、だから育成も楽しいRPG『メギド72』レビュー。2017年の埋もれた傑作
そして、現在も上の記事とは別に猛プッシュ記事を書きたいと思っているほどにハマっている。

なお、攻略サイトにお金を払って攻略してもらうというのも解決手段になり得るが、どうしてもヒットせずに金が出なくなったときが縁の切れ目になるし、そうでなくても攻略がおざなりになるから確実に予算を出せる状況でない限り、あまり良くない、と思っている。
また、公式攻略サイトだけだと『シノアリス』の問題のように、運営が明かさない情報が隠蔽されるので、プレイヤーにとって良くない(※なお、この例を出すと「批判して、多少直った部分を書かないのか」と指摘されるのだが、問い合わせ回答を受けて名誉回復記事を書きたい旨が拒否されたので書いていない)し、プレイヤーというものは開発者の想像を超えた遊びを開発するもので、そういった情報はどうしても公式で出ていづらいので、面白さの広がりも含めて「公式攻略サイト」+「有志wiki」あたりが一番いいのではないかと思っている。

追記:
最後まで書いてから、絶対に出るであろう「企業攻略サイトをなくせ!」という極論に対しても先に書いておくべきだと思ったので書く。
問題に光を当てて解決方法を探らなければ、企業の名を伏せた攻略サイトができるだけで、小規模のIT会社が小遣い稼ぎにやっている2chまとめサイトと同じ構造になってしまう。だから、問題になって、産業として解決方法を探るのが良いと思っている。